VRがビジネスで有効になる -2018年にビジネスパーソンが理解しないといけない消費者の変化―

高校の入学式でも利用されるVR(写真:つのだよしお/アフロ)

VRって、結構前に出ていたのでは

 VR(virtual reality)、拡張現実。頭につけてVRを体験する、Head Mount Display(HMD)が、サムソンや、SONYから発表されたのは、2016年のことだった。あれ、今年の事象の記事ではないの?ということになるが、今年はVRの「利用シーン」において大きな変化があった。

360度動画との出会い

 この記事を読んでくださっている方は、最新技術に敏感な方が多く、おそらくYouTubeやfacebookで、360度動画を見たことがあるのではないだろうか。つまり、かなり身近なものであると感じているはずだ。一方、今までのVRコンテンツは、ゲームの体験や映画の疑似体験のことだろうと思っている方も多いのではないだろうか。実は、VRコンテンツには大きな変化が起きており、マーケティングの領域でも360度動画が使われ始めているのだ。

 360度動画とVRは関係ないと思っているかもしれないので、まずは360度動画の体験方法から、おさらいをしたい。実は、皆さんのスマートフォンで、360度動画が体験できるようになったのをお気づきだろうか。スマートフォンにYouTubeのアプリが入っていれば、以下の動画をYouTubeアプリから見ていただきたい。見るときに、スマートフォンを横向きにしたら、Videoが全画面表示になる。そして、その状態で、スマートフォンを前後左右に動かしていただきたい。まさに、皆さんが月の上に立って、月を観察するかのような体験が出来ると思う。

https://www.youtube.com/watch?v=6OTl86BkPTs

 このように、360度動画は、見ている人が実際にその場所に、行っているかのような体験が出来る。これは、まさにVRだ。今までの、VRと言うのは、ある意味SF的な映像や、エンターティメントを念頭においていた。しかし、この360度動画の登場で、VRの範囲、定義も変わりつつあるのではないだろうか。

360度動画は、報道にも有効である

 別な事例を一緒に見て頂きたい。報道の事例だ。HUFFPOST(US)では多くの、360度動画を使った報道を行っている。このサイトの動画を見て分かることは、この360度動画は、編集しにくいということである。特に、カメラ・アングルについては編集できないのである。今までの映像を使った報道は、カメラで映し出したいものを切り出し、そこに焦点をあてて、撮影していた。例えば、年の瀬の買い物の映像では、あるお店に人が集まっていて、そこだけをカメラで撮影しても、見ている側は、映像に映っている商店街が全体に混んでいるように認識する。たとえ、焦点から外れた店に、お客さんがいなくても。

 このHUFFPOSTの取り組みは、360度動画と報道の組み合わせには非常に親和性が高いことと、恣意的な編集が行いにくく、映像の信頼性が高くなることを教えてくれている。360度動画によるVR体験は、真実の伝達ということに強みがあるのだろう。

マーケティングでの活用事例

 企業の情報でも、報道の事例と同様に、リアルに伝えたいこともある。例えば、なかなかお客様を招待しにくい工場。工場の生産は、品質や、生産工程の正確さなど様々なことを証明する良い場所だ。今までも工場紹介の動画はあった。しかし、この360度動画によるVR体験可能な動画は、工場の紹介の方法を変えてくれる。

 たとえば、「GE 360- Inside a Gas Turbine Factory GE」は、本当に工場見学を自分の好きな視点で行うことを提供している。そして、この動画から、GEの生産ラインの自信のようなものすら感じることができる。この動画自体は2015年に公開されたのだが、今見ても面白い取り組みである。そして、実に多くの工場紹介の360度動画がYouTubeに公開されている。「360 factory」などと検索してもらいたい。多くの動画を発見できるはずだ。

 この真実の報道とは別に、仮想体験に焦点をあてた取り組みも2017年にあった。つまり、VR型のCMである。広告主はグリコだ。

 まるで、綾瀬はるかさんのお部屋に入ったかのような体験が可能である。非常に面白い取り組みである。私もついつい、この動画上で綾瀬さんにズームインしてしまった。

2017年にVRで起きたこと

 今年VRを取り上げている理由の一つは、このように多くのVR動画が登場してきたことである。まだまだ、再生回数が多くないものもあるが、これは360度動画のクリエーションが、また始まったばかりだからだ。クリエイティブは、時間とともに向上するだろう。

  

 もう一つの理由は、2017年、この360度動画を撮影するデバイスが非常に安価になったことがあるからである。リコーのTHETA Vや、GoProのOMNIなど、さまざまな製品がこの2017年に登場した。360度動画は誰でも撮影できるようになり、スマートフォンを使えば、誰でも簡単に見られるようになった。これが、2017年のVRの領域で起きたことである。

 マーケティングのプロモーションにおいて、映像メディアはその表現力の強さから、これからも重要なメディアであり続けるだろう。そして2017年、この映像メディアにVRという単語が加わったことは、マーケッターのコミュニケーションの幅を広げたはずである。来年、2018年、このVRを活用したマーケティング・コミュニケーションの事例は、どんどん増えるだろう。楽しみである。