日本eスポーツ最高額の賞金1億1000万円、今年は台湾のSasamumu選手が獲得

日本のJupiとの壮絶な決勝戦を制した台湾のSasamumu

昨日、スマホ向けカードゲームShadowverseの世界大会「Shadowverse Word Grand Prix 2019」が行われ、台湾のSasamumu(以下:ササムム)選手が優勝し賞金100万ドル、日本円にして約1億1000万円を勝ち取った。

日本eスポーツ界としては最高額、世界的に見ても優勝者ひとりに1億円以上の賞金与えられるのは稀だ。昨年は、日本のふぇぐ選手が世界一に輝き、史上初の日本人プロゲーマー1億円超えを達成したが、世界大会3回目にして初めて海外勢が優勝を果たした。

ソニックシティホール大宮には入場制限がかかるほどのお客さんが駆けつけた
ソニックシティホール大宮には入場制限がかかるほどのお客さんが駆けつけた

Shadowverseとは、Cygamesが配信するスマホ・PC向けの対戦型オンラインカードゲーム。2人のプレイヤーが、それぞれ持ち込んだ40枚の山札からカードを引きながら相手のライフを削り切ることを目指す。

一般的にeスポーツというと格闘ゲームやシューティングなど、動きの激しいゲームを想像される方も多いと思うが、カードゲームはポーカーや将棋などマインドスポーツに近い雰囲気の中で戦う。

会場にはゲーム画面が映し出される 提供:Cygames
会場にはゲーム画面が映し出される 提供:Cygames

たかがゲームに1億円なんて大それている、という意見も聞こえてくるが、実況として選手たちを近くで見ているとそんな事は微塵も思わない。

試合が始まると選手たちは、音などを完全に遮断された個室に審判と2人きりで入り、モニターに向かい合い、自分だけを信じて戦いに挑まなければいけない。昨年の王者ふぇぐ選手も「世界大会の決勝は、自分の人生で1番の精神力が求められた試合でした」と振り返っている。

今大会もまさにそんな力が求められる場面がいくつもあった。

ササムム選手も世界一に王手をかける試合で、勝ちを逃してしまう場面があった。本人もすぐにミスに気付き、思わず椅子の上でのけぞった。

カードゲームの特性上、ミスがあるとそれが明確に敗北に直結してしまうため、選手たちへの心理的なダメージも大きい。普段遊んでいる分には「やってしまった!」で済むかもしれないが、なにせ、ひとつひとつの判断に9000万円の差がかかってくる世界大会だ(今大会では優勝と準優勝の賞金額の差が約9000万円だった)。

もちろん、決勝の重圧や長時間の戦いでの疲労など、選手にしかわかり得ない苦しさがある。

それでも、努力を重ねようやく立てた夢舞台でミスをすれば、焦りや重圧が一気に選手たちを襲う。

ただ、ササムム選手が強かったのはここからだった、致命的なミスにもかかわらず、気持ちを切らさなかった。一瞬、苦しい表情を見せたあと、何かに取り憑かれたように突然無表情になり、ひたすらモニター上の盤面と向き合った。

その後は丁寧にプレイを続け、大きなミスから挽回し見事勝利を収めた。

試合後、本人に話を聞くと「気持ちに余裕があったからかだと思います。大事な場面でミスをしてしまうことも多くありますし、今大会でもミスはありました。ただ、それでも焦らず、冷静に対応できたのが勝因だと思います」と話してくれた。今年のチャンピオンも誰よりも強い精神力の持ち主だと感じた瞬間だった。

泥くさくも、勝利に食らいついていくササムム選手の姿に心奪われた。

会場では優勝が決まった瞬間からしばらく拍手が鳴り止まなかった。

また試合後のインタビューでの「Shadowverseは私の命そのもの」という言葉に会場のお客さんや生放送のコメント欄は大盛り上がりだった。

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Shadowverse3周年の今年、優勝トロフィーが初めて海を渡った。

王座奪還に燃える日本人選手も多いだろう、年明けには次の世界大会につながっていく1万人での予選大会が控えている。

来年もShadowverseからは目が離せそうにない。