日本時間23日早朝、VALORANTの世界大会「2022 VALORANT Champions Tour Stage 1 - Masters Reykjavik」は大会10日目をむかえ、日本代表のZETA DIVISIONがシードチームのPaper Rex(シンガポール)を2−1で下した。日本代表として世界大会ベスト3は同ゲームでは初。早朝時からの放送にもかかわらず50万人以上の視聴者が見守った。

名実ともにアジア最強に

日本のeスポーツ史が変わった。逆転勝ちを決めると日本代表ZETA DIVISION(以下: ZETA)の5人は静かに立ち上がった。ここまでは、飛び上がるように試合終了の瞬間をむかえていたが、LAZは確かな手応えを感じるようにゆっくりと立ち上がった。これでアイスランドに立つアジアチームはZETAだけになった。

苦しい試合展開

負ければ即帰国の一戦、想像以上に苦しい試合だった。ファーストマップはZETAが選んだアイスボックス。0−2と先制を許してのスタートも、前半で4−3と逆転に成功。しかし、そこからは2本を取るにとどまり6−13で最初のマップを落とし、早くもあとがなくなった(それぞれのマップは13本先取、2つのマップを取れば勝利)。

この試合、ZETAは今大会初めての長期休養をはさんでの一戦だった。相手チームの対策をする時間もあったが、その上での完敗で選手たちの表情も優れなかった。

試合後のインタビューでLAZは「病み上がりだったので声が出なかった、作戦の伝達ミスなどがあり悪い負け方をした、自分を蹴飛ばしたくなるぐらい悔しかった」と、この時のことを振り返った。

円陣を組むZETA DIVISION(提供: RIOT GAMES)
円陣を組むZETA DIVISION(提供: RIOT GAMES)

さらに、セカンドマップは相手の選んだヘイブン。Paper Rexがもっとも得意とするマップのひとつだ。一方、ZETAは今大会一度も勝てていないマップで、DRX(韓国)戦とTeam Liquid(オランダ)戦でいずれもヘイブンを落としている。

しかし、いざ始まるとZETAは5連取で5−0とリード。LAZは今まで見たことがないほど声を振り絞り、何度もチームを鼓舞した。終わってみれば13−2、苦手ヘイブンでPaper Rex相手に圧勝した。

むかえた最終マップのスプリットで逆転勝ちを決めたZETA。試合後LAZは「普段同じアジア地域で頑張っているチームだったので、今までとは違った緊張感があった。絶対に勝ちたかった」と話した。

ZETA DIVISIONのLAZ(提供: RIOT GAMES)
ZETA DIVISIONのLAZ(提供: RIOT GAMES)

逆襲の日本代表 ZETA DIVISION

これまで、主要FPSタイトルでの日本代表の戦績は、2019年に野良連合がレインボーシックスシージの世界大会にて残したベスト4が最高だった。

長らく日本は、VALORANTをはじめ、5人チームで戦うタクティカルシューターというジャンルにおいては世界の後塵を拝していた。最弱の地域と揶揄されることも少なくなかった。

今大会も事前に行われた海外キャスターの順位予想でZETAのチーム名は全12チーム中最下位、チームロゴを逆さまにされるという屈辱まで味わった(のちにこのキャスターは謝罪)。あくまで、ジョーク交じりのお遊び的なニュアンスでもあったが、それだけ日本チームの下馬評が低かったのだ。

しかし、蓋を開けてみればZETAは敗者側トーナメントで連勝街道を突き進んでいる。並み居る強豪9チームが敗れて帰国の途につく中、日本のZETAが残された3チームに名を連ねた。大会も佳境をむかえ、明日の敗者復活トーナメントの決勝戦、そしてグランドファイナルの2試合を残すのみとなった。

次戦は明日24日深夜、アメリカの強豪OpTic Gamingとの一戦が待つ。

次の試合は、今大会初のBO5(3本先取)で行われる。当然、ZETAは大規模国際大会でのBO5は初めての経験になる。大会は10日目をむかえ、疲労も溜まってきた中で集中力も要する長期戦。しかし、今のZETAならきっとやってくれるだろうと思わせてくれる。

最弱の地域から出てきた日本代表が、世界最強の王座まであと2勝。ZETAの逆襲はまだ終わらない。

VALORANT(ヴァロラント)とは

アメリカのライアットゲームズによる基本無料のPC向けFPSタイトル。5対5でのシビアな撃ち合いを軸としたタクティカルシューターだが、そこに各エージェント(キャラクター)のアビリティが大きな影響を与える。それゆえ、戦略性の高さやチームワークが勝敗の鍵を握る。最新のデータでは月間1400万人のアクティブプレイヤーがおり、前回の世界大会の決勝戦は100万人以上の視聴者が見守った。