【被災者からのメッセージ11】「私道崩落」で数千万円の自己負担 熊本県西原村10世帯からのSOS

熊本県西原村河原地区の10世帯は私道の崩落により生活再建のめどが立っていない。

熊本地震から1ヶ月あまりが経過。先月14日に発生した一連の地震で、これまでに震度1以上を観測した回数は1500回を超えた。熊本県では21日未明から早朝にかけ震度3の揺れが連続して起きるなど、今も余震に悩まされ続けている。

熊本県災害対策本部によると、地震によって被害を受けた住宅は合わせて9万2736棟。22日現在、県内203か所の避難所に合わせて9100人が避難している。被害の大きかった益城町をはじめ県内各地を訪ねると、道路をはじめとした生活インフラの復旧や壊れた家屋の撤去作業など日常を取り戻すための動きが少しずつ広がってはいる。しかし、住宅地の確保やボランティア不足など被災した方々の生活再建に向けての課題は依然として少なくない。

市民投稿型ニュースサイト「8bitNews」では、未だ生活再建の目処が立たず立ち往生している被災者の皆さんから、これまであまり報道されてこなかった被災地の実態に関する情報提供を受け付け、発信による支援を続けている。今回はその中から、この週末に訪ねた熊本県西原村の住民が直面しているある課題について皆さんと共有しておきたい。

地震で団地につながる唯一の道路が崩落 未だ修繕できず

今月14日、熊本県西原村で避難生活を続ける女性からメッセージが寄せられた。西原村は2度の震度7の揺れに襲われ熊本県内でも被害の大きい地域。村内の住宅の6割が全半壊の被害を受けたと見られ、今も700人近くが避難所で生活を続けている。

はじめまして。

突然のメッセージ、お許しください。

私は、熊本県西原村河原に住む3児の母です。

夫と5人家族です。

1ヶ月前の地震で新築3年目の自宅を失いました。

私が住む住宅地は10世帯がいて、今回の断層上にあったので住宅地が大変な被害を受けました。

そして、住宅地の唯一の道路が崩落し、それに伴って家が傾き住めなくなりました。

写真をご覧いただきたいです。

送られてきた西原村河原地区の写真1
送られてきた西原村河原地区の写真1
送られてきた西原村河原地区の写真2
送られてきた西原村河原地区の写真2

メッセージと写真を送ってきてくれたのは西原村河原地区の団地、グリーンヒル河原の住民、川野真未さん。

地震の激しい揺れで住宅が被災、生後4ヶ月の赤ちゃんを抱えながら家族5人で避難生活を続けてきた。

川野さんが暮らす団地には、16名の子どもを含む10世帯33名が住んでいた。

今回の地震で、団地につながる唯一の生活用道路が約150メートルに渡って崩落。車での通行ができなくなった。

法面が大きく崩れた道路はその後の余震や風雨で侵食され続け地割れが拡大し、住宅地全体が徐々に傾いている。宅地の地盤が崩壊側に横滑りしながら沈下が続いてる。地震による被害を免れた健全な家屋でさえも基礎にヒビが増え、傾きが増している。大型車が通行できず、家の修復ができない状況が1ヶ月以上続いている。

生活道路は「私道」扱い 村に陳情するも「自費で修繕を」と返答

この団地の全ての住宅が新築だ。古くても6年、中には数ヶ月前に建てられたばかりの家もある。崩落した道路が手付かずのまま放置されているためそれらが日々傾きを増している。

道路の修繕が遅れているのには訳がある。実は、崩落した生活用道路は住宅購入時に宅地と込みでついてきた「私道」。自治体が管理する公道ではない。そのため、修繕にかかる費用は原則自分たちで負担しなくてはならない。道路復旧にかかる費用を試算すると4000万円程のコストがかかることがわかった。

どの世帯も30年近くにわたる住宅ローンの支払いを始めたばかり。地震による建物への被害で今後多額の二重ローンを組まざるを得ない状況でもある。そうした中、道路復旧のために1世帯あたり400万円の新たな負担は非常に重たい。費用が工面できなければ修繕工事の発注も行えず、ただただ自宅が傷んでいく様子を見守るしかない。

今月半ば、地区の班長の西村和也さんが中心となって10世帯すべての住民の連名で西原村へ陳情書を提出した。住民の負担が軽減されるよう支援を願い出たが「私道なので各自で復旧させてください」と言われ、手詰まりの状況となった。地元の議員への働きかけや市民社会への発信を開始し、なんとか状況を打開したいと模索が始まったところだ。先週、副村長との面会が実現したが回答は変わらなかった。

先週土曜日、現場を訪ねた。住民の皆さんはこれから本格的に訪れる雨のシーズンへの危機感を強めていた。実際、この数週間だけで建物の土台部分が5センチほどさらにずれているのも確認できた。傾いていなかった家にヒビが入り始め、一刻も早い対策が必要だと誰もがわかる状況まで追い詰められている。

4千万円の工面、その他の地域の被害救済のためのクラウドファンディングの準備も

団地では、修繕にかかる費用を調達するためクラウドファンディングの立ち上げを準備している。自らの団地だけではなく同じように費用が工面できずに困っている現場に対しお金を支給できる仕組みを作りたいとしている。一方で西村さんは「復興予算の実行には、地方自治体の一割負担が付いてくるはずです。西原村の概算被害総額は、今のところ400~500億円。一割は40億円。平常時の年間予算が35億円前後。一割負担だけで、平常時の年間予算を超えてしまう現実。」と冷静に今回の危機と向き合う。

私道の問題は決してこの団地の問題だけではない。明日はわが身、そういう意識で全国の皆さんからの支援や知見が集まることに期待したい。

下記リンクは現場のルポ。ぜひ多くの人たちに見てもらいたい。