「たまごっち」20周年 復刻版はヒットするのか?

たまごっち(写真は、2016年のTamagotchi m!x)(写真:ロイター/アフロ)

たまごっちは、育てゲーの新しいジャンルだった

 バンダイから、「たまごっち 祝20しゅーねん! たまごっち」が、2017年11月23日に発売される。「たまごっち」とは、まさに卵サイズの「携帯できる液晶画面のついたゲーム機」で、最初に電源を入れると、自分の液晶に「たまごっち」が生まれる。そのたまごっちに対して、「(1)ごはん・おやつをあげる(2)トイレの世話(3)病気の治療(4)電気を消す(5)ミニゲーム(6)しつけ機能」を、行って自分の「たまごっち」を育成、その育て方によって異なるキャラクターに育つという「育成ゲーム」の先駆けとなる商品だった。

 20年前の発売時には大流行し、大人から子供まで「たまごっち」の話題でもちきりだった。玩具店などでも品薄な状況だったため、「たまごっち」行列もできた。また、「たまごっち」が鳴くたびに、何かボタンをおして、しつけたり、ごはんをあげないといけないために、会社で勤務中のたまごっちの操作が、ちょっとした問題にもなったりした。

たまごっちは、息の長いキャラクターになった

 この「たまごっち」は、1996年にゲームとして登場してから、しばらくは「ゲーム機」として進化を遂げた。そして、1年後の1997年には、テレビアニメにもなっている。

 一般に、このようなキャラクターのマーケティングで定番の方法は、最初にテレビアニメや、ドラマで、デビューさせて認知を広げた後、そのキャラクター・グッズを売るモデルが多い。例えば、古くはドラえもんや、近年のヒットでは、妖怪ウォッチなどだ。

 さらに、このキャラクター・マーケティングを緻密に行っているのは、ディズニーだろう。映画、キャラクター・グッズ、そしてディズニーランドのアトラクションなどで、複合的にそのキャラクターを、最大資産化する。(参照:「メインストリーム――文化とメディアの世界戦争」フレデリック・マルテル (著), 林 はる芽 (翻訳))

 この「たまごっち」も、キャラクターのマーケティングとして、これらの方法を非常にうまく駆使している。ゲーム、アニメ、そしてマンガなど、多岐に渡る接点で、もともとの「たまごっち」ファンを離さないだけでなく、新客として「子供」へのコンタクトを継続的に行ってきている。

 キャラクターのマーケティングは、継続と普遍性が重要であるが、バンダイはこの20年間、それらをやりきったのだ。このことにより、「たまごっち」は、20歳を超える、キャラクターになった。

20周年で、復活は親子もターゲットか

 今回、20周年という周年事業を活用するもの、非常にうまいやり方だ。子供のころに初代の「たまごっち」を手に取った人は、今は20代後半から30代だろう。実は、この世代は、スマホでゲームを日常的にプレイしている世代である。スマホゲームの原体験が、この「たまごっち」だった今の大人には、「たまごっち」しか出来ない専用機は、懐かしい存在ではないだろうか。

 そして、子供のころに「たまごっち」をプレイした人たちは、年齢からすると、子供を持ち始めているため、親を通じて2世代のターゲットにアプローチが可能なのだ。

 デジタル・ネィティブな世代、そして子供の親も狙えるのが、この20周年というタイミングなのだ。バンダイとしては、20周年=「たまごっち」も成人というイメージから考えた、「たまごっち 祝20しゅーねん! たまごっち」かもしれないが、実に上手である。

ゲーム、エンターティメントには、マーケティングのヒントが多い

 最近、さまざまなマーケティングの事例を自分なりに整理しているが、このようなゲームやエンターティメントのマーケティングから学ぶことが多い。まずターゲットが明確であること。そして、そのターゲットに対して、長い時間のサービス、プロダクト提供を行っていること。つまり、ゲームやエンターティメントのマーケティングは、Life Time Value(LTV、生涯価値マーケティング)という、一人のお客様と長く付き合い、お客様の生涯支出金額が最大化するマーケティングを行っている事例が多いのである。このLTVは、昨今多くの領域のマーケティングで注目されているが、すでにゲーム、エンターティメント業界では、実践し成功事例が多い。

 今回の「たまごっち」のマーケティングも、その事例の一つであり、ここまで考えると、大きなヒットの予感もする。ぜひ、注目したい。