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福原遥とはどういう女優なのか  2021年ドラマで見せつけた底知れぬ魅力

堀井憲一郎コラムニスト
(提供:イメージマート)

2021年一年途切れずにドラマに出続けていた福原遥

福原遥は2021年オールシーズン、ずっとドラマに出続けていた。

一年間4クール、途切れなく出演したのだ。

そして来年秋からは朝ドラのヒロインを演じる。

2021年10月からの秋シーズンドラマ、いま彼女が主演しているのは『アンラッキーガール!』である。

日本テレビ系、木曜23時59分からの深夜ドラマ。

福原遥が主演、あと高梨臨と若月佑美と三人で「とても不運な女性トリオ」という役どころである。

子供のときからずっとついてない「アンラッキーガール」で、そのことを自分で強く意識している。だから人を巻き込まないようにやや引き気味で行動する。

それでいて「私の不運が誰かの幸運になっているんじゃないか」とも考えている。

なかなか健気である。

『アンラッキーガール!』での福原遥らしさ

こういう役どころが福原遥に似合う。

いつも引いて見つめていて、ときどき驚いた表情を見せるが大騒ぎはせず、健気で真面目。

そういう役である。

声が少し幼く、丸顔なので、年齢より若く見える。

不運だからといって投げやりにはなっていない。そういう真面目なところが、福原遥らしい。

このドラマの放送中に朝ドラのヒロインが決定したというのが、なんだか暗示的であった。

夏ドラマ『IP〜サイバー捜査班』では京都のまっすぐな刑事

その前のクール、2021年7月からの夏ドラマでは『IP〜サイバー捜査班』に出演していた。

主演は佐々木蔵之介。警察の「ネット犯罪部門」の物語である。

佐々木蔵之介の演じる刑事がクールで、パソコンでの分析のみで犯人を特定して、捕まえようとする独特の存在だ。「すべてはウエブの中にある」という考えを持っている。

それに対して福原遥の役は、新人刑事ながら、人と直接会わないと事件の真相はわからないという性格で、その名も絆(古宮山絆)である。

物語のキーパーソンになっている。

この二人の性格は正反対ではあるが、じつは父と娘ではないか、と彼女自身は疑っており、実際に、あなたはお父さんではないのかと質したことがある。その場で否定はされたが、たぶん父娘なのだろう、とおもわせてドラマは進む。

福原遥としては珍しく、かなり活動的な役である。犯人を追って外を走るし、ときに拘束されて危ない目にも遭う。

テレビ朝日木曜8時のミステリー枠なので、この時間帯は京都で事件が起きることになっているから、京都の物語である。

京都の活動的な女性刑事も、福原遥に似合う。

春ドラマ『ゆるキャン△2』ではクールなソロキャンパー

その前、2021年4月からの春シーズンでは『ゆるキャン△2』に主演。

ソロキャンプ好きの女子高生のドラマ、第二弾である。

前作は2020年1月から放送された。

このドラマでは演じるのは、控え目な女子高生。

あまり人と群れず、一人でのキャンプが趣味という渋い高校生。高校生だからお金があまりなく、予算不足のため、いろんなことを諦める。その姿がなかなか愛らしい。

明るく少し騒々しい友人役に大原優乃が登場して、ときどき賑やかに展開する。

福原遥と大原優乃のコンビはなかなかいい。

あと、田辺桃子、箭内夢菜、志田彩良らも加わってくる。

それぞれがとても愛らしく、正統派のアイドルドラマであった。

見ていると、五人のうちの誰かを好きになってしまう。そういうふうに作られていた。

静かでクールな役どころで引き立つ福原遥の魅力

『ゆるキャン△』シリーズでの福原遥はクールだった。

一人で行動することが多く、何かあってもひとりで解決しようとする。

感情はあまりに表に出さない。

福原遥が、静かでクールな役どころを演じると、その魅力が際立つ。

彼女一人で立っている姿に、強く説得力がある。

そういう女優である。

また、声を出さずに、驚いたり困ったり喜んだりしている福原遥はとてもかわいい。

存在だけで、見ているものをほっとさせてくれる。

1月期は『うちの娘は、彼氏が出来ない!!』でストーカー気質の女性

冬シーズン、2021年1月は『うちの娘は、彼氏が出来ない!!』に出演していた。

主演は菅野美穂で、その娘役は浜辺美波。

菅野美穂が小説家で「その担当イケメン編集者(川上洋平)」の彼女役を福原遥が演じた。

ややストーカー気質で、恋愛相手にかなり依存するタイプの女性である。

「わたし、かわいいから顔採用されちゃった」としれっと編集部にアルバイトとして入りこんで、彼氏を監視している。屈託なく明るいのだが、でもかなり精神的に不安定な女性でもあった。

