「めっちゃもったいない!」コンビニで働く外国人労働者、ベトナム人の叫びを私たちはどう受け止めるのか?

コンビニオーナー座談会でのオーナーたち(撮影:島田幸治)

日本の外国人労働者は増えている。中でも目立つのがベトナム人だ。厚生労働省の最新の「外国人雇用届出状況」(2017年10月末)によれば、前年同期比39.7%増と、ネパール(前年同期比31.0%増)や、フィリピン(前年同期比15.1%増)などと比較しても、全ての国の中で最も伸び率が高い。

厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成29年10月末時点)より「在留資格別にみた外国人労働者数の推移」([https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11655000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-Gaikokujinkoyoutaisakuka/7584p57g.pdf 厚生労働省HPより])
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成29年10月末時点)より「在留資格別にみた外国人労働者数の推移」([https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11655000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-Gaikokujinkoyoutaisakuka/7584p57g.pdf 厚生労働省HPより])

2018年12月4日、大手コンビニエンスストア加盟店で働くベトナム人女性に取材を受けて頂くことができた。筆者のテーマとする「食品ロス(フードロス)」に関して取材した。個人や地域、企業が特定されないよう、本文に関する写真は女性の手のショットのみとした。

取材に応じてくれた、大手コンビニエンスストアで働くベトナム人女性(筆者撮影、個人や企業が特定されないよう白黒加工)
取材に応じてくれた、大手コンビニエンスストアで働くベトナム人女性(筆者撮影、個人や企業が特定されないよう白黒加工)

日本に来て4年目。日本で就職したい

ー(筆者)よろしくお願いします。

ベトナム人女性(以下、女性):よろしくお願いします。わたし、ベトナム国家大学行きました。

ーベトナム国家大学?

女性:そうです。行ったことありますか?

ーこの前(農林水産省事業の講義で)行ったのは、ベトナム王立(農業)大学。(ベトナムの)食べ物が好きです。フォーも食べるし、あと春巻き・・

女性:生春巻き!

ーはい、時々作ります。(ベトナムの)市場に行ったら、青菜がいっぱいあって。パクチー(シャンツァイ:香菜)もあるし。

ベトナムの市場。茎に穴が空いた空芯菜(くうしんさい)はじめ、多くの種類の青菜がある(筆者撮影)
ベトナムの市場。茎に穴が空いた空芯菜(くうしんさい)はじめ、多くの種類の青菜がある(筆者撮影)

女性:パクチー。食べられますか?

ー食べますね。あとはバインミー(ベトナム風サンドウィッチ)とか。

女性:すごい!パクチーは、日本(人)、ちょっと苦手ですよね。パクチー大好き、素晴らしいですよ。

ーすごい好きで。よく使います。ところで、大学に通ってらっしゃるって聞いたんですけれども。

女性:そうです。

ー日本には、いつぐらいに来られたんですか?

女性:2015年に。最初は日本語学校です。必ずビザが必要でしたので、最初は日本語学校で2年間が終わって。今は大学です。論文を書くんです。あとは就職活動を。

ーじゃあ、日本で就職?

女性:就職したいです。

来日して最初はレストラン、次にコンビニで3年間働いた

ーここに引っ越してくる前も(日本の)コンビニで働いていた?

女性:そうですね。

ーなんで(バイト先を)コンビニにしたんですか?

女性:ベトナムにはコンビニがないです。日本に来て、最初はレストランで働いて・・・チェーンの。時給は高かったですが、私はコンビニの方が興味がありました。なぜなら、便利なサービスが多いから、働きたいと思って。ベトナムにはあまり、いま、(コンビニ)ないです。

ーちょっと増えたのかな?前に比べると。

女性:そうです。今、ホーチミンの方は多いです。ハノイの方は、そんなに多くないです。

ーじゃ、日本のレストランで働いていたけれども、コンビニの方がいいかな、という。

女性:そうです。それでレストランを辞めて。

ーどのくらい働いたんですか?

女性:3年間ぐらい働いて。コンビニのことはちょっと興味がありまして。

ー偉いですね。大学で勉強しながら。

女性:そんなことないですよ。

コンビニ2店舗で働いている 捨てるのが多いのは「おにぎり、パン、デザート」

ー引っ越す前のコンビニ(でのバイト)とここ(のコンビニ)と比べて、何か違いはありますか?

