3連勝を目指すなでしこジャパンの”キープレーヤー”はこの3選手

1、2戦共にキレのあるドリブルで活躍を見せたなでしこジャパンのFW横山久美(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

リオ五輪出場に向けて窮地に立たされているなでしこジャパンが今晩(3月4日)、第3戦の中国戦を迎える。3連勝して五輪出場の切符をつかむために必要な戦術(前編記事はこちら)に続き、後編の今回は残り3戦での「キープレーヤー」についてスペインのバルセロナで活躍するサッカー指導者の坪井健太郎氏(UEコルネジャ・ユースB第2監督)に話しを聞いた。

■中心選手になる可能性を秘めた有吉、川村、横山

第2戦の韓国戦は初戦(オーストラリア戦)から先発を6名入れ替えるスタメンとなったが、坪井氏は「2試合続けて出場をした宮間あや、大儀見優季、熊谷紗希、有吉佐織、川澄奈穂美の5選手が現状、佐々木則夫監督が考える『中心選手』だと思います」と述べる。10日で5試合という過密日程のアジア最終予選であることから「コンディション面を考えて今後の試合もターンオーバーで先発の入れ替えはあると思います」とした上で、坪井氏は「1、2戦を見る限り、有吉、川村優理、横山久美の3選手が今後の中心選手になる可能性を秘めています」と選手名を挙げた。

前編でも名前を出した有吉について坪井氏は次のようにコメントする。「サイドバックとして高いポジショニングからの攻撃能力はもちろん、守備の1対1で負けない守備力を持っています。攻守において仕事ができて、どちらの仕事の精度も高いので彼女はすごくいいレベルにある選手だと思います」

韓国戦ではボランチとして先発フル出場を果たした川村についても坪井氏は「ディフェンス能力が高く、フィジカル面での高さ、強さがあり、セカンドボールも拾えるボランチです。彼女のようなボランチが1枚いるともう一枚のボランチはすごく楽になります」との評価を与えた上で次のように続ける。「攻撃でもクロスに対してエリア内に積極的に入っていきますし、攻撃の戦術レベルも高い。実際、ボールを受ける時には必ず半身で受けていて、受ける前にはちらちらと逆サイドを気にしながらパスを受けています。見えている情報量が多い選手なので、判断に必要な知識や材料を与えることでもっと良くなると思います」

■横山を使った攻撃のプレーモデル構築を

最後にこの2試合で存在感を発揮している横山については、「彼女を使った攻撃のプレーモデルを作るべきです」とまで言い切る。「今のなでしこを見ていて、彼女の仕掛けは決定的なチャンスが作れる形になりそうです。後ろがバタバタしていてチームとして上手くボールを保持、前進させられていないので彼女の足元にもっとボールを入れていった方がいいでしょう。横山は一人で相手の守備バランスを崩せる選手なので、出来ればサイドに張らせ、彼女の足元にボールをつけてから前進のチャンスを伺う形を作りたいところです。宮間のような中心選手がそれを意識してボールをつけ始めると攻撃の形になっていくと思います」

「今のところなでしこジャパンのパス回しを見ていてもどこから、どちらのサイドから攻めたいのかが伝わってきません」と坪井氏が指摘する通り、オーストラリアも韓国も『なでしこ対策』の守備を用意してそれぞれ1失点こそしたものの勝ち点をつかみとっている。だからこそ、3連勝を目指すなでしこジャパンに今必要なことはこの2試合で中心選手になる可能性を見せた有吉、川村、横山という3選手を活かした攻撃の形を意図的に作り出すこと。

その意味で、一番形が作りやすいのは「横山の足元に付けるプレーモデルの構築」だと坪井氏は説明する。「狭い局面でも個ではがせる横山であれば男子サッカーのイニエスタ(FCバルセロナ)のように足元につけても、そこから局面打開してくれますので、彼女を起点に相手の守備組織を崩していきたいところです。中央突破の場合は大儀見が相手のボランチとDFラインの間に下りていってポストプレーで宮間と絡む形になるでしょう。ただ、2試合を通じて最終ラインからミドルレンジのビルドアップの“刺す”縦パスが出てきていないので、まずはサイドに活路を見出した方がいいと思います。その形を判断するのが宮間で、彼女の配球で攻撃をコントロールしていけばいいでしょう」

前編記事:「戦術で負けた」なでしこジャパンに今必要な戦術