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九州で豪雨発生。雨がおさまっても水の流れ、土地の傾斜の確認を

橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
国土交通省「川の防災情報/基準値を超えた水位観測所」

線状降水帯の発生

 鹿児島県、熊本県から宮崎県にかけて、東西に連なる線状の活発な積乱雲の集団、線状降水帯が発生している。線状降水帯は、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞するので豪雨災害につながりやすい。

「大雨警報(土砂災害)の危険度分布」(気象庁WEBサイト https://www.jma.go.jp/jp/doshamesh/ より)
「大雨警報(土砂災害)の危険度分布」(気象庁WEBサイト https://www.jma.go.jp/jp/doshamesh/ より)

 

 国土交通省「川の防災情報」(4日午前9時30分現在)によれば、すでに基準値を超えた水位観測所は、球磨川の横石観測所、水俣川の深川観測所、新水俣橋観測所など多数ある。

 【要確認】国土交通省「川の防災情報」

市房ダムの緊急放流に引き続き注意

 熊本県は水上村にある市房ダム(球磨川流域)で水位が上昇したため、球磨川に緊急放流を行う可能性があるとしていた。放流時刻は9時30分と予定されたが、現在はいったん見合わせとなっている。

 今後の雨量によっては再度、緊急放流を行う可能性があるから、引き続き情報を入手する必要がある。

 緊急放流は「異常洪水時防災操作」と呼ばれる。ダムが満杯になり、これ以上ダムに水を貯められなくなった時に、ダムに流れこんでくる水をそのまま下流に流すことだ。そのためダムより下流域の河川水量は増加する。

 上記の流域の地図を見て、自分の住む場所と、上流からの水の流れをイメージして避難することが重要だ。

 熊本県は、球磨川のダムの下流にあたる、水上村、湯前町、多良木町、あさぎり町、錦町、人吉市、球磨村、芦北町、八代市の住民に対し、川の水位の急な上昇や氾濫に備えて、命を守る行動を取るよう呼びかけていた。引き続き警戒が必要だろう。

「命を守ること」をシンプルに考えるべき

 しばらく水のあるところ、低いところには近づくべきではないし、近くにいたらすぐに離れるべきだ。昨年の台風19号の際は、車で移動中に水のある場所にはまってしまうケースが多かった。

 離れ方は「遠くへ」ではなくても、地盤と建物が頑丈であれば「高くへ」でもよい。ただ、高い場所といっても、山や丘を切り開いてつくられた造成地、森林が過剰に伐採されたところなどは土砂災害の危険もある。そうした情報があれば避難すべきだ。

潮位表 八代(気象庁WEBサイト https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/tide/suisan/suisan.php)
潮位表 八代(気象庁WEBサイト https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/tide/suisan/suisan.php)

 球磨川が注ぐ八代海の7月4日の満潮は午前8時と午後9時、この時間帯を中心に川から海へ水が流れにくくなり、周辺では、洪水などの被害が大きくなる可能性が高い。

水害は地形によって起こる

 重要なのは、自分の住む場所を点でとらえるのではなく、流域と地形に目を向け、面でとらえること。

 雨がおさまっても油断は禁物だ。

 降った雨は、止まっているわけではない。地形の傾斜にしたがって、高いところから低いところへと流れる。上流域から次第に下流域に水が集まってくる。だから雨のピークが過ぎても、雨が止んでいても、川の水が増える。

 昨年の台風19号のとき、茨城県水戸市では雨が止んで1日経過した後に、洪水が発生した。上流に降った雨が下流に集まったためである。地元の天気予報を見るだけでなく、上流域の天気とそこからの水の流れに注意することだ。

昨年の台風19号の時の那珂川流域の雨量
昨年の台風19号の時の那珂川流域の雨量

 土地の高さ、雨量、川の水位とともに、水がどこからどこへ流れていくか、地形はどうなっているかも確認し、避難してほしい。

水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表

水問題やその解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携し、水をテーマにした探究的な学びを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。現在、武蔵野大学客員教授、東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム研究主幹、NPO法人地域水道支援センター理事。著書に『水辺のワンダー〜世界を歩いて未来を考えた』(文研出版)、『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る〜水ジャーナリストの20年』(文研出版)などがある。

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