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受け身は嫌い!住谷杏奈、年商30億円の“成功の秘訣”

長谷川まさ子フリーアナウンサー/芸能リポーター
成功の秘訣を語る住谷杏奈さん(撮影:長谷川まさ子)

 夫であるレイザーラモンHGさんのケガをきっかけに、実業家としての頭角を現し、今や年商30億円を稼ぎ出すまでになったタレントの住谷杏奈さん。思い立ったら即行動の彼女にプロデュース成功の秘訣を直撃しました。

モデルから実業家まで様々なお仕事をされていますが、肩書きは?

 プロデューサーとタレントでしょうか。でも割合でいったら、タレントはほぼしていません。お仕事としては好きなのですが、自分でやりたいと言ってできることではないので。お声を掛けていただいた時には一生懸命やらせていただきますが、オファーを待つみたいな受け身が苦手で。それがもどかしくて、自分でビジネスをするようになったのかもしれないですね。

 自分の考えをちゃんと届けたいと思っているのでコメンテーターのお仕事は好きなのですが、私が世間とズレているのか…。出演していらっしゃる方たちのコメントも、本心なのかなと疑ってしまうことがあって。言いたいことを言えないというか、「これ言っちゃいけないんだ」とか考えて話すのは嫌だし、気を遣って発言するのも嫌なので…どうでしょうか(苦笑)。

そもそも、プロデュースを始めたきっかけは?

 10年ほど前に、主人がプロレスで大ケガをした時、収入が途絶えて困っていることを知った友人が、セレクトショップでのパートを紹介してくれたのですが、子供がまだ1歳で。預けることを考えたら、時間を有効に使って何かできないかなと思った時に、石鹸の販売を思いつきました。自分も小さい子供も安心して使えて、香りのいい物があったらいいなと研究しているうちにアイディアが湧いてきました。

 そこからは“当たって砕けろ”で、石鹸工場に電話をかけて交渉し、商品化にこぎ着けました。当時、タレントはやめて専業主婦だったんですけど、ブログは続けていて。1日に70万ほどのアクセスがあったので、そこで売り出してみたら、本当にいい時代で、1日で6000個が即完売。その時はそれがすごいことだとは思わず、冷静に70万アクセスの中で買ってくれるのは、これぐらいの割合なんだなと思いました。そしてそのバブルはすぐに終わりましたね。

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プロデューサーとしての10年で大きな失敗はありましたか?

 最初は「自分が使いたい商品が世の中にないなら作りたい」という気持ちが先行していたのですが、今は、本当に売れるものだけしか作らなくなりました。いろいろやっていくうちに、購入層に刺さるものがだんだん分かってきて。

 ありがたいことに、私が作る商品が全てヒットしていると思っている方も多いのですが、実は「度が入っていないカラコン」や「フルーツ味の粉末タイプの青汁」などは失敗しています。「フルーツ味の粉末タイプの青汁」は今でこそ主流の通販商品になっていますが、私はそのブームが来る5年ほど前に商品化しました。でも、早すぎたのか全く浸透せず…。同じ商品でも、タイミングが合わなければ売れなかったりするので、時代にうまく乗るのも大切だなと勉強になりました。だから勝率で言ったら3割ぐらいじゃないでしょうか。

ズバリ、一番損した時と儲かった時の収入は?

 商品プロデュースは組む会社次第で原価を払わないパターンの取引もあるので、なんとも言えない部分もあるのですが、自分で経営していたピザ店は、失敗しましたね。損失1億円で学んだことは、もう飲食店はやらないということです(苦笑)。

 なぜ失敗したのかというと、他の会社と組む時は「予算はここまで」「こういうのは作っちゃダメ」「印刷したいけどシールで対応」とか制限がいっぱいあるんですね。そういうことにストレスを感じている時期だったので、自分のお金で全てをプロデュースできるピザ店では、やりたいことを全部やりました。

 お店で使うグラスは1つに5000円くらいかけて金粉をプリントしたり。作り上げるまでがすごく楽しくて、「これで満足!」と思ったんですけど、ぜんぜん元が取れないという…。いつも満席だったんですが、ピザにトリュフとかかけて1杯500円のアイスティーでは、お客さんが来れば来るほど赤字になる(苦笑)。飲食のノウハウを分からず、好き勝手やったらそうなっただけで、本当にしょうがないんですけど、首が回らなくなって。

 今までネットでビジネスをしてきたので、やっと作れた初めてのリアルな店舗に思い入れがあり、意地になっていた部分もありました。ポケットマネーで補てんしたりしていたのですが、3年でつぶしました。

最も好調だった商品は?

 補正下着とかコスメ、ヘアケア商品です。シャンプーは現在進行形でプロデュースしているブランドなのですが、月に6万個ほど売れているので、1商品だけでも月商は2億円を超えています。商品だけで見ると売れていますが、私はプロデューサーという立場なので、組ませていただいている会社との契約内容によってギャランティの支払われ方は様々で、全てが私の収入になるわけではありません。

「全部自分でやったほうが儲かる!」みたいな気持ちにはなりませんか?

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 それがやっぱり違うんですよね。リスク配分などを換算すると、プロデュースの数をこなした方が自由にストレスなくできることが分かりました。悩んでストレスを感じている時間をお金に換算したら、その分もっと他にできることがあるんじゃないかってことに気がついて。取り分が少なくてもノーストレスでやっていく方が効率がいいなと、10年間続けてやっと分かってきました。ちょっとした欲を取ると、絶対に負けると思っているので。これ、成功の秘訣ですよね。

成功の秘訣、他にもありますか?

