きのう8月27日午前9時、フィリピンの東の海上で台風12号が発生しました。今後は西へ進む見込みで、日本列島に直接的な影響はないとみられます。

　西日本や東日本と比べると、東北地方には、強い勢力で接近する台風は多くありません。陸地を通る間に台風としては勢力が弱まることが多いためです。しかしながら、時には台風によって大きな被害がもたらされることがあります。

1991年　台風19号

　9月16日にマーシャル諸島の西の海上で発生した台風19号は、宮古島の東の海上で北東に向きを変え、非常に強い勢力で長崎県に上陸。その後、日本海を北東に進み、強い勢力で北海道渡島半島に再上陸しました。勢力を維持したまま北上したため、全国的に猛烈な風が吹く、典型的な「風台風」でした。

　この台風の被害の象徴は、青森県で収穫前のリンゴが大量に落果したこと。この時、青森では最大瞬間風速53.9メートルを観測しています。

　具体的な台風の号数を言われてもピンと来ませんが、「リンゴ台風」と言えば、すぐに思い出せる方も多いと思います。

2016年　台風7号、11号、9号、10号

　この年の8月は、台風が異例のコースをとったことで話題になりました。

　太平洋高気圧が日本のはるか東で強く、西への張り出しが弱かったため、台風が相次いで北海道や東北地方に向かってきました。7号、11号、9号は北海道に上陸、10号は岩手県に上陸し、各地に大雨をもたらしました。

　10号の時は、台風周辺の非常に暖かく湿った空気が岩手県に流れ込んだことで、記録的な大雨となりました。岩手県岩泉町では、3時間で138ミリ（観測史上1位）の雨が降り、川が氾濫。高齢者グループホームの入所者9人が亡くなるなど、人的な被害も発生しています。

　なお、北海道に3つの台風が上陸したこと、台風が東北地方太平洋側に上陸したことは、気象庁の統計開始以来初めてでした。

関東・東北豪雨も台風がらみ

　2015年9月の「関東・東北豪雨」。関東～東北にかけての各地で大雨となり、栃木県、茨城県、宮城県に大雨特別警報が発表されました。鬼怒川の堤防が決壊し、多くの建物が水に浸かってしまった光景を覚えている方も多いことでしょう。宮城県においても、渋井川の堤防が決壊し、大規模な浸水被害が発生しています。

　この時、台風18号から変わった低気圧が日本海にあり、台風17号が日本の東の海上を北上していました。低気圧に向かう湿った空気と、台風17号周辺からの湿った空気が合わさるような形になり、多数の線状降水帯が発生。記録的な大雨となりました。

9月は要注意の1か月

　今年はこれまで、6個の台風が日本に接近・上陸していますが、西日本方面から日本海へ進むものが多くなっています。夏は太平洋高気圧の勢力が強いため、それに押されるような形になり、このようなコースを進みやすいのです。

　今後、季節が進むにつれて、太平洋高気圧は弱まるため、台風のコースは東にずれて、東北地方に近づきやすくなります。

　最新の3か月予報によると、この秋、太平洋高気圧は日本の東で北への張り出しが強い予想で、東北地方の特に太平洋側は、高気圧の縁を回って湿った空気が流れ込みやすくなるとみられています。台風も高気圧縁辺の流れに乗って北上する性質があります。

　その時々の気圧配置にもよりますが、今後はこれまで以上に注意が必要といえます。