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日本天文学会、天文用語集を広くインターネット公開

縣秀彦自然科学研究機構 国立天文台 准教授
日本天文学会インターネット版「天文学辞典」トップページ

 重力波って何? アインシュタインってどんな人? 皆既月食なら広い範囲で見られるのに、皆既日食が珍しいのはどうして・・・?

 ニュースに登場する天体に関する用語や、宇宙・天体現象に関する身近な疑問、こうした疑問に応えようと、公益社団法人 日本天文学会は、インターネット版天文学辞典を無料公開しました。

インターネット版天文学辞典 http://astro-dic.jp/ 

 注:2018年3月中にスマホ・タブレットへの対応(レスポンシブ対応)予定

  

 日本天文学会では創立100周年記念事業として2012年に書籍版「天文学辞典」(日本評論社)を発行しています。その項目を受け継ぎ、今回無料公開されたインターネット版「天文学辞典」では、天文学の広い分野にわたるおよそ3000語を解説しています。書籍版は、天文学を学ぶ大学生・大学院生向けでしたが、インターネット版は動画や画像・イラストなどが豊富で、小中高校での天文単元の授業でも利用できそうです。また、中・高校生がアクティブ・ラーニング等で自ら活用することも期待されます。インターネット版であることから、用語間の相互参照が簡単に行えるため、興味を持ったらどんどん掘り下げて調べ、いろいろな用語を関連づけて体系的に理解を深めて行くことができるのがこの用語集の特徴です。

 この事業は、平成29年度子どもゆめ基金助成金(教材開発・活用)で行われ、開発・執筆は日本天文学会・天文学辞典ワーキンググループメンバーによるものです。今後もたらされる天文学の新しい知見については、引き続き日本天文学会が情報更新を行っていくとのことです。

用語の表示例「キロノバ」 新規に記述された天文用語の一つ。動画や画像を用いて分かり易く用語を紹介している。また、説明文中の用語とリンクすることで理解を深める工夫がなされている。
用語の表示例「キロノバ」 新規に記述された天文用語の一つ。動画や画像を用いて分かり易く用語を紹介している。また、説明文中の用語とリンクすることで理解を深める工夫がなされている。

インターネット版「天文学辞典」の特徴

 書籍版からインターネット版への変更は、主として書籍版に不足していた図版や動画の追加と、刊行以降5年間に新たに登場した重要語の補充。インターネット版では全項目2955のうち1000項目以上にビジュアル素材が挿入されました。このうち107点の図表は今回新規に作成されたものです。

 子どもゆめ基金では、その趣旨として初等中等教育でも広く利用できることを求めています。このために、日本天文学会天文教育委員全員、天文教材委員会の有志3 名及び、天文教育普及研究会の天文用語検討・活用WG(総勢26名)が、その点に配慮して、用語や図版の整理・確認作業を行ない、掲載された図表や動画を教育現場で広く活用してもらうことを想定しています。

 天文学の研究は日々進歩を続けています。日本天文学会は、定常的な体制を作って、この辞典を多くの人たちに使っていただけるより良いものにしていくとしています。

「学習レベル」は、児童・生徒に興味を持ってほしい用語を選んでマーキング。学習指導要領とは関係づけられていないが、指導者が読むことや中学生、高校生がアクティブ・ラーニングで利用することを想定。
「学習レベル」は、児童・生徒に興味を持ってほしい用語を選んでマーキング。学習指導要領とは関係づけられていないが、指導者が読むことや中学生、高校生がアクティブ・ラーニングで利用することを想定。
自然科学研究機構 国立天文台 准教授

1961年長野県大町市八坂生まれ(現在、信濃大町観光大使)。NHK高校講座、ラジオ深夜便にレギュラー出演中。宙ツーリズム推進協議会代表。国立天文台で国際天文学連合・国際普及室業務をを担当。専門は天文教育(教育学博士)。「科学を文化に」、「世界を元気に」を合言葉に世界中を飛び回っている。

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