楽天市場が、ビックカメラと提携?うまくいくのか。

ECビジネスの要の一つ、物流(写真:ロイター/アフロ)

楽天とビックカメラで「楽天ビック」?

さて、2017年12月19日に、楽天とビックカメラで、新サービス「楽天ビック」を提供するために新会社を設立と発表した。楽天のニュースリリースのページには、楽天とビックカメラ、新サービス「楽天ビック」提供に向けて新会社を設立として掲載されている。しかし、この記事に関して、12月19日午前9:00段階で、ビックカメラのIRニュースのページを見ても、この内容については掲載がない。

 一方、このことを報道したNHKのサイトには、「楽天とビックカメラ 共同でネット通販事業へ」というニュースが、すでに掲載されている。

 さて、この提携について楽天にとってメリットのあるものなのか少し考えたい。

楽天市場とアマゾンのビジネスモデルは違う

 このNHKの報道には、「この分野で圧倒的な存在感を示す"アマゾン"に対抗する狙い」との文がある。たしかに、楽天とアマゾンはインターネット通信販売(EC)では、大きな勢力であるが、良くこの2社を振り返ると、行っている事業は異なる。

 楽天が「楽天市場」というECサービスを開始したのは、1997年5月である。楽天は、インターネットショッピングモールとして、13店舗の参加を持って、楽天市場をスタートさせた。

 一方、アマゾンは、1994年に成立し、1995年に最初に本の販売からスタートした。

 実は、このスタートの方法に大きく2社の違いがあるだろう。楽天は、インターネットショッピングモールという言葉からも分かるように、ECサービスを、出店したい企業に提供するビジネス。アマゾンは自分たちで商品を管理、販売、配送する会社である。このことが、2社の根本的な違いである。この違いから、2社のビジネスに大きな差が生まれ、それぞれの利用者の特徴に違いがでるようになったのだ。

 アマゾンはその後、本から、CDや、雑貨など、カテゴリーを広げ、さらにアマゾンが直接販売する以外にも、アマゾンのプラットフォームを使って、モノを販売する、Amazon出品サービスなども始めた。しかし、アマゾンとしては、在庫管理、配送などを多くの場合アマゾン自身が行うことにより、Amazon Primeのように配送時間を短くするなど、ユーザーのメリットを分かりやすく提示してきた。

 一方、この間、楽天は楽天市場への消費者の集客と、楽天市場の出店企業へのコンサルティングなどを行いながら、ビジネスを拡張した。しかし、アマゾンにくらべると、楽天ポイント還元サービス以外は明確に消費者へのメリットを示せていない。

迷走している楽天

 楽天はインターネットショッピングモールでありながら、2010年には、自前の倉庫スペースを確保し、それまで出店社に任せていた物流・配送に大きくメスを入れた。vsアマゾン、物流で挑む楽天の算盤勘定。これにより、多くの場合で無料になっていた、アマゾンの配送の品質に追いつこうとしたのである。しかし、問題は、このような機能の最適化では解決されていない。問題の本質は、アマゾンの直接販売と、楽天市場のインターネットショッピングモールの違いなのである。そのことに、楽天は気がついているだろうか。

楽天とビックカメラの提携は、アマゾンの脅威になるか

 今回の楽天とビックカメラの提携は、他の出店社にとってみれば、違和感を覚える提携だろう。なぜならば、ビックカメラは、楽天市場のモールの出店企業であり、家電量販店の多くは、楽天に出店を行っている。まず、楽天はこのことについて、丁寧に説明し、理解が得られなければ、他の出店企業が楽天から離れていくだろう。

 また、今回の「楽天ビック」が、アマゾンの脅威になるかといえば、それも違うだろう。アマゾンは、すでに自社で配送することも行っているし、Amazon freshのような、さらに配送が難しいサービスについても、取り組み始めている。

 まだニュースリリースが発表になったばかりの段階では、「楽天ビック」の取り組みがどのようなものになるのか、まだまだ不透明な部分が多い。しかし、この提携の一つの狙いであるだろう日本のEC市場での大きな存在を取り戻すには、楽天が楽天市場のサービスを根本的に見直す時期に来ているかもしれない。