戦後の「昭和」より「平成」の今の方がカロリー摂取が低い?!

(写真:Fujifotos/アフロ)

1989年1月7日、当時、官房長官だった小渕恵三氏は、「新しい元号は平成であります」と発表した。「昭和64年」は1月7日で終わり、1989年1月8日から新しい元号である「平成」が始まった。そう、1月8日は、平成がスタートした日である。

30年間続いてきた「平成」だが、平成31年(2019年)4月30日で終了、同年5月からは新しい元号が使われることが決まっている。

昭和生まれの人にとっては、新元号ができれば「昭和」「平成」そして新元号と、3つの元号をまたいで人生を送ることになる。

平成の今より戦後すぐの方が国民のエネルギー摂取量は高かった

ところで、メタボリックシンドロームなどの健康上の課題が論じられる今より、戦後すぐの方が、国民の、食品からのカロリー(=エネルギー。単位:kcal=キロカロリー)摂取量の平均値は高かった。

昭和21年(1946年)には1,903kcal、昭和25年(1950年)には2,098kcalだった摂取エネルギーは、平成2年(1990年)には2,026kcal、平成22年(2010年)には1,849kcal、平成26年(2014年)には1,863kcalと、戦後より下がってきている。

参考資料:厚生労働省 日本人の栄養・健康状態の変遷について

摂取エネルギーが減少する一方、摂取エネルギーのうち脂質が占める割合は増えてきている。

摂取エネルギーと供給量との差が拡大した「平成」

「平成」は、食品の摂取エネルギーが下がり、供給量との差が開いていった時代でもあった。

昭和40年(1965年)には、供給熱量が2,497kcal、摂取(需要)熱量が2,202kcalであった。その差は295kcal。

平成17年(2005年)には供給熱量が2,573kcal、摂取熱量が1,851kcal、その差は722kcalになっている。

(ただし、供給熱量と摂取熱量の数字は算出方法や統計解析の方法が異なるため、単純に比較はできない。あくまで廃棄の目安)

農林水産省 平成20年8月8日発表資料より
農林水産省 平成20年8月8日発表資料より

参考資料:農林水産省 平成20年8月8日発表資料

「食料ロスの増加と食生活の変化」(神戸大学 阪本聡子・草苅仁)では、食品ロスが戦後、増えてきた背景として、必要摂取エネルギーの減少、健康志向の高まりによる節食、家族機能の弱体化による個食・欠食の増加、冷蔵庫が普及したことによる食材の大量まとめ買いなど複数の要因を挙げている。

家庭ゴミの中には賞味期限・消費期限前の食品が多数入っている(筆者撮影:東京都23区内にて)
家庭ゴミの中には賞味期限・消費期限前の食品が多数入っている(筆者撮影:東京都23区内にて)

昭和の時代よりも加工食品のロスが増えてきた「平成」

家庭からの食品ロスの調査といえば、昭和55年(1980年)から、京都市が京都大学と協働しておこなっている「ごみ細組成調査」が有名である。

参考資料(p6) 千年の都・京都から持続可能な今後の千年を考える

調査が始まった頃に比べると、平成は、加工食品の廃棄が増えてきているという。京都大学(平成25年当時)の中村亜友美氏の発表によれば、1980年代後半までは、主に生鮮食品(生の野菜や果物)が多く、1990年代、つまり平成になってからは、包装されたままの加工食品の割合が増加し、2000年代以降は、それら加工食品が7割を占めているという。

参考資料:「食の環境最前線」(平成25年2月26日 第四回環境シンポジウム)

持続可能な開発目標(SDGs=エスディージーズ)(国連広報センターHPより引用)
持続可能な開発目標(SDGs=エスディージーズ)(国連広報センターHPより引用)

新時代の食のあり方を創るのはわれわれ

2015年秋の国連サミットでは、2030年までに達成すべき「持続可能な開発目標」(SDGs)も定まっており、2030年までに世界の食料廃棄を半減させる、という数値目標が決められた。食品ロスを減らすため、事業者では具体的な議論や実践が始まっている。だが、日本の食品ロスの出どころのおよそ半分を占めるのは家庭だ。

昔に比べて、国民の平均労働量は減り、エネルギー摂取量が減った。にもかかわらず、相変わらず大量製造・大量販売しているから食品ロスが増えている、とは言えないだろうか。製造者に「なんでこんなにたくさん製造するのか」と問えば、「欠品すると(小売店から)取引停止にされるから欠品できないんだよ。だから必要量より多めに作るんだ」と答えるだろう。販売者に「なぜこんなにたくさん棚に積むのか」と問えば、「だってお客さんがせっかく来てくれたのに欠品だったら困るから」と答えるに違いない。

製造者は「販売者」のために。

販売者は「消費者」のために。

でも、私たち「消費者」は、必要以上に製造され販売されることを望んでいるのだろうか。必要以上に製造し、流通させ、販売し、欠品を防ぐためのコストは、間違いなく、食品価格に転嫁されている。

昭和に比べて、平成は、その格差(摂取と供給の差)がますます広がった。これから新元号を迎えるにあたり、この姿勢をこのまま続けていくのか?

昭和から平成にかけて広がってきた摂取量と供給量の差、すなわち食品ロスを減らせるかどうかは、我々一人ひとりの意識と行動にかかっている。

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン(株)青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で食料廃棄に憤りを覚え、誕生日を冠した(株)office3.11設立。日本初のフードバンクの広報を委託され、PRアワードグランプリソーシャルコミュニケーション部門最優秀賞へと導いた。『食品ロスをなくしたら1か月5,000円の得』『賞味期限のウソ』。食品ロス問題を全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして2018年、第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門受賞。Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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