大阪の本屋と問屋が選んだ、ほんまに読んで欲しい本

「全国書店員が選んだ、いちばん!売りたい本」

というキャッチコピーの「本屋大賞」が出来て10年なんだそうだ。

今年の受賞作品は、百田尚樹氏の「海賊と呼ばれた男」だった。

大阪では特にお馴染みの高視聴率番組「探偵ナイトスクープ」、

その構成作家をしてきた百田氏。

まさに「大阪らしい」作家の受賞だった。

今年4月、「大阪の問屋と本屋が力を併せて、

ほんまに読んで欲しい1冊を選びました。

その本の販売で得られた収益の一部を、社会福祉施設を通じて、

大阪の子供たちに本を寄贈するプロジェクト」を発足させた。

「Osaka Book One Project」だ。

各地にいくつかある「ご当地本大賞」とは少し趣きが違う。

もちろん、本が売れない危機感がモチベーションとなっているが、

それだけではオモロない、

なんぞ役にたちたいという思いがあったと、

理事のひとりは言った。

大阪は中々まとまらない。

発想は斬新で、ユニークで、皆が「オモロイ!」と言っても

「それではみんなで協力していきましょう」とは簡単にはいかない。

その大阪の書店や問屋が力を併せた。

このプロジェクトの発足と百田氏の受賞時期は同じ4月。

これが私には偶然と思えないのだ。

何か「勢い」のようなものがある、少なくとも注目に値すると思う。

さて、第1回の「ほんまに読んで欲しい本」に選ばれたのは、

「大阪天満宮を舞台に描かれる、大阪商人の素敵な気質と人情」

と紹介されている、高田 郁氏の「銀二貫」だ。

「銀二貫」というタイトルが、読み進めば進むほど効いてくる。

冒頭でつかまれ、「素敵な気質」や仄かな恋愛も絡み、

「人情」「愛情」が、派手さはないけれどしっかり横たわっている・・・・

大阪弁で言えば「ようできた~るわぁ」な小説だ。

小説を「日頃読んではいない」私が、「ほんまおもろい」と思い、

ああ、これが小説の醍醐味か、読後感の心地よさかと感じた。

偉そうには言えない立場だが、さすが「ほんまに読んで欲しい本」に

選ばれた本だと思った。

著者や内容が大阪にゆかりのある、

既刊の文庫本150点以上のノミネートから選ばれた「銀二貫」。

来年の1月に10万部を売りたいという。

大阪府下だけで10万部。

実現して欲しいと思う。

ひとつは、大阪の書店が活気づいていくために。

ひとつは、益々「いい本」が多くの人に読まれていくように。

そして、収益の一部で贈られる本が、より多くの子供たちに届くように。

ほんまに読んで欲しい本。

その心意気と情熱が、読書への興味を膨らませていく。

かつて、「書を捨てよ、町に出よう」という言葉が流行った。

もう40年以上も前のことだ。

今ならそれは、「携帯を捨てよ、書を読もう」だ。