「海老の天ぷらとおはぎはOKで蕎麦はダメ」という不思議

(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

長野県に来ている。長野県、信州、といえば、思い浮かぶ食べ物はいろいろある。その一つが蕎麦だ。先ほど、ある蕎麦屋に4人で入った。ところが、思ったより、量が多かった。もり蕎麦、つまりざる蕎麦の持ち帰りを頼んだところ、「持ち帰りはできません」の一言。

後で確認したところ、「くるみおはぎと(海老などの)天ぷらは持ち帰りできます」とのこと。

ざる蕎麦(この記事の店とは別の店のもの、筆者撮影)
ざる蕎麦(この記事の店とは別の店のもの、筆者撮影)

天ぷらとおはぎはOKで蕎麦はダメという不思議

天ぷらは、油で揚げてあるから時間が経てば酸化する。天ぷらは、スーパーのお惣菜コーナーにも売っている。期限が表示されていない、セルフサービスで選ぶ天ぷらもあるが、期限が表示されている場合であれば、日持ちしづらい食品に表示される「消費期限」が表示されるだろう。おそらく当日、もしくは翌日だ。

おはぎは、販売者によって異なるが、スーパーなどで表示されて販売される場合、当日までの消費期限とする場合が多い。

ゆでた蕎麦の場合も販売者によって異なるが、数日程度ということが多い。

ゆでた蕎麦が持ち帰りNGで、海老の天ぷらとくるみおはぎがOKというのは、なんだか腑に落ちない。

信州の風景(筆者撮影)
信州の風景(筆者撮影)

蕎麦の持ち帰りOKの店はある

調理済みの蕎麦を持ち帰ってOK、という店は、探せばいくつもある。

たとえば、チェーン店の「なか卯(う)」には、ざるそばの持ち帰りはいからそば鴨そばなどのお持ち帰りメニューがある。

名代富士そばは、公式サイトの「店舗のご案内」に、持ち帰り可能な店を書いている。

国は飲食店の食べ残しをなくすため4省庁連携で2017年通知を出している

「新年会で食べ残しの持ち帰りを禁止する飲食店やホテルはもう時代遅れ その理由とは?」でも書いた通り、2017年、消費者庁・農林水産省・環境省・厚生労働省が連名で発表した留意事項には、食品ロスを減らすための持ち帰りの注意事項が書かれている。

飲食店の方へ

・ 持ち帰りの希望者には、食中毒等のリスクや取扱方法等、衛生上の注意事項を十分に説明しましょう。

・ 持ち帰りには十分に加熱された食品を提供し、生ものや半生など加熱が不十分な料理は、希望者からの要望があっても応じないようにしましょう。

・ 清潔な容器に清潔な箸などを使って入れましょう。水分はできるだけ切り、残った食品が早く冷えるように浅い容器に小分けしましょう。

・ 外気温が高い時は持ち帰りを休止するか、保冷剤を提供しましょう。

・ その他、料理の取り扱いについて、注意書きを添えるなど、食中毒等の予防をするための工夫をしましょう。

出典:農林水産省・環境省・消費者庁・厚生労働省の4省庁が連名で出した通知

調理済み食品は「禁止」ではない。留意した上での持ち帰りが勧められている。

信州の風景。虹が出た直後(筆者撮影)
信州の風景。虹が出た直後(筆者撮影)

飲食店側でも量が多い場合はお客さんに声がけするなどの配慮を

一般的な蕎麦屋に比べて、一食あたりの量が多い蕎麦屋であれば、注文をとるときに、「うちの店のは、普通盛りでも多めですが、よろしいですか?」などと声をかける配慮がほしい。

お客の側も、もちろん、食べ切れる量だけを注文するように気を付けるが、一食あたりどれくらいの量が出てくるか、店によっても違う。

2019年10月1日から食品ロス削減推進法が施行されたわけだが、それ以降に訪問した飲食店で、特に宴会や会合の後の食事会などでは、一律持ち帰り禁止という場合がほとんどだ。

農林水産省は、食品業界に対し、業種ごとに年間の食料廃棄削減量の目標値を示している。平成26年から平成31年までの5年間で設定しており、引き続き、平成31年(令和元年)から令和5年までの5年間で「これだけ減らしましょう」という数値目標を設定している。

「一律NG」と言っておけば、接客はラクだが、店で廃棄する量は増えてしまう。しかも店側が廃棄コストを負担するだけでなく、消費者側でもそれを家庭ごみと一緒に焼却処分する際のコストを税金から負担することになる。

海外では、先進国・途上国問わず、持ち帰りを許容してくれる場合が多い。日本は、安全性重視と言えども、少々、極端な面があるのは否めない。そろそろ変える時ではないか。

参考情報

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン(株)青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で食料廃棄に憤りを覚え、誕生日を冠した(株)office3.11設立。日本初のフードバンクの広報を委託され、PRアワードグランプリソーシャルコミュニケーション部門最優秀賞へと導いた。『食品ロスをなくしたら1か月5,000円の得』『賞味期限のウソ』。食品ロス問題を全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして2018年、第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門受賞。Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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