エコプロはエコなのか

2019年12月5~7日に開催されたエコプロ2019の看板(筆者撮影)

大阪のテレビ局のロケに参加するため、関西出張に来ている時、ある大手企業の社員の方がソーシャルメディアに投稿しているのが目についた。

エコプロ2019に来たところ、エコと銘打っているのに環境に悪い製品や、科学的にその効果が検証されていない製品が多数出展されており、辟易しているという、怒りに満ちた内容だった。

投稿内容は、不特定多数には見られないようになっていた。はたしてどうなのか。大阪出張から戻り、エコプロ最終日、12月7日の午後、会場へ足を運んでみた。

食品企業の展示(筆者撮影)
食品企業の展示(筆者撮影)

大掛かりな展示は例年通り

筆者は2011年、フードバンクの広報を務めている時に初めてエコプロ(当時の呼称は「エコプロダクツ展」)に参加した。2014年には企業の方とトークショーに登壇したこともある。

2014年に開催されたエコプロダクツ展でのトークショー(関係者撮影)
2014年に開催されたエコプロダクツ展でのトークショー(関係者撮影)

例年のことだが、2019年も、大掛かりな展示が目立った。

食品小売業の展示(筆者撮影)
食品小売業の展示(筆者撮影)

子どもたちのワンダーランド

黄色い帽子をかぶった小学生の団体や家族連れがたくさん来るからか、おもちゃ会社の出展や、子どもたちを惹きつけるような展示も多かった。

ハローキティの啓発ビデオ(筆者撮影)
ハローキティの啓発ビデオ(筆者撮影)

ここは一種の遊園地なのでは、とも思った。

おもちゃの列車の展示にはたくさんの子どもたちが群がっていた(筆者撮影)
おもちゃの列車の展示にはたくさんの子どもたちが群がっていた(筆者撮影)

子どもたちに向けたクイズや展示、お土産品なども目立った。

おもちゃの列車で自社製品の運搬について説明した展示(筆者撮影)
おもちゃの列車で自社製品の運搬について説明した展示(筆者撮影)

紙や電気などの資源は大丈夫?

2018年のエコプロ訪問でも書いたのだが、エコプロで配られる紙の資料は、会期中にしか使うことができない。だが、最終日の残り数十分という時点でも、会場に複数ある各入り口には紙の資料が余っていた。

会場が閉まる数十分前の入り口に置いてある紙の資料。入り口はここだけではない(筆者撮影)
会場が閉まる数十分前の入り口に置いてある紙の資料。入り口はここだけではない(筆者撮影)

筆者が2012年、米国・シカゴで参加したビジネス・コミュニケーションのシンポジウムでは、主催者は参加者に「資料は事前もしくは当日にダウンロードしてください」と呼びかけ、紙の資料は一切配らない「グリーンプログラム」形式だった。

来場者が首から下げるプラスチック製の名札は、最後に回収するが、全てを回収できるわけではないだろう。

プラスチック製の名札と省庁ツイッターフォロー者に配布されたSDGsバッジ(筆者撮影)
プラスチック製の名札と省庁ツイッターフォロー者に配布されたSDGsバッジ(筆者撮影)

配布されるものの中にもプラスチック製袋はあった。

省庁ブースの講演参加者に配られたエコバッグ(筆者撮影)
省庁ブースの講演参加者に配られたエコバッグ(筆者撮影)

環境配慮の最優先リデュース(ごみを出さない)より「余ったら使う」のリユース(再利用)が多い?

環境配慮の原則である「3R(スリーアール)」では、最優先は「Reduce(リデュース)」だ。水道の蛇口にたとえると、水を出しっぱなしの蛇口を締めることが一番大事。飲食では、食べきること。

飲食業の展示「残さず食べよう」(筆者撮影)
飲食業の展示「残さず食べよう」(筆者撮影)

ただ、ここ10年のメディアの取り上げ方を見ていても、Reduce(リデュース)よりは、余ったものを売る、もしくは余ったものを使うの「Reuse(リユース)」の取り組みの方が、こぞってメディアに露出している。

余ったものを再利用する取り組みは事業者にもメディアにも人気(筆者撮影)
余ったものを再利用する取り組みは事業者にもメディアにも人気(筆者撮影)

作るものを減らすと経済が収縮すると意見する人もいる。

飲食業が展示していた、食べ残しを堆肥にする取り組みは、3Rのうちの3番目である「Recycle(リサイクル:再生利用)」だ。

飲食業では食べ残しを堆肥化する取り組みなどが紹介されていた(筆者撮影)
飲食業では食べ残しを堆肥化する取り組みなどが紹介されていた(筆者撮影)

地球温暖化が一目でわかる写真は有意義

「エコプロはエコなのか」の問いからは外れるが、「これはいい」と思ったのは、イオン環境財団が開催していた、15分程度のミニ環境教室だ。人工衛星から撮影した写真を見ると、1992年と比べて、2016年には北極圏の氷の量が激減していることがよくわかる。豪雨や水害が世界各国で発生している要因の一つでもあるだろう。

弘前大学がカゴメと提携して研究し、手のひらを載せるとすぐに野菜摂取量の目安が計測できる機械も面白かった。

野菜の摂取量を測定できる仕組み。弘前大学のブース(筆者撮影)
野菜の摂取量を測定できる仕組み。弘前大学のブース(筆者撮影)

緑黄色野菜などに含まれるカロテノイドの量を測定しているのだそうだ。

測定結果が数値で示される(筆者撮影)
測定結果が数値で示される(筆者撮影)

エコプロ自体を持続可能に

半日、エコプロ会場を廻ってみて、もちろん素晴らしい取り組みを知ることができたが、一方で、冒頭の大手企業社員のコメントも理解できた。毎日、食べ物を山のように捨てている企業に「うちの会社はエコです」って言われても、ねえ・・・。斜に構えた見方をすれば、自社が排出している廃棄物や食品ロスを目くらましするためにエコプロに出展していると見えなくもない。もちろん、広く多くの人に知ってほしいという純粋な気持ちで出展している組織もある。えてしてそういうところは地味で目立たないが、その方がむしろ好感が持てる。筆者が食品ロス削減の好事例として記事で取り上げている中小企業は、高額な出展料やブース設置料などを払ってまでエコをアピールする意思はないだろう。

展示の内情を知る人によれば、大掛かりなブースは会期が終わった途端に壊され、たちまちごみの山になるそうだ。持続可能って、ごみをできる限り出さないことではなかったか。あの大掛かりで華々しいブースは、たった3日間のために本当に必要なのだろうか。

2018年に大規模な出展をしていた大手食品企業が、2019年には出展していなかったのも印象的だった。

エコプロ自体は、ソーシャルメディアで「楽しかった」「面白かった」と投稿している人も多い。エコプロそのものがさらにエコな取り組みになればよいと思う。

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エコプロ2019 公式サイト

12月6~8日 第20回「エコプロ2018」開催 テーマは「SDGs時代の環境と社会、そして未来へ」

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン(株)、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。「食品ロス削減推進法」成立に協力した。世界資源研究所(WRI)とオランダ政府が運営し食品ロス削減を目指すチャンピオン12.3メンバー。著書に『賞味期限のウソ』『食品ロスをなくしたら1か月5000円の得』。食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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