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東北地方に再びの雨 台風19号の被災地は警戒を

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
台風19号 降水量の期間合計値(気象庁ホームページ)

 台風19号の記録的な大雨により、東北地方では土砂災害や河川の氾濫が相次ぎ、甚大な被害が出ています。消防庁の発表では、岩手、宮城、福島の3県で、きょう17日の時点で、合わせて41人が死亡、10人が行方不明となっています。亡くなった方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々が一日でも早く日常を取り戻せることを願っています。

19日(土)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ)
19日(土)午前9時の予想天気図(ウェザーマップ)

 現在、行方不明者の捜索が懸命に行われている中ですが、今週末は、それを阻んでしまうかのように雨が予想されています。

 本州の南に停滞している秋雨前線上に低気圧が発生し、それが北上するため、18日(金)~19日(土)にかけては、全国的に雨が降る予想です。

たとえ大雨にならなくても…

 今回の台風19号の雨量は、東北地方の多くの地点で、観測史上1位の値を更新しました。宮城県丸森町筆甫を例にあげると、24時間の雨量が588ミリと、これまでの記録である379ミリを大幅に更新しました。これは、平年の10月1か月分の雨量の3.5倍に相当します。さらに、集中豪雨の目安となる3時間の雨量は211.5ミリにものぼりました。短時間に集中的に雨が降ったため、大規模な土砂災害や河川の氾濫が多発してしまったとみられます。

 このような状況ですから、地盤はかなり脆くなっています。いつもだったら普通にやり過ごせる量の雨だったとしても、土砂災害や河川の氾濫の危険性は高まります。雨の影響としては、予想される雨量よりも上乗せして考える必要があります。

 

 きょう、仙台管区気象台から発表された「大雨と洪水に関する東北地方気象情報」によると、東北地方の太平洋側では、18日(金)午後6時~19日(土)午後6時までの24時間で、多い所で100~150ミリの雨が降る予想となっています。まだ雨量の予想には不確実性が伴いますが、再び大雨になってもおかしくない状況です。

 東北地方は、あす18日(金)の夕方になると雨雲がかかり始める予想です。安全な場所に身を置き、危険が及びそうな場所には絶対に近づかないこと。そのうえで、いつも以上に、気象情報や自治体からの避難に関する情報に耳を傾けていただきたいと思います。

雨の予想 19日(土)午前6時(ウェザーマップ)
雨の予想 19日(土)午前6時(ウェザーマップ)
雨の予想 19日(土)正午(ウェザーマップ)
雨の予想 19日(土)正午(ウェザーマップ)
気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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