2018年にビジネスパーソンが理解しないといけない消費者の変化 ―スマート・スピーカー編―

グーグルが発表したスマート・スピーカー(写真:ロイター/アフロ)

2017年、大きな変化がなかったのかもしれないが

 2017年、平成29年も、残すところ数日となった。この2017年は、SNS空間で新しく大きなプラットフォームは登場しなかったし、アドテクと言われる、インターネット空間上の広告技術についても、大きなニュースは少なかった年であった。しかし、これからのマーケティングを大きく変革させるデバイスを、消費者は使い始めている。ここで、年末年始に理解すべき「大きな技術変化」をいくつか選び、それぞれ考えていきたい。

スマート・スピーカー

 スマート・スピーカーとは、音声で操作するIoT端末のことだ。具体的には、LINEから「Clova WAVE」(2017年10月5日)、グーグルから「Google Home」(2017年10月6日)、「Google Home Mini」(2017年10月23日)、アマゾンから「Amazon Echo」(2017年11月15日)が、発売された。多くの家電販売店で、実物を確認できるだろうし、読者諸兄におかれてはすでに購入した方もいるだろう。

スマート・スピーカーはコンピューター・ライフを変える

 スマート・スピーカーの意味を、まず利用者側の視点で考えたい。今まで、私達のコンピューターとの対話(入力・出力)は、キーボード入力と画面による確認であった。このコンピューターへのキーボード操作、タイピングは、今では多くの人が行えるようになっている。しかし、25年前に私が社会人になったときは、タイピング練習ソフトが、コンピューター・ソフト・ショップに並んでいたし、その頃の会社の先輩たちは、人差し指のみで、タイピングしていた方もいらっしゃった。実は、このタイピングはある意味、コンピューター操作の、一つのハードルであった。

 今回のスマート・スピーカーは、キーボードが不要である。その代わり、最初に「OK. Google」などと、最初にスピーカーに特別な呼びかけを行わないといけない。ちなみに、この「OK. Google」というのは、英語圏の方が、自分の犬に「ポチ」と呼びかけることと同じである。といわれても、この呼びかけが、少し恥ずかしいのは私だけだろうか。

 本題に戻ろう。キーボードからの解放、つまり音声操作は、利用者にとって多くの利便性もたらす。自分の今日の予定を、音声で聞いて、確認する。天気を気軽に、「今日の天気は?」と聞けば、スマート・スピーカーは、設置されている自宅の天気を答えてくれる。今まで、タイピングするのが億劫だったことも、どんどん聞くようになるだろう。

 そして、もう一つの利便性をこのスマート・スピーカーは提供している。それが、音声による回答だ。つまり、画面を読むのではなく、声で答えを聞けるのだ。複雑なことを確認するのには向いていないが、短い文章や簡単な情報は、音声の方が楽に受け取れる。なんといっても、画面の前に座らなくても、情報を確認できる。キッチンで料理しながら。服を着替えながら。「ながら」操作、確認が可能なのが、音声の良さだろう。

 これらの利便性により、スマート・スピーカーは、どんどん家庭に入り込むだろうし、この技術により、私たちはコンピューターとの新しい付き合い方をするようになるだろう。

スマート・スピーカーにより、「見られないWebサイト」が増える

 人は、一度得られた利便性は手放さないものだ。今回のスマート・スピーカーの音声によるコンピューターとの接触は、まさに利便性の一つである。このことは、多くのマーケッターにも影響を与える。

 一番、変化が大きいのは「Webサイト」だろう。今、多くの企業のマーケッターは、マーケティングに活用しているWebサイトを、パソコン向きの設計から、モバイルからもアクセスに問題がないサイトに書き換えがほぼ完了した頃だ。しかし、これからのWebサイトは、モバイルで見られるのではなく、「モバイルで聞かれる時代」が来るのである。

 このスマート・スピーカーの技術は、すでに多くの携帯電話に組み込まれている。実際に、携帯の利用者の中にはこの音声による携帯の操作をよく使うユーザーもいる。さて、この音声操作は、今までのサイト検索の方法を大きく変える。実は、先ほど説明した天気のやり取りも、今までのコンピューターでのタイピングの検索と大きく異なる。

 タイピングでの検索では、おおよそ(1)「今日の天気」と入力 (2)検索結果が開く (3)その中からこれと思うサイトをクリック (4) 天気情報を確認、というステップだ。

 音声では、(1)「今日の天気」と聞く (2)今日の天気は「○○○」と答えを聞く、というステップだ。

 とても便利になったのであるが、マーケッターへの最初の脅威は、検索結果のリスト画面の表示がないことである。今まで、マーケッターは、サイトを公開したら、検索結果の画面の上位表示を目指していた。しかし、音声操作では、LIST画面の表示がない。つまり、上位ではなく、1位でないと、音声でそのサイトの情報が表示、いや音声で参照されないのです。つまり、Webサイトの検索行動が変わることを理解し、マーケッターは、Webサイトの情報をどのように音声で届けるのか、考えないといけない。スマート・スピーカーは新しいデバイスであり、新しい消費者とのコミュニケーション・チャネルなのだ。

 まずは、スマート・スピーカーで求められている情報に、自分たちのサイトの情報が該当するのかを理解する。そして、求められているのであれば、音声で情報を提供するにはどのようなWebサイトへの修正、改良が必要なのかを検討する。

 スマート・スピーカーは、携帯電話の登場と同じ程度に、私達マーケッターのWebサイトを使ったコミュニケーションに変化をもたらす。しかも、スマート・スピーカーは便利なデバイスである。前向きに、スマート・スピーカーを使ったマーケティング・コミュニケーションを考えたほうが良い。

 技術に振り回されるのではなく、あくまでも「新しい技術を利用している顧客」のために、何が出来るかという視点で考える。それこそが、新しい技術が出てきたときの、考え方の基本であることを最後に付け加えたい。