勝負を決めるのは案外、速いか遅いか、といったシンプルな問題かもしれません。

何事も巧遅より拙速。それが本質なのではないでしょうか。

リボルバーはファストマーテク、というキーワードを訴えていますが、(コンテンツ)マーケティングを行なううえでも、素早く動き、うまくいけば一気呵成に攻める、うまくいかなければ風のように退陣する、そんな速度が必要です。つまりファストな企業であることが重要なのです。

ファストとはFast

ファスト=Fastとは速い、という意味であることは言うまでもありません。

マクドナルドに代表されるファストフードは、文字通り「注文したらすぐに出てきて、比較的安い食事や食品のこと」を意味します。

そしてファストファッションは「最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドやその業態」のことです。

この”ファスト”●●という言い方は、もちろんファストフードから始まったわけですが、ファストファッションは、その意味としては本家を凌駕していると言えます。

それなりの品質の商品ながら、ラグジュアリーブランドやハイファッションの最先端のトレンドをいち早くキャッチし、流行がはじまると同時に市場に商品を出して、流行が終わる前に在庫を売り切るのがファストファッションです。逆にいうと、流行=トレンドを抑えて、その動きに生産や販売などの機能をピタリと合わせることができる、そのことにフォーカスして他の余計な業務や機能を切り捨てる勇気を持っているのがファストファッションです。

どうせそうした流行の服は流行が終われば着なくなるから、ひとシーズン保つ品質であればいい、という割り切りがあるのも、そうした理由にあります。

ファストファッションのターゲットは基本的に10-20代の若者ですが、彼らの多くは流行に敏感で、ファッション雑誌で見るようなスタイルの服飾を安く買えるからこそファストファッションを評価してくれます。いまやその情報源が雑誌ではなく、モバイル(Instagramなどを通じてセレブやインフルエンサーが発信する画像・動画)になっているため、トレンドが動く速度は以前よりはるかに速くなっています。同じファストファッションと言っても、この速度についてこられずに事業を大きく失速させてしまっているところも多く見受けられるのはそのためです。

ちなみに、元々のファストフードが個々の店頭での商品の回転速度に重きを置いていたのが、今ではフランチャイズチェーン全体の高速化に重きを置くようになっているように、追随コンセプトであるファストファッションもまた、常にオフライン・オンラインを問わずに全ての店舗ネットワークにおける、数ヶ月単位での商品の回転速度を重要視しています。全体最適化したうえの”速さ”が重要ということです。

マスメディアが失速している理由の一つは、文字通り時代のスピードについてこれなくなっているため

マスメディアが社会的な影響力を失っていることは周知のことであり、企業は自社で(オウンド)メディアを持ち、自らコンテンツを作り出して配信することで消費者と直接的なつながりを作ってエンゲージメントを高めていく動き(D2C)を始めていますが、その大きな理由の一つは多くのマスメディアが構造的に今のトレンドの遷移速度についてこられなくなったこと、つまりファストでないから、ということが言えると思います。

基本的に週一または月一ペースで情報更新する雑誌が凋落したのは、その更新頻度の少なさ、更新速度の遅さゆえとも言えます。

新聞は日刊ですから基本的に日一(夕刊を入れれば二回)だから雑誌よりは速い。テレビは基本リアルタイムでWebに負けない速度を持とうと思えば持てるからいまだに影響力がある、ということもできるでしょう。

え?ラジオはファストじゃないかって??リアルタイムなメディアじゃないかって??

まあそうですけど、ラジオは、まずテレビとの競合、そして、耳という器官が一度に複数の音源に対応できないため、(ウォークマン以来の)音楽デバイス・サービスとの競争に晒されていることが大きな弱みかもしれないですね。

自ら速くなるか、速い企業と組むか

消費者(特に若者)の情報源がテレビやPCからモバイルに移って久しいですが、そのおかげでトレンドの移り変わりのスピードは昔よりはるかに速くなりました。この速度についてこれなくなった企業はその遅さゆえに市場から追い出されてしまうようになりました。

同時に、企業は既存のマスメディア用のコンテンツを作っても消費者にリーチできないので、モバイルインターネット(特にInstagramを中心としたSNS、YouTubeなど)に合わせたコンテンツを作る必要性に迫られるようになりました。これがインターネットマーケティング市場を急速に成長させる要因だし、企業がオウンドメディアを持ち始めた背景でもあります。

ところが、やるべきことは合っていても、その速度が遅ければ結局は意味がない。Webサイトやネットサービスにも流行があり、その流行を無視して大きな予算を割いてサイト構築やアプリ制作を行なっても、すぐに陳腐化してしまうかもしれません。

となると、極力低価格で最先端のサービスを提供してくれる企業と組むことで、速度を上げていくことが重要になるわけです。つまりSaaS企業のクラウドサービスを使う、という選択肢です。

繰り返しになりますが、最近H&MやFOREVER21などの一部ファストファッション系アパレルの不調がよく取りざたされているのは、消費者が雑誌や店舗を情報源にしていた時代に培った事業速度が、現代のモバイルを軸に情報蒐集しSNSで拡散する若者たちの”トレンド速度”についていけてないからなのだと思います。彼らはSPAとして一時は時代の寵児となったものの、その本質であったはずの”ファスト”な企業ではなくなったことが現状の苦境を招いているのです。

速さを失ったチーターは、単独では草原で生きていくことはできません。速さを取り戻すか、ないならないでそれを前提とした新たな戦略を生み出せるか。大前提なのは、速いか速くないか、時代の速度についていけるか、それをリードできるかがキーとなっているのです。