コンビニ弁当や回転寿司の廃棄に物申す!お笑い芸人滝沢秀一さん『このゴミは収集できません』はなぜ売れる

(ペイレスイメージズ/アフロ)

2018年9月下旬、筆者が2回出演したことのあるラジオ番組、J-WaveのSTEP ONE(ステップワン)を聞いていたら、お笑い芸人で、かつゴミ清掃員として働いている、滝沢秀一さんが出演されていた。

ゴミ、特に、日本で燃やして処理しているゴミの中には、重量比で、多いと40%くらい、食べ物のゴミが入っている。食べ物関係のゴミは、水分が多い。食べられるのに捨ててしまう「食品ロス」を減らすことは、ゴミを減らすことでもある。

そう思って話を聞いていたら、6年間ゴミ清掃員として働いてきた滝沢さんのエピソードは、とても面白かった。滝沢さんの著書『このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景』が、すごく売れたという。

長期出張に出かける前に手に入れようと、通販の書店で見たら、すでに在庫がなかった。中古本は、価格が一気につり上がっていた。そこで、いつも本を予約する書店で予約し、手に入れた。

たまたま手に入れたのが、筆者が容器&包装ダイエット宣言という、ゴミ削減のイベントで登壇する前の日だった。

2018年9月29日、首都圏の自治体で構成される九都県市主催のゴミ削減(容器&包装ダイエット宣言)イベントで登壇する筆者(主催者撮影)
2018年9月29日、首都圏の自治体で構成される九都県市主催のゴミ削減(容器&包装ダイエット宣言)イベントで登壇する筆者(主催者撮影)

朝から夕方まで、一日3回登壇し、ゴミ削減や食品ロス削減のクイズを、休日の家族連れが訪れるショッピングモール(イオン浦和美園店)でやる。1回目と2回目の登壇の間、2回目と3回目の間は、待ち時間ができる。会場まで来る時間と、幕間の間に、一気に読み上げた。なぜこの本が売れたのか、自分なりに納得した。

ページをめくらずにはおられない表現力

まず一つ目には、次々ページをめくらせるだけの面白さと表現力がある。

推理小説や面白い本には、読むのが止められないだけのものがある。それと同じような、ページを次々めくらされて、気づいたら読み終わっていた・・・という印象。

たとえば、この本には滝沢さんがお昼に食べている「パードゥン弁当」という表現が出てくる。一瞬、何のことかわからないだろう。理由を聞いて(読んで)みれば「あ、なるほど」と思うのだが、ゼロからそのネーミングが思い浮かばない。まさに、長年、人をエンターテインする(喜ばせる)ことを続けてきた人だからだろう。

イオン浦和美園店で開催された「容器&包装ダイエット宣言」(筆者撮影)
イオン浦和美園店で開催された「容器&包装ダイエット宣言」(筆者撮影)

6年間の日々の発信の積み重ね

二つ目には、6年間のゴミ清掃員の生活の中で、自分で見て聞いて体験してきたエピソードが満載である、ということだ。これは滝沢さんが日頃からTwitterを通して、日々、気づいたことを発信されてきたからこそだと思う。

そしておそらく、その発信に注目した編集者さんが見出して本を出すことになり、その本が実際に売れたという実績をラジオ局の放送作家さんが見つけて、先日のラジオ出演に繋がったのかと思う。滝沢さんの日々のツイートから抽出したエピソードが、本に盛り込まれている。

たとえば、ゴミ清掃員となったギニア人が「もったいない」を連発している話。

漫画も面白い。

筆者は、埼玉県川口市の廃棄物の委員を務めており、廃棄物資源循環学会にも属しているので、ゴミ関連の本や論文をいくつか読んでいる。その上で、滝沢さんの、現場で足で稼いで獲得してきた体験と生のデータは、かなり価値が高いと思う。

食品ロスやゴミ削減に関するクイズに熱心に答えを書き込む女の子と九都県市作成の「食品ロス」のリーフレット(筆者撮影)
食品ロスやゴミ削減に関するクイズに熱心に答えを書き込む女の子と九都県市作成の「食品ロス」のリーフレット(筆者撮影)

ゴミは生きざま

3つ目には、滝沢さんが書いている通り「ゴミには人生を感じる」。ラジオで語っておられたが「心に余裕がないとゴミに気を遣うことができない」。本の中にもある通り、「貧すれば大量に出す」。経済的に充足されていない地域と、比較的裕福な地域とでは、出るゴミが違うのだそうだ。

また、ゴミの出し方で、全てがわかる、という内容もあった。滝沢さんによれば、ゴミの集積場が汚い地域の住民は、ゴミ出し以外のマナーも悪いと推察される。まさに、我が身を正される。ゴミから、人の生きざまや姿勢を(自分が)見られるし、人を見ることができる。

首都圏の九都県市が主催している「容器&包装ダイエット宣言」のユニフォーム(筆者撮影)
首都圏の九都県市が主催している「容器&包装ダイエット宣言」のユニフォーム(筆者撮影)

ゴミを通して知る「日本は食品ロスだらけ」

10年前、居酒屋に勤めていた滝沢さんは、当時から、食品ロスを目の当たりにしていた。そして、今は、ゴミ清掃員として、変わらない日本の現状にメスを突きつける。

何も居酒屋だけでなく、回転寿司で誰も取らなかったお寿司やハンバーガー屋さんで作り置きしていたもの、コンビニ弁当の廃棄などは同様の行為だ。それで店が大きくなっていったのだから、一概に悪いとは言えないが、ことゴミ問題に関して言えば、脱却するべき問題だと思う。

出典:『そのゴミは収集できません』滝沢秀一さん著・白夜書房 p183より

ここの箇所には食品業界への提言が書かれているが、本を通して読んでみると、企業批判ではなく、われわれ一人ひとりのゴミの出し方を問うていると思う。企業に勤めている人だって、一人の生活者だ。

最終章、11章の「私、ゴミ清掃員が日本の未来に物申します」は、心の中で思わず拍手喝采した。上から目線ではなく、現場の体験から事実に基づき社会に提言を呈した、素晴らしい内容だ。

この本をきっかけにして、多くの人がゴミを通して人生や生き方を考え、食品ロス、ひいては日本のゴミがもっと減りますように。ゴミをゼロにするのは難しい。でも、今より減らすことは必ずできる。