福原遥が丸っこい顔でこの役を演じると、圧倒的に説得力がある。

こういう役をやると、福原遥の底にある「芯の強さ」がよく出てくる。

本来ならこのタイプの女性は「怖い女」になるのだが、福原遥が演じるとそこまで行かない。ぎりぎりで、まあ、こういう人はいるかも、というラインに踏みとどまる。

その気配を出せるのが、福原遥の芯の力だとおもう。

演技力ももちろん高いのだが、それを超えて、彼女の持っている「まっすぐな方向性」が滲み出てくるのだ。

出番は多くないのに印象に残る役であった。

正月ドラマ『教場Ⅱ』では木村拓哉に教わる生徒役

2021年は正月の特別ドラマ『教場Ⅱ』にも出演していた。

木村拓哉主演の警察学校ドラマ(二夜連続もの)だった。

警官をめざす生徒の役である。かなり短めのぱっつんぱっつんの髪型で出演していて、いま見るとちょっと変である(上白石萌歌も同じく短髪でちょい変だった)。

ここでは純朴で真面目な生徒で、福原遥らしい役どころである。

一年で演じる役の振れ幅がすごい

あらためてふりかえると、ちょっとすごい。

正月に「真面目な警察学校の生徒」

1月は「明るく元気で、でも感情の起伏の激しい恋愛体質の女性」

4月は「あまり仲間とは群れないクールな女子高生」

7月は「活動的でまっすぐな刑事」

10月は「ひたすら運は悪いが人のために生きる女性」

役の振れ幅がすごい。

そして、それぞれをきちんと演じきるので、同じ福原遥には見えない。

2021年は福原遥の年であった。

その底力がすごい。

「まいんちゃん」時代からの成果

丸っこくてかわいらしい風貌だからこそ、いろんな役を演じられているように見える。

おそらく本人の努力が尋常ではないのだろう。

福原遥には強い芯があるのだが、いつもそれがストレートに出てくるわけではない。

さらっとした役だと、強く存在感を出さない。

少しだけでも刺さる役だと、えぐるような存在感がある。

若いのにこのメリハリがあるのがすごい。

野心あふるる若い女優は、いつでも強く自分を出そうとするものだ。

福原遥はそれとはちょっと違う存在である。少なくともそう感じさせる。

Eテレ“まいんちゃん”の子役時代から活動してきたからだろう。

『3年A組 ー今から皆さんは、人質ですー』での福原遥

2019年1月期のドラマ『3年A組 ー今から皆さんは、人質ですー』にも彼女も出ていた。

このドラマは当時の若手の有望俳優がまとめて呼ばれていた感じがあって、女優だけでも、永野芽郁、上白石萌歌、今田美桜、堀田真由、大原優乃、箭内夢菜と錚々たるメンバーであった。

彼女たちと並ぶと、強く前に出てこない。

すっと後ろのポジションにいて、自分の役をしっかりこなす。

じつに自然である。そのへんがすごい。

ぼんやり見てるとそのすごみには気づかない。

気がついた人にだけ刺さってくる。

そういうポジショニングの妙が、プロのなかのプロという感じがする。

そうして、福原遥の飛躍の時代が始まる

福原遥の特徴といえば、やはり「透明感がある」ということになるだろう。

ただ、それが尋常な透明さではない。

透き通ってずっと向こうまで見えてしまうくらいの「透明感」である。

透明人間くらいに透明感がある。ありすぎる。

だからこそ、ときに人を際立たせ、またときに、強く彼女を印象づける。

そのあたりが自在である。意識してやっているというより、求められたとおりに反応しているからだろう。

ある種、とんでもない器だともいえる。

無限の可能性しか見えない。

福原遥の飛躍の時が始まる。

コラムニスト

1958年生まれ。京都市出身。1984年早稲田大学卒業後より文筆業に入る。落語、ディズニーランド、テレビ番組などのポップカルチャーから社会現象の分析を行う。著書に、1970年代の世相と現代のつながりを解く『1971年の悪霊』(2019年)、日本のクリスマスの詳細な歴史『愛と狂瀾のメリークリスマス』(2017年)、落語や江戸風俗について『落語の国からのぞいてみれば』(2009年)、『落語論』(2009年)、いろんな疑問を徹底的に調べた『ホリイのずんずん調査 誰も調べなかった100の謎』(2013年)、ディズニーランドカルチャーに関して『恋するディズニー、別れるディズニー』(2017年)など。

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