「地元」に残った学生とローカルニュースのいい関係?:敬和×日報「Newsナビ」から考える

2014/6/9配信、敬和×日報「Newsナビ」出演者たち

2013年6月に、新潟日報の電子版、新潟日報モアのスタートにあわせて、私が学生たちと始めたUstream番組、敬和×日報「Newsナビ」が9日で1周年を迎えました。新潟日報の協力で制作しているので、手前味噌では有りますが、2014年6月11日新潟日報朝刊でも、1周年配信の様子を記事にしていただきました。

敬和学園大(新発田市)の学生が新潟日報に掲載されたニュースを基に議論を繰り広げる番組をインターネットで配信する「敬和×日報 Newsナビ」が1周年を迎えた。9日夜、節目となる25回目の収録が新潟市中央区の新潟日報メディアシップで行われ、古町芸妓(げいぎ)と花街の文化について学生らが語り合った。

出典:敬和×日報Newsナビが1周年|社会|新潟県内のニュース|新潟日報モア

この番組は、新潟日報のデジタル戦略室からご提案をいただき、敬和学園大学でやっているUstream番組「Keiwa Lunch」から派生した番組です。隔週月曜の夜Ustreamを使って、新潟日報本社メディアシップから番組を配信、アーカイブをYoutubeで公開しています。内容は、大学生の日常を伝えている「Keiwa Lunch」に比べればかなり硬めで、新潟日報に掲載された記事について、記者の皆さんなどにお話を聞いて、「深掘り」をしていこうというものです。

Newsナビ
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敬和×日報「Newsナビ」

私自身は、学生たちが、この取り組みを通じ、ニュースに対する関心を高めてほしいと思い、続けてきました。特に新潟のニュースに対する学生の関心は、決して高いとはいえないのですが、地元に残った学生たちが、ローカルニュースから情報を得て、考えを深めたり、行動したりしてほしいと思っています。今週の配信でも「古町芸妓」について、思った以上に学生たちの関心は高まりました。

新潟日報の関係者の皆さんとも、同じ思いを共有していると思っていますが、同時に、日報の関係者には独自の問題意識もあるでしょう。私なりの想像も交えながら、この取り組みが地域メディアを作っていく上で役に立っているのではないかと思うことをまとめてみました。

新潟日報は、というよりは、新聞業界全体がそうですが、読者層が高齢化していくなかで、どのように新聞自体が変化していくか、という課題を抱えています。新聞「紙」という情報の「コンテナ」をウェブやデジタルと組み合わせながら、今後どうしていくかという点。その中身であるニュースという「コンテンツ」をどうしていくかという点。新聞という形式と中身が、モバイル全盛の社会、関心が多様化する社会において、どのように存在感を発揮していくべきか。Newsナビのような取り組みは、こうした課題を解決する糸口を見つける作業になるのではないかと思っています。まだ答えは見えませんが。

コンテンツとしてのニュース、とりわけローカルニュースを若者たちがどう見ているのか。「新聞」から若者が離れているといい、最近は保護者世代も新聞を読まなくなっているという状況も見えてきています。一方、「世間体」としての新聞というのもあって、「読んでません」「取ってません」とはいいにくい雰囲気もあり、「ニュース」に対する若者の感覚はつかみにくい構造になっています。また、「アニメ」「ゲーム」が若者たちの支持を集める一方、「地域」への関心は、薄まっている、あるいは、非常に表面的なレベルにとどまっています。敬和学園大学の学生の多くは、新潟県出身者で、いわば地元に残った学生たちです。しかし彼ら/彼女らが、「アニメ」「ゲーム」「ファッション」「音楽」のようなユニバーサルなコンテンツに向ける関心に比べて、「地域」「ローカル」に対して、高い関心を持っているようには見えません。さらに「ローカル」のライバル(?)として、「友だち」や「個人」があります。SNSには友だちの近況という、さらにローカルな「ニュース」があり、ウェブ上には個人の提供する面白いコンテンツがあります。よほど自分の生活に切迫したニュースでもない限り、新聞が取り扱っているローカルニュースは、遠くの出来事と大して変わらないものに見えているのではないか。そう感じるときもあります。たぶんこれは、都会が若者を吸い取っていく構造や、地方の「イオン化」と同じ問題の言い換えなのだと思います。ローカルニュースは今のままだと、シャッター通りと化した「街なか」の商店街のような状態、つまり、「大事にしなきゃといいつつ、みんなあまり興味を持たなくなってしまったもの」になってしまいそうです。

ただそれはひょっとすると、新聞が提供する「ローカルニュース」なるものが、高齢者志向になっているからなのかもしれません。ユニバーサルなコンテンツに満たされている若者とて、自分の住んでいる街に興味がないわけではでしょう。少なくとも興味を持っている学生たちはいるのですが、彼らの関心に応えるメディアとして、果たして地方紙は機能しているのか。少なくともこのような問いかけは可能です。Newsナビの配信では、学生たちがたびたび「素朴な疑問」をぶつけてくれて、私は自分の指導のダメさ加減をさらすようで冷や汗をかくのですが、一方でそれはコメンテータやゲストに対しては効果的な「変化球」で、番組を盛り上げるいいアクセントになっていますし、新聞の切り口と若者との距離を浮き彫りにしているように感じています。このプロセスが、「地元」に残った学生とローカルニュースの間の歩み寄りをうながしていて、いい関係を構築していく手助けになりそうな予感を持っています(もちろん、変な汗を書かなくてもいいよう、学生たちにはもっと勉強してきてほしいというのも、私の本音ではあるわけですが、、、)。

1年間ほぼ毎回、新潟日報社のオフィススペースを使わせていただいて、配信を続けてきました。2年目からは、新潟日報メディアシップ1Fの新潟日報情報館COMPASSを使わせていただくことになりました。こちらは公開スペースなので、公開での配信を続けていくことができそうです。ニュースと若者の距離感を探る番組でもありつつ、独自の視点で新潟のニュースを「深掘り」し、新潟に関わる全ての皆さんと交流する場として、育てていきたいと思っています。番組は隔週月曜の19:30スタートなので、是非皆さん遊びに来てください。

敬和×日報「Newsナビ」 - YouTube

新潟日報モア「新潟ソーシャル時評」の記事を加筆修正の上掲載】