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世界バレー ブラジル戦直前に振り返る。28連敗中のブラジルを近年、最も苦しめた全日本は?

市川忍スポーツライター
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

本日、全日本男子は世界ランキング4位(今大会開幕前)のブラジルと対戦する。

全日本男子が最後にブラジルに勝利したのは1993年のワールドリーグ予選(現ネーションズリーグ)で、日本は3対2で勝利したもののその後、2セットを奪うこともままならず28連敗中だ(親善試合は除く)。※対戦表は最後部に

強い日本の復活を予感させた2019年W杯

直近で最もブラジルを苦しめたのは2019年、日本で開催されたワールドカップだろう。

石川祐希、小野寺太志の活躍。そして途中から投入されたセッター・藤井直伸が流れを変え第2セットを奪った。

背番号3が藤井選手
背番号3が藤井選手写真:YUTAKA/アフロスポーツ

最終的には1対3で敗れたが、強い日本の復活を予感させる戦いを見せた。

バレーボールファンに語り継がれる2007年W杯

そして、とりわけバレーボールファンの記憶に強く残っているのは2007年ワールドカップのブラジル戦ではないだろうか。

日本が3勝7敗で迎えた最終戦。対戦するブラジルはこの大会、初戦でアメリカに敗れたあとは1セットも落とすことなく最終戦を迎えていた。総合成績は9勝で、この大会の優勝をほぼ手中に収めていた。

日本は石島雄介のサービスエース、越川優のスパイクや山村宏太のブロックで第1セットを25対23で奪う。

その後、第2、第3セットを奪い返されて迎えた第4セット、事件は起きた。

富松崇彰のクイックで2対1とサイドアウトを取った場面で越川にサーブが回る。エンドラインいっぱいに入るサービスエースで日本は完全に波に乗った。2本目は当時、世界一との呼び声が高かったリベロ・セルジオの腕を弾いて連続サーブポイント。

高い集中力でボールをつなぐ日本は、最後の一本を託された山本隆弘がスパイクを決め、ラリーを制す。日本が得点を重ね、7対1とリードを広げる。誰もが日本がセットを奪うことを想像しただろう。

ところが、その後、ブラジルがサイドアウトを取った場面で審判団が試合を止めた。主審が何度もコートとジュリーに確認を取って、何かを日本ベンチに告げる。

ラインアップシートと出場選手の名前に誤りがあったのだ。

国際ルールにのっとり、日本の得点はすべて取り消されることとなった。

得点ボードの数字が7、6、5…と減っていき0に戻される中、何が起きたのかわからない観客席からは、悲鳴や戸惑いの声が沸き上がり、場内は大騒ぎとなった。

0対3からの試合再開。

その後、試合の流れは完全に変わり、第4セットもブラジルが奪って試合は終了した。

ただし全日本はその悔しさを糧に翌年、北京オリンピック出場を賭けた世界最終予選で勝利し、16年ぶりとなるオリンピックの出場権を獲得した。

2007年ワールドカップの全日本
2007年ワールドカップの全日本写真:アフロスポーツ

こうした過去の数々の悔しさを、近年最強と言われる現全日本男子にぜひとも晴らしてもらいたい。

全力のブラジルとどう戦うか。

ブラン監督は開幕前の会見でこう語った。

「世界選手権にはネーションズリーグで故障、欠場していた選手が復帰し、どの国も万全な状態で臨んできます。ブラジルのオポジットも復帰するでしょう。すべてのチームにとって重要な位置づけの大会で、とりわけ世界ランキングのトップ10に入るチームにとって、世界選手権で勝つことが極めて大事になってきます」

世界のトップチームへの仲間入りを果たすためには、善戦ではなく、勝利したいところだ。

~連敗中の詳細~

1993年 ワールドグランドチャンピオンズカップで1対3 ●

1995年 ワールドカップ95  0対3 ●

1997年 第8回ワールドリーグ予選リーグ 0対3 ●

1997年 第8回ワールドリーグ予選リーグ 0対3 ●

1997年 第8回ワールドリーグ予選リーグ 0対3 ●

1997年 第8回ワールドリーグ予選リーグ 1対3 ●

1997年 ワールドグランドチャンピオンズカップ 0対3 ●

1998年 第14回世界選手権 準決勝リーグ 0対3 ●

1999年 ワールドカップ99 1対3 ●

2001年 2001グランドチャンピオンズカップ 0対3 ●

2003年 2003ワールドカップ 0対3 ●

2005年 2005ワールドリーグ予選ラウンド 0対3 ●

2005年 2005ワールドリーグ予選ラウンド 1対3 ●

2005年 2005ワールドリーグ予選ラウンド 0対3 ●

2005年 2005ワールドリーグ予選ラウンド 0対3 ●

2005年 2005グランドチャンピオンズカップ 1対3 ●

2007年 FIVBワールドカップ2007 1対3 ●

2008年 2008ワールドリーグ決勝ラウンド 0対3 ●

2009年 ワールドグランドチャンピオンズカップ2009 0対3 ●

2011年 FIVBワールドカップ2011 0対3 ●

2013年 ワールドグランドチャンピオンズカップ2013 0対3 ●

2017年 ワールドグランドチャンピオンズカップ2017 0対3 ●

2018年 FIVBバレーボールネーションズリーグ2018予選ラウンド 0対3 ●

2019年 FIVBバレーボールネーションズリーグ2019予選ラウンド 0対3 ●

2019年 FIVBワールドカップ2019 1対3 ●

2021年 FIVBバレーボールネーションズリーグ2021 予選ラウンド 0対3 ●

2021年 第32回オリンピック競技大会2020 東京 0対3 ●

2022年 FIVBバレーボールネーションズリーグ2019予選ラウンド 0対3●

スポーツライター

現在、Number Webにて埼玉西武ライオンズを中心とした野球関連、バレーボールのコラムを執筆中。「Number」「埼玉西武ライオンズ公式ファンブック」などでも取材&執筆を手掛ける。2008年の男子バレーボールチーム16年ぶり五輪出場を追った「復活~全日本男子バレーボールチームの挑戦」(角川書店)がある。Yahoo!公式コメンテーター

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