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2018年4月17日、農林水産省と環境省が食品廃棄物等及び食品ロス量の推計値(平成27年度)を公表

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
(写真:アフロ)

2018年(平成30年)4月17日、農林水産省と環境省は、平成27年度の食品廃棄物等及び食品ロス量の推計結果を公表した。

食品廃棄物等は約2,842万トン。このうち、本来食べられるにもかかわらず、捨てられてしまった食品ロスは、約646万トンであると推計された。

また、農林水産省と環境省は、食品ロス削減のために小売店で活用できる啓発資材も公表した。

7年前の2011年までさかのぼると、当時、農林水産省が発表していた食品ロスの推計は、ピンポイントの数字ではなく、「500万トンから900万トン」という幅表示だった。

その後、「500万トンから800万トン」と、少し、幅の範囲が狭まった。

その後の経時変化を見てみると、

642万トン

632万トン

621万トン

646万トン

という流れである。

環境省によれば、この推計の計算の根拠として使っている自治体のデータの数は、だんだん増えているとのこと。一見、前の値(621万トン)より増えた(646万トン)ように見えるかもしれないが、おそらく、これまで計算に含めていなかった自治体の食品ロスのデータが増えたことが背景にあるのだろう。食品ロスとひとくちに言っても、それ単体で出てくるわけではない。「燃えるごみ」として出された中から仕分けし、抽出し、計測する作業は、困難の連続だ。食品ロスを正確に計測するのは本当に大変なことだ。全国の市区町村レベルで測定している自治体は限られる。

これまで長年かけて、国や業界、各団体が、食品ロス削減に向けて進めてきている具体的な施策を、これからも、より一層進めていくような機運を作っていけたら、と思う。ここでの情報発信が、その一助になれたら・・・と願う。

参考資料

環境省 平成30年4月17日発表 我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの量の推計値(平成27年度)等の公表について

農林水産省 平成30年4月17日発表 食品ロス削減に資する啓発資材の公表について

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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