女性:仕事はだいたい同じなので、品出しは、ここの方がそんなに多くない。今、もう1店舗(のコンビニ)でも働いています。

ー2つ?

女性:はい。

ーすごい!

女性:コンビニのことに私は興味がありますから、比べたいなと思っていますので。

ー面白い。比べてみてどうですか?

女性:やっぱり、こちらの店舗の方が、レジが早い。

ーレジが早い?

女性:向こうの店の方が、ちょっとレジが遅い感じがあります。

ー食べ物が余って売れ残って捨てるというのはどうですか?

女性:ここの(店舗)の方が少ないです。向こうの(店舗の)方が多いです。

ーどんなものを捨てますか?

女性:ほとんど、おにぎりとパンが多いです。

ーおにぎりとパン。

女性:あと、デザート。(向こうの店舗は)いろんなデザートがあります。

他のコンビニで廃棄される食品(コンビニ店舗提供)
他のコンビニで廃棄される食品(コンビニ店舗提供)

ーここ(の店)だとどうですか?

女性:ここの廃棄は少ないと思って。

ーじゃあ、少ない中だとどんなものを(捨てる)?

女性:ほとんどおにぎりぐらいです。

ーじゃあ、その、向こうの店舗と比べたら、少ないわけですね。

女性:ここはめっちゃ少ないです。

ー値引きもしていますしね。

女性:そうですね。だから、これ(コンビニの値引き)は、いい方法だと思っています。

ベトナム・ホイアンの光景(筆者撮影)
ベトナム・ホイアンの光景(筆者撮影)

めっちゃもったいない!ベトナムはお金持ちの国じゃない

ー捨てるというのはどうですか。

女性:もったいないです。めっちゃもったいないです!(強調)

ベトナムはお金持ちじゃない国だから、私にとってはめっちゃもったいないと思っています。はっきり言うと。

ーベトナムでは、食べ物を捨てるという経験はしました?

女性:私の家族は、そんなに多くなかったですよ。

ーベトナムでは働いてはいなかったんですよね?

女性:ベトナムでは、昔、働きました。レストランで。

ーその時はどうでした?

女性:ほとんど、捨てたものはそんなに多くなかったです。

ーどんなレストランだったんですか?

女性:大阪料理の店です。すき焼きとか、お好み焼きとか。

ー面白い!こっち(日本)に来てから、東京のレストランはどんなレストラン?

女性:(フランチャイズのお店の名前を挙げる)ご存知ですか?

ー知っていますよ。そこはどうでした?

女性:捨てる料理はそんなに多くなかったです。

ー多くなかった。じゃあ、今だと、その(向こうのコンビニが)一番(多い)。

女性:多いと思います。私の経験で。

ーどのくらいの量が出るんですかね?

女性:たぶん1万円くらいと思う。

ー1日(で)?

女性:はい、1日です。

ベトナムの市場(筆者撮影)
ベトナムの市場(筆者撮影)

コンビニはサービスがめっちゃいい

ーなんでコンビニに興味あるんですかね?

女性:サービスがめっちゃいいと思っています。

ーサービスがいい。いろんなことをしてくれますものね。

女性:そうですね。

ーでも、タバコとか(種類がたくさんあって)大変じゃないですか?

女性:タバコは難しい。昔、大変しました(筆者注:大変でした)。お客様、わからなかったらお客さんがちゃんとして・・・

ー教えてくれる?

女性:はい。

ーじゃあ、お客さんと何か嫌なことはあまりないですか?

女性:私は(そういう目に)遭ったことありません。これはしょうがないですよ。自分の仕事だから。

ーえらいですね。

女性:そんなことないです。

ベトナムの風景(筆者撮影)
ベトナムの風景(筆者撮影)

値引きしたり少しずつ発注したりすれば捨てるのが減るはず

ー何か、こんな風にしたらいいのにな、って、そのもったいない食べ物。こんな風にしたらもっと減るのにな、というのはありますか?

女性:もっと減る?

ー減る。捨てないで。

女性:方法ですか?

ー方法。何か、アイディアとか。

女性:私の?

ーはい、何か。

女性:値引きを貼るシール(値引きシールを貼る)は、いい方法だと思います。

ーじゃあ、(値引きシールを貼る)このお店は、すごくいいと思います?

