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モバイルインターネットにアジャストせよ

小川浩株式会社リボルバーCEO兼ファウンダー。

Facebookの株価がどうにもあがらない。史上初の利用者10億人突破のソーシャルネットワークという栄誉を得たことも、株式市場の好感度をあげることができなかった。

同時に、Facebookプラットフォームの上で史上最速の成長を遂げたはずのZyngaも絶不調だ。株価は下がりっぱなしだし、重要社員の離脱が続く。

これはどれもこれも、スマートフォンの普及によって一気に広がるモバイルインターネットの世界に彼らがアジャストできていないと市場が感じているためにほかならない。

僕は最近新たにセレブ向けのソーシャルネットワークを公開したが、公開後1ヶ月経った現在のアクセス状況を見ると、AndroidとiOSによるトラフィックが全体の51%となっている。通常新しいネットサービスを公開すると、参加ユーザーはITリテラシーが高いアーリーアダプターが多いものだが、僕の新サービスは標準的なネットユーザーであり、むしろレイトマジョリティ(新サービスが世間に受け入れられて、普及した後に参加する層)である。つまり、平均的な消費者の間では、既にPCではなくモバイルによるインターネット利用が当たり前になっている、ということだろう。

ところで、FacebookにしてもZyngaにしても、モバイルを軽視しているということは全くない。むしろ、多くの試行錯誤をしながらも精一杯の注力を続けている。それなのに成果を見せられていないということはどういうか。

Facebookについていえば、HTML5によるWebアプリのラッピングにこだわったことが災いして、アプリの反応速度の遅さがユーザーの嫌忌を招いたと言われている。しかし、Object

Cによる純粋なネイティブアプリに切り替えた後でも、いうほど速度に変わりはないし、収益性に対する回答にはなっていない。Zyngaの場合は、スマートフォン用のアプリとしては幼稚すぎるというか、クリエイティブに問題があるのかもしれない。いずれにしても、スマートフォンというプラットフォームにフィットしたサービスモデルを両社が出せていない、少なくともユーザーや投資家を納得させられていないのは確かだ。自分たちの仕事を通して、どうしたらスマートフォンの狭い画面での情報閲覧が基本となったモバイルインターネットに自分たちをアジャストするかを考えるならば、まずはWebサイトを、単にWordpressなどのモバイルCSSを使うだけでなく、最善かつ最上のモバイルWebサイトの設計にトライするべきだろう。

僕は常々ブラウザーを唯一のプラットフォームとして、Webアプリがインターネット利用のインターフェイスであるべきと考えている。現状はネイティブアプリ全盛時代だが、逆にいまこそWebの在り方を真剣に考える時期に来ていると思う。

PCで提供してきたモデルの移植ではなく、完全にモバイル、スマホにフィットしたデザインとサービスモデル、そしてビジネスモデルを考えることが、今こそ求められている。

Via MdN Design Interactive

株式会社リボルバーCEO兼ファウンダー。

複数のスタートアップを手がけてきた生粋のシリアルアントレプレナーが、徒然なるままに最新のテクノロジーやカッティングエッジなサービスなどについて語ります。

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