警戒レベル4「全員避難」の意味とは?

新たに導入された「警戒レベル」(内閣府のチラシを筆者加工)

 今年、避難勧告等に関するガイドラインが改定され、新たに「警戒レベル」が導入されたことは、ニュース等でご存知のことと思います。

 きっかけは、去年7月の西日本豪雨。さまざまな気象情報や避難情報が出されましたが、それが複雑に入り組んでわかりにくく、必ずしも住民の避難行動に結びつかなかったということがありました。これを教訓に、情報を5段階に整理して、住民の避難に結び付けようというのが狙いです。

 警戒レベル1と2は、気象庁から発表されます。災害への心構えを高め、自らの避難行動を確認する段階です。

 警戒レベル3以上は市町村から発令され、実際に避難行動をとる段階です。レベル3は、高齢者など、避難に時間を要する人が避難を始める段階。そして、レベル4は、避難勧告や避難指示にあたり、これが発令されたら、全員がすみやかに安全な場所に避難する必要があります。

 ポイントになるのは、やはりレベル4の「全員避難」となるわけですが、この「全員避難」の意味を正しく理解していないと、混乱を招くことになります。

「全員」とは誰のことか?

 「8・6水害に匹敵する雨量になる可能性がある。いつどこで同時多発的に土砂災害が起きてもおかしくない。自分や大切な人の命を守る行動をとってほしい」。6月28日の降り始めからの総降水量が年間の約半分にあたる1000ミリを超える恐れがあると判断した鹿児島市の森博幸市長は3日午前9時35分、市内全域の約59万人に避難指示を出し、警戒を呼び掛けた。

出典:毎日新聞 2019年7月9日

 これは、今年の九州南部の大雨の時の鹿児島市の対応です。多くの人に危機感を持ってもらう狙いがありましたが、特定の避難所に人が集中したり、避難指示を「強制的な避難」と受け止めた人がいたり、「全員避難」の意味がうまく市民に伝わりませんでした。

 「全員避難」とは、何も、必要性のない人まで避難しろという意味ではありません。今回の鹿児島市も、そのような意図では発令していません。「全員避難」とは、避難勧告や避難指示が発令された地域の中でも、浸水や土砂災害などのおそれのある地域にいる人が避難してくださいという意味です。そもそも自宅が安全であれば、そこに留まること自体が避難になりますから、無理に動かなくてもいいわけです。避難所へ行くことだけが、避難ではありません。それぞれの周辺環境によって、行動は異なってきます。

ハザードマップの活用を

 では、自分が災害のおそれのある地域にいるのか、そうではないのか、どうやって知ればいいのか。現時点では「ハザードマップ」が最も有効な手段といえます。

 ハザードマップとは、被害の発生が予想される範囲や程度、避難場所などの防災情報を示した地図のことで、市町村ごとに作成されています。

仙台市が配布しているハザードマップ(筆者撮影)
仙台市が配布しているハザードマップ(筆者撮影)

 例えば、人口108万人を抱える東北随一の大都市・仙台市。仙台市では一昨年から、ハザードマップを市内の全世帯・全事業所に無料配布しています。最大規模降雨(関東・東北豪雨の2.5倍の雨量)での浸水想定区域や、土砂災害警戒区域などが色付けされ、かなり詳細に書かれ、興味をそそる内容になっています。

 仙台市では、避難勧告・避難指示は、「〇〇町1丁目」などの「町丁目」単位で発令することになっています。発令された場合、その中でも、浸水や土砂災害などのおそれのあるエリアにいる人が、速やかに安全な場所に避難する必要があるというわけです。こうしたことを知っていると、「全員避難」と言われた時に、慌てずに済みます。

 ハザードマップは、まだまだ周知という意味では十分ではない現状があります。ですが、身の回りの危険を知っておかないと、そもそも避難のしようがありません。いざという時に適切な避難行動をとれるようにするためにも、ハザードマップの普及は急務といえます。