大雪の時こそ役立つローリングストック法

備蓄食品の例(レトルト食品・パンや水煮の缶詰・ドライフルーツなど。筆者撮影)

2018年1月22日、首都圏一帯は雪に見舞われた。午後から夕方、夜中にかけて、首都圏各線の駅では入場規制がかけられ、大混雑した。

首都圏各地は普段は慣れていない雪に見舞われた(2018年1月22日、筆者撮影)
首都圏各地は普段は慣れていない雪に見舞われた(2018年1月22日、筆者撮影)

こんな大雪の日には、普段、家にいる人は、外出を控えるだろう。お昼や夕飯の買い物もしづらい。そんな時、役に立つのが「ローリングストック法」だ。家庭での備蓄方法で、使っては買い足していくやり方だ。在庫を回転させていく、「ストック(在庫・備蓄)」を「ローリング(回転)」させるという意味である。「サイクル保存」とも呼ばれる。

ローリングストック法で備蓄する食品の事例(2018年1月22日、筆者撮影)
ローリングストック法で備蓄する食品の事例(2018年1月22日、筆者撮影)

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、被災地域が広範囲に及んだ。市町村の合併により、一つの行政の範囲が拡大し、震災後、5ヶ月以上経っても、公民館などで避難している人たちに、市町村の支援物資が届けられていないケースも、実際に目の当たりにした(2011年8月、筆者の支援活動での体験より)。

市区町村でも備蓄は実施しているが、必ずしも当てにできるわけではない。まずは自分で自分を守ること(自助)。その上で、公共のサポートを受けること(公助)や、地域の人たちや地元の企業などで助け合うこと(共助)。

東日本大震災の翌月、支援物資の仕分け作業をする筆者(2011年4月、知人撮影)
東日本大震災の翌月、支援物資の仕分け作業をする筆者(2011年4月、知人撮影)

自分で自分を守ること。家族の分は、家庭ごとに備蓄するのが基本である。そう考えた時、東日本大震災後から注目されてきたのが、「ローリングストック法」だ。日常生活の中に、普段から食べられる食品を、備蓄として取り入れる。少しずつ買っておき、普段の食事で使ったら、次の買い物で、使った分だけ買い足していく。

たとえば、大雪なので買い物に行けない。家にあるレトルトご飯とレトルトカレーでカレーライスを作ろう。2人分作った。そうしたら、次の買い物で、使った分の、レトルトご飯2つとレトルトカレーを2箱買い足す。(ちなみに大雪が降った1月22日は「カレーライスの日」)

ローリングストック法のメリット その1 備蓄に意識がのぼり、食品ロスになりにくい

ローリングストック法の良い点の一つめは、普段から日常的に「買っては使い、買っては使う」を繰り返すことで、食品ロスが生まれにくい点だ。備蓄食品を非常袋に入れておくと、滅多なことでは開かない。筆者も経験があるが、非常袋に入れておいたレトルトがゆの賞味期限が一年前に切れていたことに気づいたことがあった。

ローリングストック法のメリット その2 鮮度を保つことができる

ローリングストック法のメリットの二つめは、古くなることなく、食料品の鮮度を保った状態で消費できることだ。「備蓄」というと、賞味期限が3年から5年のものも多い。何年も保管しておいて、幸い自然災害も起こらなかった場合、何年も経ってから食べることになる。

ローリングストック法のメリット その3 美味しく日常の食生活に近いものを食べることができる

メリットの三つめは、普段食べているものに近いものを美味しく食べられるということだ。2018年1月11日付の朝日新聞一面、二面に、備蓄しなければならない反面、期限切れ前に活用するのが難しいジレンマと、大量廃棄についての特集記事があった。賞味期限が接近した備蓄食品を寄付される立場のフードバンク側の意見として、『乾パンや2リットルの水は使いづらい』といった内容が挙げられていた。これは家庭でも言えることだと思う。

パン・アキモトが製造するパンの缶詰(写真:パン・アキモト提供)
パン・アキモトが製造するパンの缶詰(写真:パン・アキモト提供)

栃木県のパン・アキモトが製造しているパンの缶詰は、37ヶ月の賞味期間がある(製品によって異なる)。開封してすぐ、ふわふわのパンが食べられる。硬いものが食べづらい高齢者や幼児も食べやすい。

2018年1月、ラジオのJ-Waveで紹介されていた、備蓄食品のイザメシも、五目ご飯や肉じゃが、けんちん汁など、普段から使える食品を取り揃えている。

筆者は、普段から、レトルトご飯やレトルト食品、さばの水煮缶や味噌煮缶などを保存しておき、休日のお昼ご飯に使ったりしている。この機会に、ぜひ、ローリングストック法を取り入れてみて欲しい。

参考記事

一般財団法人日本気象協会「ローリングストック法について」

無印良品「ローリングストック法のススメ」

内閣府「防災情報のページ」

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン(株)、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。「食品ロス削減推進法」成立に協力した。世界資源研究所(WRI)とオランダ政府が運営し食品ロス削減を目指すチャンピオン12.3メンバー。著書に『賞味期限のウソ』『食品ロスをなくしたら1か月5000円の得』。食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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