公開天文台に出かけよう!

公開天文台での観望会のようす

提供:国立天文台
提供:国立天文台

「公開天文台」とは? -400を超える施設が全国に-

全国津津浦々に、公開している天文台施設があります。

公開天文台白書によると、400施設を超える施設が国内にあるのではと推定されています。高原や人里離れたところにも大型の公開天文台施設がありますが、街中でも科学館やプラネタリウム館で週末に観望会を開催しているところもあります。

もっとも大規模な公開天文台は、兵庫県立大学の西はりま天文台と群馬県の県立ぐんま天文台です。西はりまには、日本最大口径の2メートル反射望遠鏡。公開施設としては世界最大級の望遠鏡です。一方、ぐんま天文台には1.5m反射望遠鏡があります。両天文台とも天文学者が複数在勤し、天文学の研究と県下の天文教育を担っているところに特徴があり、望遠鏡のみならずスタッフも施設も充実しています。

一方、ペンションや民宿に併設された小型の天体観測施設も全国にはたくさんあります。職員が一人しかいない天文台もありますし、週末しか営業していないところもありますが、このようなこじんまりとした公開天文台はお客さんとの距離が近く、なんでも相談出来たり、リクエストできたりするところが魅力です。日によってはマンツーマンで詳しく星空を解説してくれますし、曇った日でも楽しいお話や天体写真を見せてくれたりします。

公開天文台の中には申し込みが必要だったり、空いている日時が限定されていたりするケースもありますので、事前に電話やメールで問い合わせて確認してから出かけましょう。

日本を代表する公開天文台の一つ、仙台市天文台(提供:仙台市天文台)
日本を代表する公開天文台の一つ、仙台市天文台(提供:仙台市天文台)

他の生涯学習施設やアミューズメント施設と比較して、公開天文台の魅力である普段は体験できない星空散歩が出来ること以外にも次の3点を挙げることが出来るかと思います。

料金が安い。 せいぜい大人が数百円。子供は無料のところがほとんど。

ゆったりじっくりと星空を味わえる。

皆既日食や火星大接近のような有名な天文イベント時を除くと、落ち着いてゆっくりと楽しむことができる。

全国津津浦々にある。

科学館やプラネタリウム館より数が多い。ただし、交通の便の悪いところにあったり、夜間のため公共交通機関が使えないケースが多いので要注意。

お勧めの天体は?  -望遠鏡で見る宇宙とは?-

公開天文台の天体望遠鏡で見る天体のお勧めは、通常時は、土星、木星、金星のような惑星と月でしょうか。

例えば、本当の土星のサイズは地球の直径の9倍、重さは95倍もある巨大なガス惑星なのにもかかわらず、望遠鏡で土星を見ると、とても小さく、かわいらしく見えます。 土星に限らず、月や金星、木星といった惑星たち、さらには自分ではなかなか見つけることが難しい、各季節の星雲や星雲、銀河などをぜひ、ご自身の目で見て楽しんでほしいと思います。

特に口径(直径)50cmを超える大型望遠鏡で見る星雲・星団・銀河は迫力があります。決して、ハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡が撮像した画像のようには見えませんが、遠い宇宙のかなたから何万光年も旅してきた光子を自分の網膜に焼き付けることは、とても素敵な体験ではないでしょうか。

見える星空も違います -南北に広い日本-

全国津津浦々と申し上げましたが、日本は極東の小国というイメージが強いかと思いますが、どうしてどうしてなかなか広い国土です。

北海道から沖縄まで、およそ3000kmの長さがあります。(北緯45度から北緯20度まで約25度の南北差。東経123~154度の約30度の差 また、本州は島としては世界7位の大きさ。)

北の公開天文台 -なよろ市立天文台-の場合:

国内でもっとも北に位置している天文台は、稚内市青少年科学館ではないかと思います。私が訪ねたことがあるなかで、最北端の公開天文台は、なよろ市立天文台「北すばる」です。北すばるは2010年4月17日にオープンした市立天文台です(北緯44度21分)。北海道大学と共同で運用している口径1.6mのピリカ望遠鏡やプラネタリウムの他、さまざまな音楽イベント等も行われているユニークな天文台です。

なよろ市立天文台を訪ねて一番驚いたことは、はくちょう座の一等星デネブが、1年通じて、地平線の下に沈まないことです。夏の大三角のこと座のベガ(織姫星)が、日本の多くの地域では、夏の夜空で真上を通過するのですが、ここ、北海道ではデネブが真上を通過します。

デネブを含めて、はくちょう座の星の並びは「北十字」ともいいます。

天空には「北十字」と「南十字」という2つの十字星が知られていますが、日本の多くの地域では、秋になると、北十字は西の空に沈んでいきます。しかし、北緯の高い名寄では、北十字の先端のデネブは沈まない星、つまり「周極星」の一つであり、ほぼ一年中に渡って北十字を見ることが出来るのです。

南の公開天文台 -石垣島天文台-の場合:

一方、最南端の公開天文台は、波照間島にある星空観測タワーです。私は残念ながらいまだ訪れたことはありません。しかし、その近く、石垣島にある「石垣島天文台」はたびたび出かけています。地元石垣市と国立天文台、地元のNPO法人他が共同で運用しているユニークな天文台です。緯度は北緯24度22分。名寄市からは20度も緯度が下がります。石垣島天文台の売りは研究でも利用されている口径1mの「むりかぶし」望遠鏡。むりかぶしは沖縄の言葉で「すばる」を意味します。そして、5月のこの時期、石垣島では夜半前に南十字星を見ることができます(6月前半までがチャンス)。日本で南十字星全体を見るには沖縄も八重山地方まで南下しないと無理なのです。そして、太陽系に一番近い恒星、ケンタウルス座α星(4.3光年)もみることができます。

石垣島天文台を共同運用している地元のNPO法人八重山星の会では、今年は5月15日(金)、16日(土)両日の19:00-21:00に、石垣市の南の浜町緑地公園(サザンゲートブリッジ前の公園)にて、毎年恒例の「南十字星観察会」を開催するそうです。また、八重山星の会によると、南十字星を八重山地方で写真撮影するなら、今年は5月23日までがチャンスとのことです。

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石垣島天文台で撮影されたケンタウルス座と南十字星(画面右側)(提供:国立天文台)
石垣島天文台で撮影されたケンタウルス座と南十字星(画面右側)(提供:国立天文台)

ゴールデンウイークは終わってしまいましたが、逆にどこに行くのもゴールデンウイーク中よりは混まないこの時期、晴れそうな晩には、ぜひ、全国各地の特色ある公開天文台を気軽に訪ねてみてください。今年の春、運よく一緒に見ることが出来る「水星、金星、木星、土星」の4惑星、さらに春の天体そして天の川と夏の天体までもが楽しめる今がチャンスです。

参考:

日本公開天文台協会(JAPOS)

公開天文台ポータルサイト(PAO Navi・パオナビ)

宇宙のポータルサイト ユニバース 「あなたの街の科学館・プラネタリウム・天文台検索」