「ラジオ」は面白いメディアだ!

かつて、「ミニFM局ブーム」というのがあった。

検索すると、1979年の「POPEYE」7月25日号で、

「100m放送局の面白い使い方」という記事が掲載されたとある。

この年、私は大学に入り、放送部に入部。

2年か3年の頃に、「ミニFM局」実験をしたことがある。

自宅の部屋にあるカセットデッキのヘッドホンジャックに

トランスミッターという電波送信機を差し込み、音楽テープを回す。

私は車で出ていき、自宅から少し離れたところで

カーステレオのFM周波数を合わせる。

これで準備は出来た。

あとはどれくらいの距離で電波がキャッチできるかだ。

数百m離れたところから徐々に自宅に近づく。

まだ電波は入らない。

もうすぐ自宅前になる。まだ入らない。

そしてようやく、玄関前に来てやっとキャッチ・・・

これでは使い物にならない。誰も聴かない、聴けない。

そう思って諦めた思い出がある。

私の知人に大阪大学人間科学部研究生がいる。

ミニFMを始めラジオ全般の研究している和田敬氏によると、

「関西地域の個人発信によるミニFM局は、

1980年代初頭から1990年代後半にかけて、

局所的ながらもローカルな中間コミュニケーションに位置する

双方向メディアとして機能していた。

その数は判明分だけでも延べ160局以上存在し、

100人近くのリスナーを集めるイベント

(=オフライン・ミーティング)

を行う規模を持つネットワークも存在した」

そうだ。

和田氏は自身の論文冒頭で指摘している。

「インターネット上の個人間コミュニケーションが盛んである。

1980年代の一部のミニFMはそれと似た機能を果たしていた」

ミニFMは、結局一部の拡がりを見せただけで衰退した。

小出力のトランスミッターの電波は、

法律の範囲内ではあまりに届かなかった。

「個人の遊び」の範囲も超えなかった。

時代はインターネットへと動く。

Podcastが注目されたのは2005年。

iTunesとニフティがサービスを提供し、

リスナーとポッドキャスター人口が

急速に増加した。

私もケロログというサービスを使ってPodcastを始めた。

新しいメディアとして盛り上がりを見せていたのを覚えている。

しかし数年前に頭打ちとなった。

ネット配信による動画は大きく拡がった。

市場規模も2013年は1200億円を超え、前年比121%だ。

音声メディアは地上波の苦戦もあってか相変わらず地味な存在だ。

ネット音声メディアもあえて「ラジオ」と呼ぶけれど、

「ラジオ」は忘れられていくメディアなのか。

いや、求められるメディアではないのか。

パーソナルメディアと言われてきたラジオ。

映像すら個人の手によるものが当然となった今、

「ラジオ」はどんな存在であろうとするのだろう?

私は今もネットによる「ラジオ」配信を続けている。

「愛と礼儀!涙と感謝!」という番組を4月から始めた。

ナレータースキルや音楽スキルを使い、

「ラジオCMのパロディ」「ラジオだからこそのキャラクター設定」など、

ラジオの持つ特性を模索しながら作っている。

作っていて、ラジオは面白いと感じている。

ラジオ聴く。

テレビやSNSとは違う感覚。

かつて言われていたように、ラジオは「私とあなた」なのだ。

パーソナリティとリスナー。1人対多数。

実際はそうであっても、ラジオは「私とあなた」という関係だ。

こんな特徴があるラジオは、もっと評価されていい。

地味ながらも、きちんと評価しなおすべき「ラジオ」なのだ。