日本の広告・宣伝のお金が、反社会的勢力に流れている可能性

広告 (写真:FREEIMAGESから)

「いま考えるべきネット広告取引の透明性と広告主の倫理 」という記事が、公開された。これは、私を含む、ユニリーバ・ジャパンの山縣氏、事業会社とメディア両方の経験がある事業構想大学院大学の江端氏をパネラーにお招きして行ったセミナーのレポートだ。

まず、ネット広告の未熟さを理解しよう

この話題は、2015年から「ぶっちゃけディスプレイ広告って必要なの? アドビ × 花王 × スマニュー × Web担が語った 」で取り上げているのであるが、いまだに日本の広告主ではあまり話題になっていない。その理由の一つに、インターネットの広告の進化があまりにも早く、その理解に多くの時間が使われていることにあるからだろう。しかし、ビジネスー商取引の基本は、怪しい取り引きを行わないことだ。

実は、インターネット広告の商取引は、他のメディアの広告のお金の流れと少し異なる。テレビや雑誌の広告は、広告主が媒体に直接お金を支払われ、そこで終了する。しかし、インターネットの広告は、媒体社がコンテンツを開発していない場合もあり、その場合はコンテンツを開発した人にお金が最終的に流れる。この流れを、日本の多くの宣伝部はきちんと理解していないだろう。

コンテンツ開発者が、反社会的勢力だったら

例えば、SNS空間に、広告主が記事を出す場合、最終的にその広告は、SNSの作者に流れる場合がある。SNSは、誰でも参加できる一方、参加に対しての審査はない。反社会的勢力が、普通の記事を書いて、SNSで収入を得ている場合もあるかもしれない。

このセミナーでも紹介したが、YouTubeで、IS(イスラム国)が動画を流していたところ、その動画の上に、自動車会社の広告が流れ、自動車会社の広告費が最終的にISに流れるだけでなく、その自動車会社のBrand イメージに影響を与えるケースも出ている。

海外では、広告予算の総点検を行っている

P&Gや、ユニリーバでは、世界の2大広告主、P&Gとユニリーバがデジタル広告費を削減

にもあるように、広告予算の点検を行い、広告費の支払いに透明性がないものについては、大きく削減している。

冷静に考えてみよう。広告費は、次の売り上げを作るためのマーケティング予算であるが、これは、もともと消費者や契約者から頂いたお金である。つまり、ある企業、ある商品を買ったお客様のお金が、広告費というトンネルから、反社会的勢力に流れて、私たちの生活を脅かす活動に使われていると知ったら、どうだろうか。そのBrand、その会社の信頼や安心感は一気に失われることになるだろう。

このことについては、日本の業界団体でも議論されているが、それぞれ広告予算を持っている企業の意識と取り組みが何よりも大切である。もう、待ったなしの取り組みだ。