もう一度、マウンドへ~炎のストッパー物語

津田恒実物語「バイバイ」が上演される。

10日(土)・11日(日)、大阪ABCホールで。

17日(土)と18日(日)は広島、

広島マツダスタジアムの近く、

東区民文化センターで行われる。

原作は津田投手夫人・晃代さんの「最後のストライク」、

脚本・演出・主演は、劇団よろずや主宰・寺田夢酔。

夢酔は、子供の頃から広島ファンだった。

そして癌との闘いも経験している。

みるからに誠実な男である。

静かに熱く燃えるタイプの男である。

そんな男だからこそ、晃代夫人が上演を許可し、

広島東洋カープ公認公演とできたのだ。

夢酔の思い入れは、練習の段階から、

まるで「その闘志」が乗り移っているかのようだと

共演者は語る。

夢酔は、津田投手を演じるために、

その投球フォームをコピー。

長い時間をかけて完璧なまでに仕上げた。

あの達川氏お墨付きのフォーム。

舞台で数十球の「ボール」を投げる。

実際にはボールを投げないので、肩が抜けそうになる。

「セーブして、肩を労わったら?」というと、

「いや、一球入魂です」と笑った。

舞台装置は、ステージ中央にあるマウンドのみ。

とても象徴的だ。

直球勝負に拘った津田投手のように。

津田投手は指先の血行障害を克服している。

1982年の新人王獲得後のことだ。

世界初という手術を決断、

1986年に抑え投手として復活し、

リーグ制覇に大きく貢献した。

この年に投げた球種の90%以上が直球だった。

当時絶頂期にあった阪神・バースとの対戦。

「ツダはクレイジーだ」とバースは言った。

シーズン終盤、巨人・原辰徳の手首を折った。

「あの勝負に悔いはない」と原は後年語った。

まさに伝説を残したピッチャーだった。

死を宣告されてからの2年半。

マウンドでの闘志とは違い、闘病では弱音を吐いた。

妻は愛と苦悩を共にした。

チームメートも懸命に彼を支えようとした。

「津田のために優勝しよう!津田を優勝旅行に連れていこう!」

そして見事逆転優勝を果たした。

炎のストッパー、津田恒実。

舞台「バイバイ」は、彼と家族、仲間との魂の交流を描く。

野球ファンに贈るドラマではない。

過去を振り返るドラマでもない。

今の時代に必要な男の物語である。