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東北地方の天候を決める 2つの高気圧の行方

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
東北地方の太平洋側を覆う低い雲(ウェザーマップ提供)

天候不順の要因になる「オホーツク海高気圧」 

 先週、東北地方の太平洋側は、この時季としては気温が低く、日照時間も極端に少なくなりました。これは、明瞭な「オホーツク海高気圧」が現れたためです。この高気圧が現れると、東北地方の太平洋側には冷たく湿った空気が送り込まれ、何日も曇天や低温が続くことになります。そのほとんどが、春の後半から夏にかけて現れ、夏の天候不順の要因にもなる、少々厄介な高気圧です。

5月21日 午前9時の天気図(ウェザーマップ提供)
5月21日 午前9時の天気図(ウェザーマップ提供)

オホーツク海高気圧は不確実性が大きい

 きのう5月25日、気象庁から、6月~8月、いわゆる夏の3か月間の長期予報が発表されました。

 前回の3か月予報では、6月はオホーツク海高気圧がやや現れやすいとされましたが、今回の予報ではその可能性が若干低くなり、6月の東北地方の気温は高温側に修正されました。ただ、可能性がなくなったわけではありません。シグナルが弱くなったぶん、不確実性が大きくなり、傾向が掴みづらくなったといえます。

 そもそも、オホーツク海高気圧がいつ現れるかの予測は、長期予報では非常に難しく、2週間くらい前にならないと明瞭なシグナルが出てきません。兆候を掴むためには、毎週木曜日に発表される1か月予報をこまめにチェックしていくことが大切です。

3か月予報 平均気温(気象庁ホームページより)
3か月予報 平均気温(気象庁ホームページより)

太平洋高気圧は梅雨明け後に強まる?

 もう一つ、夏の天候を決めるのが「太平洋高気圧」です。太平洋高気圧の北への張り出しが強くなれば、当然、夏は暑くなります。ポイントになるのが、フィリピン周辺の対流活動です。この付近の対流活動が活発になると、その上昇流が、日本付近に下降流となって降り、太平洋高気圧を強める働きをします。

 今年は、7月までは不活発で、8月になると徐々に活発化する傾向で、太平洋高気圧が次第に強まる予想となっています。どこまで北に張り出してくるかは、まだ不確実な部分が大きいですが、梅雨明け後は厳しい暑さが来ることは覚悟しておく必要があるといえそうです。

予想される海洋と大気の特徴(気象庁ホームページより)
予想される海洋と大気の特徴(気象庁ホームページより)
気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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