テレビ局の災害報道~各局が協力して「分担取材」

テレビ局の中継車が被災地のガソリンスタンドで割り込み給油をし、大問題になった。

聞けば、最初から割り込みするつもりではなかったようではある。

道路の四つ角で、列の最後かと思い並んだら、交差点を隔てて実はまだ列が続いていたそうだ。

あくまで聞いた話なので実際のところは判らないが、「割り込んででも給油し中継時間に間に合わせるぞ」ほどの考えがあったのか、なかったのか。「謝罪」で終わらせ、「何故そうなったのか」を「報道」しないのは、ますます取材しにくくなる、信頼関係を作ることを難しくするだろう。

■テレビ局の災害報道は協力体制で

映像による被災地の様子を取材することは必要だし、期待もしている。多くの人、「視聴者」がそうだろう。

しかし、ヘリコプターの音が生存者の声をかき消すといった問題は、いよいよどうにかできないのか。

阪神・淡路大震災の時、人命救助にあたってくれていたスイスの災害救助隊は、その様子を撮影するために

カメラが後ろからぞろぞろついてきていたことに驚いたそうだが、上空の取材ヘリの多さは異様な光景に映るに違いない。

せめて各局、分担して取材にあたれないものか。取材した映像を共有化する、被災地の全体像を伝えるために、

被害が大きい場所に集中しない。それらの映像は、支援する国や行政機関にとっても必要なものだ。

肉親や親戚、友人・知人が住むところがどうなっているのか、判断材料として役にも立つだろう。

各局が「我先に取材」ではなく、伝えるべきを伝えていくために、災害報道での協力体制を構築する。チームを組めばいい。

災害報道においては、競争ではなく協同が可能ではないか。少なくとも初期報道においては実現してもらいたい。

■兵站~ロジスティクス

協力体制が出来れば、中継車の給油問題も解決する。「兵站」ということになろう。

兵站とは、「戦場で後方に位置して、前線の部隊のために、軍需品・食糧・馬などの供給・補充や、後方連絡線の確保などを任務とする機関。その任務」だ。

英語でロジスティクスというが、これはギリシャ語の「計算を基礎にした活動」が語源のひとつらしい。

被災地を取材するチームを支えるロジスティクス・チームがいることで、取材チームは仕事に専念もでき余裕も生まれるだろう。

ロジスティクス・チームが構えた拠点が、支援物資の一時集積場所となることも考えられる。

国や行政、さらに支援団体等との情報共有も可能になるだろう。それは、必要なところに必要な物資を供給することに役立つ。

学校のグランドに描かれた「SOS」を見つけたら、ロジスティクス拠点へ支援物資を積み込みに戻り、その量は知れていたとしても、すぐに

対応できる。分担取材をしていれば、アクションも起こしやすいだろう。「報せる」だけではない被災地への関わりができることで、取材協力も得やすくなるだろう。

信頼関係をきちんと構築していくこと。それがなければ、キャスターが、リポートしているアナウンサーが、いくら「被災地を思っている」表情で発言をしても信用されない。それはテレビ局にとっても、番組スポンサーにとっても、視聴者にとっても、そしてもちろん被災者にとってもいい状況ではない。ますます疑心暗鬼な社会を加速させていくだけだ。「報道の自由」を声高に叫ぶなら、「報道の責任」として、是非、イノベーションを起こしてもらいたい。