なぜ今海外でポッドキャストに注目が集まっているのか?

世界で2億人以上が利用するSpotifyのCEO、ダニエル・エク氏(写真:ロイター/アフロ)

音声コンテンツをスマートフォンなどで視聴するポッドキャストに関するニュースが連日のように海外で話題になってます。なぜ今ポッドキャストに注目が集まっているのでしょうか?

まずは最近話題になっている主要ニュースを3つほどご紹介します。

【1】世界で最も人気のあるオーディオ・ストリーミング・サブスクリプション・サービスのSpotify(月間アクティブ利用者2億人以上)が2月と3月に立て続けにポッドキャスト関連のスタートアップ企業3社(「Gimlet Media」「Anchor」、「Parcast」)を買収したこと。

【2】人気ポッドキャスト番組が次々とNetFlixやAmazon プライムビデオなどでオリジナルドラマとして製作され話題作として注目を集めていること(世界中で5200万回以上ダウンロードされた恋愛ホラー番組『ダーティ・ジョン -秘密と嘘-』、ジュリア・ロバーツ主演のサイコスリラー『ホームカミング』など)

【3】2006年からデジタルメディアトレンドの調査を行っている調査会社(エジソン・リサーチ)が3月初旬にまとめたレポートによると、米国内でポッドキャストを聴いたことがある人が51%と半数を超え、1.44億人に達したこと。今年始めの1ヶ月間の間にポッドキャストを聴いた人の割合も昨年の26%から32%に急増し、今や米国民の1/3が視聴するメディアに成長していることを示している。

なぜ今海外でポッドキャストに注目が集まっているのか?

なぜこのように突然ポッドキャストに注目が集まっているのでしょうか?国内ではまだ耳馴染みがないポッドキャストなので違和感があるかもしれません。大きな俯瞰した視点で見ると、20年前くらいにブログが急速に注目を集め、誰もが簡単に自分のアイディアをテキストを通じて表現することが可能になった頃に合い通じるものがあるような気がします。

当時ブログの更新情報を簡単にフォロー出来るようになった「RSSフィード」を通じて最新情報をフォローすることが出来るようになったように、現在はSpotifyなどに多くのポッドキャストコンテンツがあることで関連する音声コンテンツがより見つけやすくなっています。依然アップルのiTunesを通じてポッドキャストを消費する人が半数以上ですが、月間2億人以上が利用するSpotifyが本気でこの分野に参入しつつあることのインパクトは計り知れません。SpotifyCEOのダニエル・エク氏は将来Spotifyで視聴されるコンテンツの2割はポッドキャストなど音楽以外になる、と明確に語っていて、今後も更に買収を進めていくことが予想されています。

音声コンテンツの作成、編集に関しても、以前よりだいぶ環境が改善し、Spotifyが2月に買収した「アンカー」というアプリを活用すれば、スマートフォンだけで簡単にポッドキャストを始めることができます。

アンカー(Anchor)の紹介動画:スマホだけでポッドキャストの収録・編集・配信、更には視聴データの閲覧・分析も可能

ポッドキャストの強みとして頻繁に挙げられる親密さ

ポッドキャストの強みとして語られる言葉として「親密さ」(intimacy)がよく挙げられます。日本でも深夜ラジオなどに熱狂的なファンが数多くいるように、音声コンテンツを消費する際には一対一で会話しているような親近感が感じられることと思います。メディアビジネスに大きな変革の波が押し寄せ、サブスクリプションなどによる課金ビジネスのモデルを模索しなければいけない時代において、「親密さ」を通じて「エンゲージメント」を高めようとするメディア企業は少なくありません。

2017年にいち早くポッドキャスト番組、「ザ・デイリー」をスタートさせ大ヒットコンテンツに成長させたニューヨーク・タイムズのみならず、今ではBBC、エコノミスト、Quartz、FTなど、毎朝のポッドキャスト配信をしていない主要ニュースメディアはほぼないといっていい状況になっています。

ポッドキャストと言っても実は様々なパターンがあります。著名人やパーソナリティが対話調で番組を運営するタイプ、或いはエピソードごとにゲストを招いてある特定のテーマに関して多様な視点を紹介するタイプ、ドラマ化された『ホームカミング』や2015年に大ヒットした『シリアル』などはプロのプロデューサーにより作り込み、製作された作品、そしてニュースなどを裏話も交えて文脈を踏まえて届けるタイプなどがあります。ブログが始まった頃にも日記からエッセイなど、あらゆる形態のコンテンツが誕生していきましたが、今後ポッドキャストというメディアを通じて新しいクリエーターも数多く誕生していくのではないかと思います。

人気ポッドキャスト番組をドラマ化した『ダーティ・ジョン -秘密と嘘-』シーズン1 予告編- Netflix

音声コミュニケーションを促進するハードウェアデバイスの進化

最後に、ポッドキャストが更に飛躍するのではないか、と思える理由はスマートスピーカー、そしてワイヤレスイヤホンなどのハードウェアの進化です。今日付のブルームバーグの記事によると、今年の9月にもアップルのAirpodsのようなワイヤレスイヤホンがアマゾンにより販売されるそうです。アレクサ対応しているはじめてのモバイルデバイス、ということで音声コンテンツを通じてますます「音声」を起点としたデジタルライフに拍車がかかっていくことが予想されます。

現在AppleのiTunes上には60万ものポッドキャストチャンネルが存在しているそうです。国内ではまだポッドキャストの認知は低いと思われますが、Voicyなど音声メディア事業に取り組むスタートアップ企業には資金調達や業務提携関連の報道も相次ぎ、勢いが感じられます。2019年を通じて、国内、国外ともに、どのようにポッドキャスト業界が進化していくのか、注目していきたいと思います。