世界バレーの盛り上がりを、新・国内リーグV・LEAGUEにつなげ

(写真:松尾/アフロスポーツ)

世間の注目を集める絶好のチャンス。しかし……

全日本代表女子バレーボールが出場している世界選手権2018が大いに盛り上がりを見せている。

10月10日、名古屋で行われたセルビア戦では、リオデジャネイロオリンピックの銀メダルチーム、セルビアを3対1で破りテレビ中継の最高瞬間視聴率も19%台をたたき出したそうだ。翌日のブラジル戦にはフルセットで敗れたが、SNSのトレンドランキングでは「世界バレー」「ブラジル戦」などバレーボール関連の単語が上位を占め、世間の注目の高さを表している。

では選手の知名度はどうか。長く代表を引っ張ってきた荒木絵里香(トヨタ車体クインシーズ)やリオ五輪でも代表に選ばれた石井優希(久光製薬スプリングス)。リオでは惜しくも最終選考入りを果たせなかったが、2015/2016VプレミアリーグではNECレッドロケッツを10年ぶりの優勝に導き、今大会でも安定した活躍を見せる古賀紗理那などタレント揃いで、個々の知名度は高い。加えて今年度の全日本で一躍、脚光を浴びた黒後愛(東レアローズ)などスター選手が勢ぞろいしている。

しかし、残念なのは全日本代表の試合が国内リーグへの人気や観客動員に結びつかないことだ。

これまでも大きな国際大会が開催されるたび、課題とされてきたが、今年度に関してはこのまま見過ごすことはできない。

なぜならVプレミアリーグは今年度から名称を「Vリーグ」と改め、ビジネス化を目標に生まれ変わるからだ。

2017/2018シーズンのV・プレミアリーグの集客数は、前年度より1試合平均で1000人も減っている。Vリーグを運営するV機構の危機感は大きい。

とはいえ集客のためのプロモーションに目を向けると、まだまだ物足りなさが残る。視聴率が19%を超えるほどの露出は、大きなビジネスチャンスだ。この機会に「この選手の試合を見たい」と思ってくれた視聴者がいても、現状のV機構の広報活動は既存のファンへの情報発信ばかりで「どのチームに所属しているのか」「Vリーグはいつ始まるのか」「どこへ行けば試合を見られるのか」という世界バレーを見て興味を抱いた人が求めるような情報が見当たらない。

コアなファンは日程を調べ、すでにチケットを用意しているだろうが、この国際大会は、バレーボールに興味を持ち始めたばかりの人にアピールするまたとないチャンスなのだ。どうしても、もったいないと感じてしまう。

企業スポーツからビジネス化への転換

ではなぜ国際大会は国内リーグの人気につながらないのか。

もちろん過去には国際大会のあと、Vリーグの会場が急に満員になった例もある。近いところでは2015年のワールドカップ直後だ。大活躍した柳田将洋(当時サントリーサンバーズ)見たさにファンが押し寄せ、開幕カードでは急遽、アリーナの客席を増やす事態となった。サントリーはいち早くサポーター獲得のための改革を進めているが、チームによって、その意識に温度差があるのは否めない。

そもそも企業スポーツのチームが中心だったVプレミアリーグにおいて、バレーボールチームの存在は社員の士気高揚、福利厚生であるという概念からスタートしている。

観客動員がすぐに監督以下スタッフ、選手の報酬には響かない。そのため「何が何でもサポーターを会場に呼ぼう」という意識が薄かった。

しかし、新リーグ構想によって、変わらなければならなくなった。新リーグ参加のライセンス条件の中には「SNSのアカウントを持ち広報に活用する」ことも含まれている。新リーグに参加するにはライセンス条件を満たさなければならない。今年になって慌ててアカウントを開設したチームも多く、まだ運用には不慣れな面もあるだろう。プロ野球チームの中には、SNSによるマーケティングの重要性に目をつけ、専属の担当者を置いて頻繁に更新させている球団もある。そこまで人件費をかけられないであろうバレーボールのチームに、同じことを望むのは酷だが、ぜひこの「世界バレー」というチャンスを逃さずに、所属選手をアピールしてほしい。

古賀紗理那選手はNECレッドロケッツでも、後衛からの攻撃参加意識が高く、かっこいいバックアタックを決めるし、黒後愛選手は高い打点を生かしたスパイクで会場を沸かせてくれることだろう。荒木絵里香選手の、決して手を抜かない全力助走のクイックが生きて、ほかの選手のスパイクもより輝くトヨタ車体クインシーズのゲームも見どころが満載だ。

女子Vリーグ・ディビジョン1の開幕は11月3日。東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館ではデンソーエアリービーズ対NECレッドロケッツ、久光製薬スプリングス対東レアローズの2試合が行われる。

間近でボールが弾む音を聞き、選手のひたむきな姿を見られる、バレーボール観戦は楽しい。そんな風に思っていただけるに違いない。