配信3週間で5万人が購読、開封率50%のトランプ政権まとめニュースレターの成功の秘密とは?

主要メディアを名指しでフェイクニュースと言い放った記者会見でのトランプ大統領(写真:REX FEATURES/アフロ)

■開設後たった3週間でニュースレターは約5万人が購読、開封率は5割以上

「普段みなさんは日々のニュースにどのように接していますか?」そんなテーマに興味を持っていた際、とても面白いニュースサイトを先日見つけました。その名も『What the Fuck Just Happened Today?(一体全体、今日何が起きたのか?)』という変わった名前のサイトです。トランプ政権発足直後に、毎日溢れんばかりの、しかも信じられないようなニュースが次々と流れることに対し、ニュース好きな個人が、趣味のサイドプロジェクトとしてスタートしたものです。

バナー広告や画像もなく、寄付の依頼とニュースレター申込があるシンプルなサイト
バナー広告や画像もなく、寄付の依頼とニュースレター申込があるシンプルなサイト

フォーマットはとても簡単なもので、トランプ政権に関する主要ニュースを毎日約10本から15本程度厳選し、eメールのニュースレターとして配信、同じ内容をウェブサイトにもアップロードする、という構成です。シンプルな内容で分かりやすいとの評判が口コミ、ソーシャルメディア上で話題を呼び、スタートからたった3週間の時点でニュースレターの購読者は既に4万8千人を超え、ニュースレターの開封率は5割以上であり、ウェブサイトのアクセスも2月は250万PVを超えそうである、とサイトを運営しているマット・カイザーさんはインタビュー記事で語っています。

参照記事:

Meet the wildly popular blogger chronicling President Trump one day at a time (Poynter 2017/2/14)

ニュースレターで紹介されている記事はニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなどの主要メディアで掲載されているものがほとんどです。もともとニュース好きでメディア企業での勤務経験のあるカイザーさんが、毎日様々なニュースまとめサイトをチェックしてニュースを選び、レイアウトして配信しており、問い合わせ対応なども含め、毎日だいたい3時間から6時間程の時間を費やして運営しているそうです。

ニュースレターがここまでの注目を集めたことに、インタビューの中でカイザーさんは驚きつつも、その理由として以下のような理由を挙げています。

明確なひとつのテーマを掲げ、良質なコンテンツを明確に出典を明記した上で厳選し、リンクとともにシンプルな文体やフォーマットで、読者が求めているものを理解した上で運営している、と。

プロジェクト自体は営利目的ではなく政権発足から100日間更新し続けることを目標にしており、サイト上もバナー広告などは一切掲載されておらず、寄付を募るリンクがトップページで紹介されています。

■情熱を持った個人によるキュレーション活動の可能性

昨今、メディア、ジャーナリズムをめぐる環境は国内外で大きく揺さぶられている状況にあります。Facebookのニュースフィードにはフェイクニュースなどのセンセーショナルな内容のものがより拡散されてしまう傾向があったり、自分と同じような考えを持った情報を知らず知らずのうちに鵜呑みにしてしまうなどの問題が指摘されています。また、伝統的なジャーナリズムに取り組んできた新聞、雑誌社などが、減少が止まらない広告費や購読費の影響で人的・経済的リソースの減少を余儀なくされている事態も世界的な課題として存在しています。

そんな時にふと思います。もしこのカイザーさんのような人がそれぞれの地域に存在し、その人が情熱を持っているテーマに関して同じようなプロセスでニュースのキュレーション活動をすることで、多くの人に「届くべき情報」がより効果的に届くようになるのではないかと。その結果、適切な形でトラフィックや広告収益が情報源であるニュースサイトにもたらされることが可能になれば、ささやかながらでもメディア環境の健全化につながるのではないかと期待します。

確かに「トランプ大統領」をめぐるニュースは毎日注目度は高いので同じような規模で、同じようなスピードでサイトが成長することは難しいかもしれません。ただ、誠実に、独自の視点や目利き力を持った個人による情報発信が可能になることで、そのトピックが健康、子育て、趣味、地方自治、闘病、災害時の情報、ビジネスなど、幅広い分野での可能性があるのではないかと感じます。

カイザーさんは毎日のニュースの中で気になる記事をエバーノートで保存し、毎日振り返りながら整理するという行為を通じて、ニュースのまとめが非常に価値があることに気づいた、と語っています。

ツールやノウハウはその人によって好みや独自性はあると思いますが、様々な成功事例、便利なツール、或いは俯瞰的な海外発のメディアトレンドなどを、今後も定期的にレポートしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。