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まだ大雪がない仙台 今後は雪が降りやすくなる可能性も

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
雪のない仙台市内(1月18日 筆者撮影)

気象学では12月~2月の3か月間を「冬」としていますが、その冬も半分が過ぎたことになります。宮城県では、ここまで広い範囲での大雪はなく、仙台の積雪は最大でも4センチ。1月は積もるような雪はほとんど降っていません。ただ、雪の季節はまだまだこれからといえます。

見通しが難しい太平洋側の雪

冬になると、「この冬は雪は多い?」「大雪はありそう?」という質問を毎年のように受けるのですが、これが非常に難しい質問です。というのも、太平洋側の雪は、低気圧によるところが大きいからです。もちろん、強い寒気が入って日本海側から雪雲が流れ込むパターンもありますが、まとまった雪は低気圧の接近・通過によってもたらされることが多いものです。低気圧がどこを通るか、どれくらい発達するかがカギとなりますが、これを何週間も前から予測することは、残念ながら現在の技術では不可能と言わざるを得ません。

2014年2月9日 大雪に見舞われた仙台市内(筆者撮影)
2014年2月9日 大雪に見舞われた仙台市内(筆者撮影)
2014年2月9日の天気図(ウェザーマップ)
2014年2月9日の天気図(ウェザーマップ)

宮城県の大雪で記憶に新しいのが2014年。2月9日、本州の南岸を進む、いわゆる「南岸低気圧」の影響で大雪に見舞われ、仙台の積雪は35センチ(観測史上3位)に達しました。この時は、低気圧のコース、発達具合、下層の寒気などの条件が揃い、記録的な大雪になったというわけです。そして大雪はこの1回では終わらず、1週間後の2月15日にも南岸低気圧が接近して、再び大雪に見舞われています。かと思えば、2017年冬(2016年12月~17年2月)のように、最大でも5センチの積雪にとどまることもあり、年によってかなりばらつきもあります。

今後は雪が降りやすくなる可能性も

1月17日発表の1か月予報(気象庁ホームページより)
1月17日発表の1か月予報(気象庁ホームページより)

きのう発表された1か月予報。注目していただきたいのが、降水量と日照時間。宮城県を含む東北太平洋側は、降水量は「平年並か多い」、日照時間は「平年並か少ない」予想となっています。気圧の谷の影響を受けやすいという理由からですが、平年よりも低気圧が接近しやすいと思っていただければいいと思います。

長期予報は大まかな傾向を見るためのもので、個々の低気圧の振る舞いまでは予測できません。しかしながら、「下手な鉄砲も数打てば当たる」ということわざがあるように、接近する数が増えれば、それだけ雪に当たる回数も増えることが予想されます。もちろん、すべて外れという可能性もあるのですが、今後は少し雪に注視していきたいところです。

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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