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千葉県富津市で断水。断水時に少量の給水で生活する方法

橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
(写真:Paylessimages/イメージマート)

地中深く埋設された送水管の補修は時間がかかる

 千葉県富津市で水道管が壊れ、約5000戸が断水している。40年以上前に設置された地下5メートルから7メートルの深い地点の送水管が破損したとみられている。富津市のHPによると「送水管漏水事故は復旧作業が大変難航」しているという(最終閲覧2020年12月29日17時8分)。

 送水管とは、浄水場から配水池へ水道水を送るための管路。浄水場で作られた水を貯めておく配水池まで水を送る管である。家庭に水道水を送るための大動脈といえる。口径は場所によってさまざまだが、太いと2メートル以上あり、管のなかに普通自動車が入るくらいだ。

 水道管の老朽化は全国で進んでおり、富津市以外でもこうした事故が起きる可能性は髙い。

断水期間を少ない水で過ごすために

 地中深く埋設された大きな管の場合、修繕には時間がかかり、断水期間が長くなる可能性がある。その間、汲み置いた水、給水車からの水で過ごさなくてはならない。同時に、新型コロナの感染拡大防止のために、せっけんを使った手洗いも重要だ。

 そこであらためて水の使い方を工夫する必要がある。いくつかのポイントをまとめた。

飲み水は定期的に補給する

 冬場で乾燥しているので、飲み水をきちんと確保し、定期的に飲む。もちろん飲料水などを購入してもよい。

なるべく水を使わずに衛生を保つ工夫

 私たちは1日1人250リットル程度の水を使うが、そのほとんどを衛生のために使っている。水を使わずに清潔な状態を保つために、ウェットタオル、お尻ふき、歯みがきシート、ドライシャンプーなどの製品を使用する。

バケツ1杯の湯で体を洗う

 バケツ1杯ほどお湯(約7リットル)で体は洗える。順番が大切。まず頭からスタート。バケツから小さな容器でお湯を汲み、頭を濡らす。このとき頭の下に洗面器をおき、流したお湯が洗面器に入るようにする。洗面器が流したお湯でいっぱいになったら、洗面器にたまったお湯をすくって頭を濡らす。そのお湯も洗面器に受ける。頭を洗うときは前洗いが大切で、これだけで汚れの7割は落ちる。

 次にシャンプーで頭を洗い、洗面器にたまったお湯を容器にくんで、すすぐ。ある程度すすげたら、仕上げにバケツのきれいなお湯ですすぐ。次にバケツから容器でお湯を汲み体を洗い、流す。そして最後に顔を少量のきれいなお湯で洗う。

食事の工夫

 食事の準備から片付けには多くの水を使用する。断水地域外に外食に行けば水の使用を少なくできるが、コロナ禍でそれもままならないだろう。レトルト食品であれば少量のお湯を繰り返し使用しながら温めて食べることができる。そのままで食べられる缶詰もよい。使った皿を洗う水を節約するために、食器にラップを巻いて使い、汚れたラップはそのまま捨てれば皿を洗う必要はない。

著者作成
著者作成

食事の工夫2

 もし食器を洗うときは、バケツを3つに分けて使う。1つ目のバケツで汚れた食器をすすぎ、2つ目できれいにし、3つ目で仕上げ。仕上げをしただけの水はまだきれいなので野菜を洗うこともできる。

トイレでの工夫

 トイレを流すと1回に5〜10リットルの水を使用する。そこで災害用簡易トイレを使用する。今回の場合、下水道は破損していないので、風呂にためていた水があれば水洗トイレを流すことができる。

風呂の残り湯を有効活用する

 NPO法人雨水市民の会(東京都墨田区)の「災害時の飲み水を考えるプロジェクトチーム」は、風呂の残り湯を緊急時の水にする「パーソナル浄水場」を開発した。Yahoo!ニュース「風呂の残り水を災害時の飲み水にする「パーソナル浄水場」の実力」を参照して欲しい。

掃除は最低限に

 年末の大掃除の時期だが水を使った掃除は控える。掃除をかけたり、乾拭きに止める。

 一刻も早い工事の完了を祈りたい。

水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表

水問題やその解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携し、水をテーマにした探究的な学びを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。現在、武蔵野大学客員教授、東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム研究主幹、NPO法人地域水道支援センター理事。著書に『水辺のワンダー〜世界を歩いて未来を考えた』(文研出版)、『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る〜水ジャーナリストの20年』(文研出版)などがある。

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