日大が悪質タックル問題で広告自粛 どうなる「スポーツの日大」130周年祝年事業

日本大学の屋外広告(筆者撮影)

巨人のオフィシャルスポンサー活動を自粛

 日本大学のアメリカンフットボールの悪質タックル問題。日本大学の広告活動にも影響が出始めている。日本大学は2016年シーズンから、読売巨人軍のオフィシャルスポンサーだ。しかし、5月22日の巨人戦から、日本大学のロゴが消えた。これは、日本大学の申し入れである。つまり、日本大学が広告を自粛したのだ。

YouTubeの動画なども、一部非公開に

 日本大学は、巨人のスポンサー以外も、テレビCMも流していた。日本大学のWebサイトのメディア情報のページにて、コマーシャルを3月にも流していたことがわかる。今は、テレビCMは流れていないようである。もともと計画がなかったのか、自粛しているのかはわからない。

 テレビCM以外にも、YouTubeにNihon Universityというチャンネルがあり、多くの映像が公開されていた。ところが、YouTubeのNihon Universityのチャンネルに不可解なこともいくつか起きている。

 その一つは、今回の悪質タックル問題発生後も、このチャンネルに映像が追加されていることである。例えば、「平成30年度入学式総集編」という映像があるが、2018年5月10日に公開されている。悪質タックルの問題が起きた、5月6日以後に公開されたのである。日本大学の広報としては、2018年5月10日には、対外広報活動としては問題ないと思い、この映像を公開したのか。それともまだ悪質タックル問題を把握してなかったのだろうか。

 次にいくつかの映像が削除されたようである。わかりやすいのは、「スポーツ日大【甲子園ボウルスペシャル/不死鳥!】」という、再生リストがあるが、映像がすべて非公開になっている。(その後、この再生リストも削除され、現在ではアクセスできない)

 

 このYouTubeの状態からも日本大学の広報・広告関係者の混乱ぶりがわかる。

日本大学は130周年に祝年事業を行えるのか

 日本大学は、2019年に創立130周年を迎える。屋外広告を見たこともある人もいるだろう。また、日本大学のWebサイトにも、130周年の情報は大きく出ている。このような祝年は、マーケティング的に考えれば、日本大学の認知向上やイメージの強化のために、上手に使いたいものであろう。おそらく、日本大学として、すでに130周年の記念事業など準備はしているだろう。

 今回、自粛している読売巨人軍のオフィシャルスポンサーもこの130周年に関する一つの活動であることが、日本大学の発表資料からわかる。

本学は、2019年に創立130周年を迎え、その記念事業の中核として2016年4月に東京・世田谷区にスポーツ科学部を開設しました。同学部は優秀な選手、指導者またスポーツ活動を支えるスタッフを育成することを目的としており、スポーツ界との関係構築を模索していました。プロスポーツ界と連携を深めることは、スポーツ科学部にとっても、「スポーツの日大」と称される本学にとっても不可欠なことと考えます。

出典:読売巨人軍のオフィシャルスポンサー

(この引用元のページは、2018年5月29日では、削除されている。Internet Archiveのページでは、過去のページが見れる。

 皮肉なことに「スポーツの日大」というブランド・イメージを強化していた時に、スポーツで不祥事が起きており、そのブランド・イメージへの打撃は計り知れない。

日本大学の広告活動は復活できるか

 さて、このように大きな問題を抱えた状況で、組織のコミュニケーション活動はさまざまな判断が求められる。積極的な広告を自粛すべきか、また教授や研究への取材にどう対応すべきか。また、いつまで自粛を行うべきかなどである。

 今回の日本大学の対応は、自ら自粛から復活する方法をなくしているようにも感じる。おそらく、日本大学は、この問題の「みそぎ」を第三者委員会で調査し、その調査報告をもって、終わろうと思っていたのだろう。その発表をもって、積極的な広告活動の自粛を終えて、通常の活動に戻す。そして、その第三者委員会の調査報告を、130周年事業が始まる前に終えたいと考えていたのではないだろうか?

 しかし、この問題は、被害届が出されている。130周年事業を行えるかどうかは、すでに日本大学の手の中にはない。このことについて、日本大学の広報関係者は認識しているのだろうか。

 このような問題が起きた時には、広報関係者の初期対応が非常に大事である。この問題の影響をきちんと判断すること。そして、問題範囲が広がらないようにするためには、どのような対応をすべきかきちんと議論することが重要である。

 この悪質タックル問題が、刑事事件となった場合には、その刑が確定するまでは、広告活動が行えない可能性もある。一般的には、しばらく広告活動を行えない事例も多い。最近では、東京電力エナジーパートナーが、2011年の福島第1原子力発電所の事故を受け自粛していた広告を、今年7年ぶりに再開している。実に7年である。

 仮に、日大が広告を再開できたとしても、残念ながら今までテレビCMで流していたアメリカンフットボールのシーンは使えないだろうし、もしかしたら、スポーツのシーンも使えなくなるかもしれない。

「スポーツの日大」というブランド強化はもうできない

 今回の日大悪質タックル問題は、マーケティングにおいて重要な、広告の領域で大きな問題を作っている。広告活動を自粛しないといけないこと。さらには、来年に控えた130周年事業を縮小しないといけないこと。「スポーツの日大」というブランド強化もできなくなりつつあること。

 これらの問題を解決するには、日本大学が真摯に問題の重大性を理解し、丁寧に対応し、多くの関係者から理解を得られるようにしないといけないだろう。この問題は日本大学全体の問題であり、日本大学の今後を左右するものである。