「あの会社、SDGsウォッシュ」と言われないための3ヵ条とは?

日本企業の社員が最近よくつけている、光るSDGsバッジ(筆者撮影)

「SDGs(エスディージーズ)」という言葉はビジネスパーソンの間で浸透してきた。だが「SDGsウォッシュ」という言葉は、まだそれほど知られていないかもしれない。これは、企業が喧伝するSDGsの取り組みが、実態を伴っていないことを指す。

「SDGsウォッシュ」は、環境配慮を謳いながらも、そうでないことを示す「グリーンウォッシュ」という言葉に似ている。「グリーン」は環境配慮、「ホワイトウォッシュ」はうわべだけをとりつくろうことで、「グリーンウォッシュ」は、その造語だ。

SDGsが採択された直後はまだ知名度が薄かった

「SDGs」が国連サミットで採択された2015年9月ごろは、まだ報道が少なく、認知度も低かった。

拙著『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書、2016)ではSDGsに言及している(p127-128)。原稿を書いた2016年春、SDGsは、一般には全く浸透していなかった。初稿の段階で入れていた「持続可能な開発目標:SDGs」は、編集の段階で「SDGs」が削られ、日本語の「持続可能な開発目標」だけが残された。

2016年、ある出版社の編集長とSDGsの書籍企画について相談していた。当時すでに出版されていた書籍『SDGsと開発教育 持続可能な開発目標のための学び』(田中治彦・三宅隆史・湯本浩之編著、学文社)を持参し、何度もお話ししたのだが、出版の実現までには至らなかった。

今でこそ「SDGs本」は多数出版されているが、当時、アルファベットのよくわからない「SDGs」に対する反応は、ほとんどなかった。

2018年、日本企業からSDGsのマテリアリティの相談が舞い込む

2018年初め、CSR関係の資格講座の受講後、ある日本企業からSDGs関連の相談を頂いた。SDGsの17のゴールのうち、自社のマテリアリティ(重要課題)を特定し、経営戦略に盛り込みたいので、経営陣へのコンサルティングに来て欲しいという依頼だった。

CSR講座の受講生たちは、SDGsが採択された時から知っている人たちで、筆者もおおいに刺激を受けた。受講生の一人は、名刺にSDGsのロゴマークを入れていた。彼は「名刺交換の時、SDGsを知らない人が知ってもらうきっかけになるからいいよ」と言われた。確かに、これはいいアイディアだと思い、さっそく、筆者も名刺にロゴマークを入れてみた。

その企業へコンサルティングに行ったあと、他の企業も、公式サイトで自社のマテリアリティを公開するところが増えてきた。ビジネス系の雑誌でも徐々にSDGsの特集が増え始めていった。

一般企業の社員がつけているSDGsバッジ

2018年ごろから、背広の胸の部分にSDGsバッジをつけている人を見る場面が増えた。17色が散りばめられた、丸いドーナツ型の、光るバッジ。国連など、国際機関の職員がよく胸につけているSDGsのバッジだ。(SDGs=エスディージーズ:持続可能な開発目標)

SDGsバッジ。光るタイプのものをつけている人が多い(筆者撮影)
SDGsバッジ。光るタイプのものをつけている人が多い(筆者撮影)

日本では、国際機関ではない一般企業の経営陣が背広の胸につけているのを目にする。社章を胸につけるのはよくあることだが、2019年あたりから特に目立つようになった。

ある人が、SDGsバッジをつけている男性に「なんでこれをつけているの?」と聞いたところ、「上司がつけろと言ったから」という、笑えない話がある。

「え、食品を大量に捨てている会社の社長がなぜSDGsバッジつけるの?」

そして2019年。SDGsは、ついに日本のビジネス界で市民権を得た。

SDGsを理解し、積極的に推進していくのはとてもいいことだ。その上で、SDGsバッジを胸につけるのはいい。

ただ、SDGsという言葉が知られてきただけに、今度は「え、製品を大量に捨てているのに、なぜこの企業の社長がSDGsバッジをつけるの?」と、違和感を感じる場面も出てきた。

なぜ、日本企業の社員はSDGsバッジを胸につけたがるのだろう?

なぜ、日本企業の社員はSDGsバッジをつけたがるのだろう。

筆者は、あるテレビ番組を見ていて、「ああ、なるほど」と合点がいった。

それについて語る前に、2015年9月のSDGs採択から2019年末までの4年強の間に「SDGs」という言葉が、国内主要メディア150紙誌にどれくらい登場しているのか、日本最大のビジネスデータベースサービス「G-Search(ジーサーチ)で件数を調べてみた。棒グラフを作ったので、見てみよう。

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン(株)青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で食料廃棄に憤りを覚え、誕生日を冠した(株)office3.11設立。日本初のフードバンクの広報を委託され、PRアワードグランプリソーシャルコミュニケーション部門最優秀賞へと導いた。『食品ロスをなくしたら1か月5,000円の得』『賞味期限のウソ』。食品ロス問題を全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして2018年、第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門受賞。Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞

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