【4.14を前に】国の行政機関42%が災害備蓄食を全廃棄「食品ロス削減」と言いながら食品を捨てている

(写真:アフロ)

総務省東北管区行政評価局は、食品ロスの削減のため、平成30年(2018年)6月から、東北6県の国の行政機関と、各県と市を対象に、平成27年度(2015年度)~29年度(2017年度)までに更新(新旧入れ替え)を行なった災害備蓄食料(食料・飲料水)について、実態を調査し、結果を報告した。

国の行政機関のうち42%が災害備蓄食料を「全部廃棄」

調査では、平成27年度(2015年度)~29年度(2017年度)までに、災害備蓄食料を更新(入れ替え)した際の、活用と廃棄の状況を調べた。

その結果、国の行政機関では、対象機関69のうち、42%に当たる29の機関で、入れ替えた後の災害備蓄食料を全て廃棄しているという結果がわかった。

国の行政機関が平成27年度から平成29年度までに災害備蓄食料を更新した際の活用・廃棄の状況(総務省調査より筆者グラフ作成)
国の行政機関が平成27年度から平成29年度までに災害備蓄食料を更新した際の活用・廃棄の状況(総務省調査より筆者グラフ作成)

災害のたびに食品を廃棄しているのにあまりにお粗末な国の姿勢

ここ数年だけでも、何度、自然災害が起きたことだろう。

平成30年(2018年)は、西日本豪雨や北海道地震など、特に自然災害が頻発した年だった。

家庭での災害備蓄食料は、もはや「非常食」というより「日常食」と考えた方がよい。ローリングストック法といって、少しずつ使っては買い足していく方法を使えば、備蓄の賞味期限などにも意識がのぼり、普段からこまめに備蓄の賞味期限をアップデイト(新しいものにしていくことが)できる。

しかし、事業者など、大きな組織での災害備蓄食料は、家庭のそれとは異なる。1ヶ月ごとに使っては買い足し・・・などということは、規模が大き過ぎて、できない。

だからこそ、「入れては出す」こと、循環を仕組み化することが重要だ。

国は、5省庁が食品ロス問題の管轄を務めている。率先して減らす努力を実践する立場なのに、国の行政機関の42%も全量廃棄とは、あまりにお粗末な姿勢ではないだろうか。

日本の年間の食品ロス646万トンに備蓄食料の廃棄はカウントされていない

食品ロス問題を管轄する5省庁のうちの1つ、農林水産省。以前、農林水産省に、備蓄食料の廃棄や農産物の生産調整による廃棄が日本の年間の食品ロス量(646万トン)にカウントされているかどうかを伺ったところ、「含まれていない」という回答だった。

今回の調査対象は、東北6県のみで、廃棄している食料が40,078個(うち37,278個が国の行政機関・独立行政法人・国立大学法人によるもの)で、廃棄している飲料が21,997個(全て国の行政機関・独立行政法人・国立大学法人によるもの)だった。

全国で廃棄されている災害備蓄食料は、今回の対象だけではない。2017年3月の時点で、過去5年間に17自治体で廃棄した災害備蓄食料は176万食、廃棄にかかった費用は3億円ということが、毎日新聞の調査で分かっている。

国も国の行政機関も率先して災害備蓄食料を使うべき

今回の調査報告書では、活用している国の行政機関や県・市もあることが分かっている。

防災訓練で利用する、職員・学生に配布する、フードバンクに提供する、病院食として利用する、などの用途例が挙がっている。

「食品ロス削減を」と謳うのなら、国が率先して減らす努力を実践すべきだろう。

提言:「賞味期限は目安であり品質が切れる日付ではない」から長期間保存できる食品はフードバンクでも活用してほしい

調査報告で「フードバンクに提供しようとしたものの賞味期限との兼ね合いにより提供できずに廃棄した」という回答があった。

日本のフードバンクの場合、「賞味期限の1ヶ月以上前のものを受け入れる」のが一般的となっている。

災害備蓄食料は大きな単位で寄付されてくるので、それ以上の「2~3ヶ月前」を指定することも多い。

米国や欧州のフードバンクなどでは、1年以上保存できるシリアルや、3年以上保存できる缶詰など、数年単位で長期間保存できる食品については、たとえ美味しさの目安である賞味期限が過ぎても使える、というルールを制定している。

備蓄食料は、賞味期間が3年から5年、中にはそれ以上のものもある。

安全を守ることは大前提だが、せっかく食べられる災害備蓄食料をできる限り廃棄しないために、日本でも、米国や欧州の例を見習ってもいいのではないか。