家で食べ物を捨てる人減った?5,345名調査 日・仏・英・米 家庭の食品ロスの変化

(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大予防のために外出自粛やロックダウンとなり、世界各国で、人々の購買行動や消費行動に変化が現れたようだ。日本の調査のほか、仏・英・米についても見てみたい。

2020年5月実施、5,345名調査

今回の調査概要は下記の通り。

調査タイトル:新型コロナ感染症への対策でどう変わる? 食品のお買い物における食品ロスの意識について

調査期間:2020年5月8日から9日

回答者数: 5,345名

調査形式:インターネットによるアンケート

対象:Gotcha!mall(ガッチャ!モール)会員

調査主体者:安全なお買い物情報支援サービス事務局

調査実施:グランドデザイン株式会社

調査対象者の内訳(グランドデザイン株式会社提供)
調査対象者の内訳(グランドデザイン株式会社提供)

「以前より食品を捨てなくなった」と答えた人が全体の20%

「緊急事態宣言前と比べて、家庭で食べ物を捨てる(食べ切れずにロスになってしまう)量はどれくらいですか?」という質問に対し、73.8%は「変わらない」と回答。「とても増えた」(1.8%)「やや増えた」(4.4%)を足すと、以前より増えた人が全体の6.2%。「とても減った」(6.1%)「やや減った」(13.9%)を足すと、以前より減った人が全体の20%という結果となった。

緊急事態宣言前と比べて家庭の食品ロスは増えた?減った?(グランドデザイン株式会社提供)
緊急事態宣言前と比べて家庭の食品ロスは増えた?減った?(グランドデザイン株式会社提供)

消費・賞味期限を気にする食品ランキング

消費期限や賞味期限を気にする食品は、肉や魚などの生鮮食品や、日持ちの短い日配(にっぱい)品で高い傾向が見られた。

消費期限や賞味期限を気にする食品ランキング(グランドデザイン株式会社提供)
消費期限や賞味期限を気にする食品ランキング(グランドデザイン株式会社提供)

フランスの調査では3人に1人が「食べ物の無駄遣いを減らす」と回答

日本以外の国ではどうだろうか。

フランスは、8週間のロックダウンが実施された。食品ロスになるものをアプリで販売するToo Good To Go(トゥー・グッド・トゥー・ゴー)は、「フランス人の半数以上が、食料生産の社会的・経済的・生態学的な価値への見方を変えた」と報告した。YouGovが実施した調査によると、33%が食品の廃棄を減らしており、感染予防対策が緩和され、通常の生活に戻ったとしても「食べ物の無駄遣いを減らす」と答えている。

ロックダウンされていたことで、食べ物が人々の関心ごととなり、その結果、次のように生活習慣が変化した。

43%が「料理に時間をかけている」

41%が「必要な食品だけを購入している」

35%が「食費に注意を払っている」

29%が「地元の食品をより多く購入するようになった」

20%の人が「オンラインショッピングに切り替えた」

イギリスではパン・牛乳・じゃがいも・鶏肉のロスが34%減少した

イギリスでは、政府の支援で2000年に設立した組織WRAP(ラップ)が調査している。2018年から2019年にかけての家庭内食品ロス量と比べて、ロックダウンされてからの2020年4月は、特にイギリスの家庭における主要4品目であるパン・牛乳・鶏肉・じゃがいもの4品で、平均34%減っていると指摘している。

参考:

SDGs世界レポート(21)「パン・牛乳・鶏肉などのロス34%減」英国、外出自粛中に家庭の食品ロス減

イギリス・WRAPの調査結果(WRAP公式サイトより)
イギリス・WRAPの調査結果(WRAP公式サイトより)

アメリカでは家庭の食品ロスは減る一方、事業系のサプライチェーンで廃棄

アメリカのNPO、ReFED(リフェッド)のエグゼクティブ・ディレクター、ダナ・ガンダーズさんは、NPR(米国のナショナル・パブリック・ラジオ)の取材に対し、「消費者は、家庭での食品ロスを減らしているが、より多くの食品がサプライチェーン全体で廃棄されている」と語った。アメリカ農務省によると、国内では、通常でも食品の30~40%が廃棄されており、そこへ来て、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、この数字はさらに高くなっている。

ダナさんは、家庭での食品ロスを減らすためのヒントとして、次の4項目を挙げた。

- 食事の計画を立てましょう。食料品店に行く前に、買うべきもののリストを作りましょう

- 食べ物を正しく保存しましょう

- 使う準備ができていない食品は冷凍しておきましょう

- 味、におい、見た目が良ければ、消費期限や賞味期限は気にしないで使いましょう

アメリカでは2020年3月以降、消費者の86%が冷凍食品を購入

アメリカでは、冷凍食品など、賞味期限の長い食品を購入する傾向が増えた。アメリカ冷凍食品研究所(AFFI)の調査によると、2020年3月以降、米国の消費者の86%が冷凍食品を購入している(2020年5月7日付、Forbes)。この調査では、消費者が冷凍食品をより多く購入している理由として、食品が不足した場合に備えて保管しておきたいこと、賞味期限が長いこと、準備や後片付けが楽だから、などを挙げている。AFFIは、消費者の50%が今後数ヶ月の間に冷凍食品を大量に、あるいはやや多めに購入すると予想しており、冷凍食品の購入増加傾向は今後も続く可能性があると指摘している。

ポストコロナは食べ物を大切にする時代

ロックダウンや外出自粛などが実施された国では、買い物の頻度が減ったという物理的な理由にあわせて、家での滞在時間が増えたため、食べ物への関心がこれまで以上に高くなったという傾向が見られた。

新型コロナ対応策が緩和されつつある今、家庭の食品ロスに加えて、事業系の食品ロスも減らすことが当然という世の中になってほしい。日本の企業は、法律だけは遵守する生真面目さがあるが、食品リサイクル法・廃棄物処理法・食品ロス削減推進法といった法律で、食品のロスや廃棄はできる限り減らすことが食品関連事業者には求められていることを改めて見直したい。

参考情報:

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン(株)、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。「食品ロス削減推進法」成立に協力した。世界資源研究所(WRI)とオランダ政府が運営し食品ロス削減を目指すチャンピオン12.3メンバー。著書に『賞味期限のウソ』『食品ロスをなくしたら1か月5000円の得』。食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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