女性:そうですね。

コンビニで値引きシールを貼る店は全国55,000店舗のうち1%と言われる(映画「コンビニの秘密」より。写真は本文の店舗とは別の店で筆者が撮影し、白黒加工)
コンビニで値引きシールを貼る店は全国55,000店舗のうち1%と言われる(映画「コンビニの秘密」より。写真は本文の店舗とは別の店で筆者が撮影し、白黒加工)

女性:それに、発注する前に、いっぱい発注するんじゃなくて、ちょっと考えて、だんだん(筆者注:少しずつの意)発注した方がいいかなと思っています。

ーこれは売れるから、とか?

女性:そうです。日にちによって、売れる場合、売れる量が違いますから、ちょっと考えた方がいいかなと思います。

ーやっぱり、もったいないですよね。

女性:もったいないですよ!(強調)

ー私は食品メーカーで働いて、その後、フードバンク、食べられるのに捨てちゃうのをスーパーとかメーカーから引き取って、必要な人に配るという活動・・・・

女性:これ(フードバンク)もいいです。なぜなら、コンビニの場合は、そういう風にならないですよね。

ーそれも、変えていきたいですよね。

女性:そうです。

ベトナムのカップラーメン(ベトナムにて、筆者撮影)
ベトナムのカップラーメン(ベトナムにて、筆者撮影)

捨てるのはもったいない!他の国では廃棄のものは店員さんが食べている

ー何か、日本に言いたいことありますか?

女性:もし廃棄の量が多かったら、回収して、食べられるものをちょっと配る感じがいいかなと思っています。捨てることはもったいないんですよ。廃棄するものは、まだ食べられるんですよね。だから、捨てるのはもったいないと思っています。

今、いろんな国では、廃棄のものは、ほとんど店員が食べるということが多いです。だから、店員さんが「これいいから持って帰っていいよ」ということがあったらいいかなと思っています。

リサイクルセンターに運び込まれた食品(撮影:島田幸治)
リサイクルセンターに運び込まれた食品(撮影:島田幸治)

週に4日間、2つの企業のコンビニで掛け持ちバイトしている

ー2つも(コンビニで)働いているってすごい。週にどのくらいずつ、何日ずつ働くんですか?

女性:ここでは火曜日、水曜日、金曜日と土曜日。17時から、夜10時(22時)とか0時(夜中、24時)までの日が。

ー向こうの店舗は?

女性:火曜日と、水曜日。4時(16時)まで。ここは5時(17時)。

ーすごい。続けて。

女性:しょうがないですよ。経験があまりよくないので。

ー仕事をしている中で、日本語も覚えますし、仕事のことも身につきますよね。

女性:そうです。

ーすごいです。

女性:いや、そんなこと。日本のコンビニ、私は大好きです。今、ベトナムにおいて、日本のレストランが多いです。日本のコンビニは、北部の方がちょっと少ないという感じがある。

ーホーチミンの方が多い。

女性:そうです。ホーチミンの方が多い。ハノイの方が少ないです。

ーありがとうございました。

ベトナムでバインミー(ベトナム風サンドウィッチ)を作る女性(筆者撮影)
ベトナムでバインミー(ベトナム風サンドウィッチ)を作る女性(筆者撮影)

取材を終えて

日本のコンビニが大好きで、日本の大手2社のコンビニで働き、「2社のサービスの違いを比べてみたい」と話す女性。夜遅くまで、時には朝から夜中まで、終日働きながら大学での勉強を続けている姿勢に圧倒された。

コンビニの営業活動で食べ物を捨てないための方策として、値引きをすることと、発注を一気に大量にするのではなく少しずつするという、具体的な2つの提案は、理にかなっている。

大手コンビニ各社の回答は、2017年の取材記事で書いた通り、「むやみな値引きは困るが、値引きを制限することはない」。だが、現状では、デイリーと呼ばれる消費期限の短い食品(弁当やおにぎり、パンなど)の値引き販売は全国55,000店舗以上あるコンビニのうち、1%程度しかなされていない(映画「コンビニの秘密」より)。

日本のコンビニの利便性を評価しているベトナム人女性。将来的には日本で就職したいと明言するほど日本を気に入っており、日本のコンビニで4年近くも働いている。そんな彼女は、食べ物を捨てることに対し、「めっちゃもったいないですよ!」と、その時だけ声を大きくしてジェスチャー付きで叫んでいた。

ベトナム人女性の「もったいない食べ物を減らす」ための提案が、コンビニ各社に届き、全国55,000以上の店舗で捨てられる食べ物が、少しでも少なくなることを祈っている。

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