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球場に観衆が集い、ランナーが街を駆け抜けた。ポスト・コロナ期を迎えたボストンのペイトリオッツ・デー。

一村順子フリーランス・スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 レッドソックスは18日(日本時間19日)、本拠地フェンウェイ・パークで、ツインズとの開幕カード最終戦を行った。この日はマサチューセッツ州の休日「ペイトリオッツ・デー」。恒例のボストン・マラソンが開催され、試合開始は午前11時11分。レ軍の沢村拓一投手も「少年野球以来じゃないですか」。午前9時過ぎにはフィールドに出て練習を始めた。8回一死一、三塁から1回1/3回を投げ、1被安打無失点。チームは3−8で敗れた。

 フェンウェイ・パークがコロナ禍の2020年は無観客、昨年開幕時は12%に観客制限されたように、今年で第126回開催のマラソンも2020年は中止、2021年は10月に延期された。15日(同16日)にツインズとの本拠地開幕戦を行った聖地は、チケット完売の3万6266人の観衆が集まり、同カード4試合の総観客動員は13万2628人。マラソンには122カ国から約3万人が参加した。

 同州の学校は春休みに突入し、当地はスポーツ三昧。週末のTDガーデンは16日(同17日)にNHLブルーインズはピッツバーグ戦を行い、翌17日(同18日)はNBAセルティックスの本拠地に早変わり。プレーオフ第1Rのネッツ戦を行うなど、街中が湧いていた。

 「街の至る所にスポーツがある。野球ファンでなくても、バスケも、ホッケーも、マラソンも楽しめる週末が戻ってきて嬉しい」とコーラ監督。隣接するロードアイランド州出身のバルデリ監督も「この時期のボストンは特別だ。フィールドにも街にもエネルギーが溢れているのが感じられる」と語った。

 屋内のマスク着用義務も解除され、ポスト・コロナ期に移行する米国。ボストンも一見、3年ぶりに風物詩が戻ったかのようだが、細部に目をやれば、国際情勢の反映も垣間見える。ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受け、マラソン主催者はロシアとベラルーシからの参加を禁止した。両国の在住者でなければ、出場できるが、国旗を掲げるなどの行為は禁止され、伝統のレースも世界の動きと無関係ではない。奇しくも、ウクライナ国旗はボストン・マラソンのカラーと同じ。沿道では黄色と水色の旗が揺れていた。様々な思いが交差する中、球音は響き、ランナーは街を駆け抜けた。ボストンに春がやってきた。

フリーランス・スポーツライター

89年産經新聞社入社。サンケイスポーツ運動部に所属。五輪種目、テニス、ラグビーなど一般スポーツを担当後、96年から大リーグ、プロ野球を担当する。日本人大リーガーや阪神、オリックスなどを取材。2001年から拠点を米国に移し、05年フリーランスに転向。ボストン近郊在住。メジャーリーグの現場から、徒然なるままにホットな話題をお届けします。

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