ファストWebを中小企業に。

日本の法人の99.7%は中小企業と個人事業

インターネットの利用がPCからモバイルにシフトしたことは誰もが感じることだろう。

いまや多くの企業が、オンライントラフィックをいかにビジネスに結びつけるかを考えねばならない時代だ。

広告や検索エンジンによって自社のWebサイトに訪問者を誘引するだけでなく、ソーシャルメディアで口コミとしてとりあげてもらうことでの誘客も必要となり、それらはSEO(検索エンジン最適化)だったりSMO(ソーシャルメディア最適化)といった手法として、多くの広告代理店やマーケティング企業に事業機会を与えている。また、Webサイト自体がスマートフォンで見られることが多くなっている以上、大企業は徐々にモバイルサイトの充実に動いている。

つまり、スマートフォンに最適化された自社サイトをもち、ソーシャルメディアからの誘引をどう設計するかが重要になっているのである。

ところが、日本の企業の大多数は、こうしたネット上のトレンドに無関係のままだ。日本の法人数はおおよそ420万社。そのうちの99.7%は中小企業や個人事業主を含む零細企業だが、彼らの多くはスマートフォン最適化やソーシャル対応どころか、そもそも自社Webサイトを持っていない場合が多い。

そこで、僕は、中小企業にもこのトレンドに乗っていただくためのコンセプトとして、ファストWebという考え方を提唱したい。

ファストWebとは、ファストフード、ファストファッションと同じ文脈だ。(ファスト=Fastとは速い、という意味であることは言うまでもない)ファストファッションはファストフードから派生してできた後付けの用語だが、意味としては本家を完全に凌駕している。安かろう悪かろうではなく、ファストファッションではラグジュアリーブランドやハイファッションの最先端のトレンドをいち早くキャッチし、流行がはじまると同時に市場に商品を出し、流行が終わる前に在庫を売り切るというビジネスモデルになっている。ファストファッションが手がけるような商品は定番というよりも、シーズンごとに言葉は悪いが使い捨てになりがちな、その旬のときにしか着られないようなエッジの効いたデザインとなる。逆に言えば、ラグジュアリーブランドにおける最先端の服は、翌年には流行遅れになるリスクがあるわりにはオーバークオリティで高価過ぎるわけだ。

僕が提唱するファストWebとは、ファストファッション企業が行なっているビジネスモデルに近いものだ。

スマートフォン全盛の2013年にあっては、UIはカードデザイン(画像やサムネイルやテキストなどの情報をフラットなカード型の領域で表現。Pinterestや最近のFacebookが好例)とフラットデザインが台頭してきている。同時にマルチデバイス対応のため、レスポンシブWebデザイン(PC、タブレット、スマートフォンなど、あらゆるデバイスに最適化したWebサイトを、単一のHTMLで実現する制作手法)も急速に普及しつつある。

こうしたトレンドをいち早く取り入れて、自社のサービスやWebサイトに取り入れていくには、スクラッチで高額の予算をかけてオリジナルサイトを制作するしかなかったが、最近ではWixWeeblyといったクラウド型のWebサイト構築サービスが台頭し、最先端のWebサイトを短時間かつ低予算で構築し、運用することが可能になっている。こうした企業を僕はファストWeb企業と呼ぶ。

たとえば、最近話題になっているBASEStores.jpなどの無料ECのOEMサービスは、ECという機能を低価格で提供するファストWeb企業だと僕は考える。もちろん低価格でアプリ対応・スマホ対応のコミュニティサイトを簡単に作れるRevolver もファストWeb企業である。

ファストファッションでいえばH&MやZARAがあるが、ファストファッションの手法で眼鏡を売りはじめたJINSも、ファストファッション企業ととらえるべきだ。(眼鏡は医療用補助器具であると同時に、ファッションツールであると改めて日本人に訴求したと言える)

それと同じように、簡単に多様なWebサイトを提供するファストWeb企業群が台頭している様子を僕らは見極めなければならない。

H&MやZara、そしてユニクロなどのファストファッションによって、低価格で、あまりファッションにお金をかけられない層であっても流行りの服を身につけることが可能になった。

同じように、ECやコミュニティ、スマートフォン対応(SMO)、モバイルアプリ化などの最先端のインターネットサービスを低コスト・短時間で我がものにできるファストWebを使いこなすことで、日本の中小企業も大企業にひけをとらないだけのデジタル武装が可能になるのだ。