ファミマが恵方巻を完全予約制にしない理由とは?ファミマこども食堂、加盟店は発表時知らされていなかった

(写真:アフロ)

ファミリーマートは、おせちとクリスマスケーキの大型サイズを完全予約制にすると発表した。大手コンビニ3社の中では初めてだ。

だが、恵方巻きやうな重は完全予約制には切り替えないという。

おせちやクリスマスケーキと同じカテゴリーになる季節商品には、特選弁当、恵方巻、(土用の丑の日の)うな重などが含まれるが、こちらは完全予約制には切り替えず、「予約をしっかりとったうえで、(当日分も)販売する」(澤田社長)という。

出典:ファミマが一部季節商品を「完全予約制」に 気になる恵方巻は?(IT media)

おせちや大型サイズのクリスマスケーキに関し、大手3社で初めて「完全予約制」にしたのは第一歩だろう。ただ、おせち料理はこれまでも基本「完全予約制」で、正月当日に1万3000円から2万1000円以上のおせち料理をファミリーマートで買う人は、これまでもいなかったと思う。

大型のクリスマスケーキしかり。3,000円以上もする大型のクリスマスケーキはこれまでも予約販売だったようだし、仮に店頭に置いたとしても、3,000円以上のホールのクリスマスケーキを「ついで買い」する人がたくさんいるとは思えない。

おせちや大型クリスマスケーキは、そもそも当日買いがほとんどなかったから、「完全予約制」に移行しても、本部が負う痛手は小さい。

「完全予約制にした」とプレスリリースを出してメディアに取り上げられれば「うちの会社は食品ロスを減らそうと努力していますよアピール」にもなる。

一方、恵方巻は、当日買いや、ついで買いなどによる売り上げを失いたくないから「完全予約制」にしないと推察される。季節食品の食品ロスを本気で減らしたいなら、廃棄の多い恵方巻こそ「完全予約制」にするだろう。

コンビニの店頭では廃棄がなさそうに装ったとしても、コンビニに納品している「ベンダー」と呼ばれる製造工場からは廃棄や処分が出ていることは、ここ数年連続して確認をとっている。

「ベンダー」と呼ばれる、コンビニに弁当や恵方巻を納入する製造工場から、出荷されずに処分される恵方巻(日本エコロジーフードセンター)
「ベンダー」と呼ばれる、コンビニに弁当や恵方巻を納入する製造工場から、出荷されずに処分される恵方巻(日本エコロジーフードセンター)

本部がファミマこども食堂を発表した時、全国のファミマ加盟店は誰も知らなかった

2019年2月1日、ファミリーマートは、2019年3月から「ファミマこども食堂」を始めると発表した。ファミマこども食堂は、親子を対象としたイートインスペースでの食事会と職業体験だ。

コンビニ加盟店ユニオンの執行委員長で、ファミマオーナーの酒井孝典さんは、

報道で初めて知り、本部に問い合わせました。こども食堂について、加盟店にはまだ、正式なお知らせは来ていないようです

出典:ファミマこども食堂「貧困対策ではなく、地域活性化」と本部 加盟店の負担を聞く

と語っている。

オーナーが事前に知らされず、一般の人たちと同じタイミングで知るって、いったい、どういうことなのだろう。本部は、自社のビジネスを現場で支えてくれている加盟店のことを何だと思っているのか。同じ会社で働く人たちなら、大切な「仲間」ではないのか。

企業が社会貢献をするのは、もちろん賛成だ。だが、そこで働く人たちだって、企業のビジネスを支えている大切な財産だろう。ただでさえ人員不足で働き過ぎのコンビニオーナーたちに、さらなる負荷をかけてまで社会貢献をする(と謳う)のはどうなのか。

全国でやるとなれば、ただでさえ人手不足の中、1店舗あたり少なくとも1名は人員を割かなければならない。だが、ファミリーマート本部は、現場でこども食堂の運営に携わることになる加盟店オーナーには一切言わずに公式プレスリリースを出し、発表した、ということだ。

本部は、インサイダーに関わると言う理由で、ほとんどの重要案件は、金曜日の15時にメディアリリースを行います。

その時点で、事実を把握しているのは、統括部長クラス以上で、その後、加盟店に報告がされるのが一般的です。

出典:ファミリーマートオーナー酒井孝典さんの言葉

確かに、ファミマこども食堂のプレスリリースが発行された2019年2月1日は金曜日だった。

取材した店舗では販売期限の切れた弁当類が、廃棄のために大量に棚から撤去されていた(オーナー提供)
取材した店舗では販売期限の切れた弁当類が、廃棄のために大量に棚から撤去されていた(オーナー提供)

ファミマこども食堂絶賛の嵐の「通販生活」

「通販生活」2019年夏号の表紙では、ファミマこども食堂を絶賛している。

ファミマこども食堂を表紙で絶賛し「コンビニの買い物は当分ファミリーマートにしよう!」とうたう通販生活(筆者撮影)
ファミマこども食堂を表紙で絶賛し「コンビニの買い物は当分ファミリーマートにしよう!」とうたう通販生活(筆者撮影)

通販生活では、みんなで話し合って決めました。

「コンビニの買い物は当分、ファミリーマートにしよう!」

(中略)

どうぞ、大成功しますように。

出典:「通販生活」2019年夏号 表紙
「通販生活」2019年夏号 表紙(筆者撮影)
「通販生活」2019年夏号 表紙(筆者撮影)

ファミマこども食堂を手放しで絶賛する通販生活の方たちは、現場のファミマ加盟店が、本部から「ファミマこども食堂」のことを一切知らされず、報道で初めて知ったことをわかっているのだろうか。いわゆる一般的な「こども食堂」のような貧困支援ではなく、食事会と職業体験が主ということを理解しているのか。

仮に、「通販生活」を運営する株式会社カタログハウスがカタログハウスの店でこども食堂やります、と、店舗側には一切知らせることなく公式発表したとしたら、店で働く人たちは、どう感じるのだろう。

「え?こども食堂やるのって店でしょう?聞いてないよ?」という話になるのではないのか。

コンビニの食品の寄付は、10年以上前からローソンがずーっと、特定の場所で、経済的困窮の方を対象にやってきていた。しかも、「やってますよ」といったアピールなど一切せずに。筆者はフードバンクの広報時代、本部の方にもお話を伺ったし、寄付されていた現場にもテレビ局の方と一緒に何度も足を運んだ。残念ながら、現在は行ってはいないが、ローソン本部への取材で、そのようなことが将来できたらいいという考えをお持ちであることは伺っている。

フードバンクで支援された食品を受け取る施設のこども(筆者撮影)
フードバンクで支援された食品を受け取る施設のこども(筆者撮影)

貧困支援ではなく職業体験の「ファミマこども食堂」

前述の酒井さんは、

ファミマこども食堂は、職業体験。職業体験後、イートインスペースで、こどもが親御さんと一緒に、本部負担の弁当を食べる。

こどもの体験補助のために、本部社員が来るそうだし、ファミリーマートのイメージ作りと地域のコミュニケーション作りにはなるが、加盟店の負担も大きい。

出典:ファミリーマートオーナー酒井孝典さんの言葉

と語る。

弁護士ドットコムの報道でも「イートインスペースでの食事会と職業体験を柱とした企画」とある。こども対象の職業体験を提供するサービスにキッザニアがあるが、これの身近バージョンという意味合いか。

ソーシャルメディア上では、こどもとファミマこども食堂を訪れたという父親が、「18時までとあったので17:30に行ったらもう終了していた。保育園組にはキツイ時間帯」という声があった。

おせちと大型クリスマスケーキに限った「完全予約制」と、「通販生活」の表紙で絶賛された「ファミマこども食堂」。「通販生活」が表紙で書いている「こども食堂が始まれば、ボランティアでお手伝いしたいという常連客がきっと現れてくる」という常連客が、はたして現れてきているのかどうか。