 同じ商品の販売は1年と決めています。売れ行きがいいとそのまま続けたくなるのですが、私は時代にズバッと合ったもの、また違うものを作りたくなるんですよね。

 あとは、新しく取引をする会社とは、まずその会社の社長と2人で会って話をします。お断りすることもありますが、直接話をして私の考えをより理解していただいたうえで判断した方が、結果、もっといい仕事が入ってくることになるし、あとでストレスもないので。

 始めた当初は、やはり発言力がないんですね、実績がないので。でも1つずつ実績を残していくと、話を聞いてくれる人の数が増えるというか。そういうことをコツコツやっていって、自分の発言力も自分で作らなきゃいけないなと。今は対等にお話しできるようになってきたので、実績は財産だと思っています。

では、成功の秘訣を3つ挙げるとすれば?

 「自責の念を持ち、人のせいにしない」「自分を客観視する」「憧れの人を作らない」です。うぬぼれは本当に失敗につながる。成功していても、絶対に毎年アップデートして、自分を見つめ直さなきゃいけないと思っています。落ちたら落ちた時の自分も理解しないとダメ。憧れの人とか尊敬する人を作ってしまうと、その人を超えることってできないじゃないですか。だから私、憧れの人は本当にいないんです。

妻として心がけていることはありますか?

 ぜんぜんいい妻じゃないんですけど、夫とは本当に仲良く親友のような感じで何でも話します。年が8つ離れているので、私が変なこととか言っても「またまた杏ちゃん」みたいな感じで。主人が私の“取扱説明書”を持っているんですよ。私、熱しやすく冷めやすいので、怒っていても寝たら忘れるんです。それを彼はちゃんと分かっていて、コントロールしてくれています。ストレスが溜まっているなと思った時には、「発散してきて」と言ってくれるので、子供を任せて夜に出掛けたりもします。

 以前、私が稼ぎ出した時に、主人が沖縄の劇場に片道3時間かけて行っていたので、「もっと効率のいいやり方があるのに」「それだったら家のことをやってほしい」とか言っちゃった時期もあったのですが、そういうのも経て、今はその“コツコツ”があるから成功するんだなと反省しました。

母としてはどうでしょう?

 子供に対してはとても厳しく育てているつもりです。「怒らない育児」というのは理解できません。ある種、大人として接しています。あいさつや食事中のマナー、お友達には思いやりをもって親切にするなどはもちろん、兄妹での責任のなすりつけあいなども絶対に見逃しません。人のせいにしたり、物事から逃げ出したりすることはとても醜いこと。1回でも見逃してしまうと、子供って「いいんだ」と思ってしまいがちなので、とにかくしつこく注意するようにしています。

 お友達に「どうやったらこんなにいい子に育つの?」と言われた時には、少しだけ今までの苦労が報われた気がしてちょっとうれしく思います。

今、力を入れていることは?

 実は去年11月から「東京美髪研究所」というトリートメント専門サロンの経営を始めました。やっぱりまたリアルな店舗も欲しくなるんですよ(笑)。やったらやったで後悔するんですけどね。で、何をしようかと思っていた時に、トリートメントだけのお店ってないからおもしろいかなと。思いついたその足で不動産屋さんに行ったら、ちょうどいい物件があったので、もうそのまま契約して。私、スピード勝負なんです。もし不動産屋さんにいい物件がなかったら、多分このタイミングじゃないんだなと思って一回落ち着くんですけど、これもご縁だと思って始めました。思い立ってから2ヵ月くらいでできました。

 失敗することも多々ありますが、悩んでいる時間って結構、ムダというか、いずれやるんだったら早いうちにやったほうがいいかなと。オープンして5ヵ月ほどですが、このサロンのために開発した「ヒト毛根細胞」という特許成分を使ったシャンプーとトリートメントのよさが口コミで伝わって、お客様もコンスタントに足を運んでくださっているので、作ってよかったなと実感しています。

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“思い立ったら行動”の杏奈さん。モットーは?

 「何事も思い立ったらすぐ行動!スピード重視!引き際もスピード重視!」ですね。そういえば去年の夏ごろ、私が経営とプロデュースをして、主人にハワイでフォー専門店を任せようと思っていたんです。ベトナム麺のフォーです。店員さんにはHGのエナメルの衣装を身にまとってもらって(笑)。でも海外でのビジネス展開が今の私にはまだ少し難しく、夢で終わりましたけど…。いずれタイミングが来たら、レイザーラモンHGのフォー専門店をオープンさせたいなと思っています(笑)

■インタビュー後記

インタビューをお願いしたところ、すぐにOKの返事をいただけましたが、時間は11時から17時の間でとのこと。タレント、モデル、商品プロデューサーと多方面で活躍しながら、子育てもきちんとされていることを改めて実感しました。また、20歳以上年上の私ですが、インタビュー中は彼女の話に「なるほど!」「さすが!」とうなずいてばかり。年商30億円は、やはり“棚ぼた”でできるようなことではなく、並外れた発想力と行動力など、才能が必要でした。当たり前か(笑)。

■住谷杏奈

2006年にお笑いタレント・レイザーラモンHGさんと結婚し、2008年に男児、2011年に女児を出産。夫のケガをきっかけに商品開発を始め、事業家としての才能を開花。数々のプロデュース商品でヒットを生み出す。中でも、ヘアケアブランド「クレムドアン」はシリーズ累計100万個を突破。昨年11月には東京美髪研究所をオープンした。

フリーアナウンサー/芸能リポーター

群馬県生まれ。大学在学中にTBS緑山塾で学び、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」で7年間アシスタントを務める。ワイドショーリポーター歴はTBS「3時にあいましょう」から30年以上、皇室から事件、芸能まで全てのジャンルをリポートしてきた。現在は芸能を専門とし、フジテレビ「ワイドナショー」、日本テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」ほか、静岡・名古屋・大阪・福岡の番組で芸能情報を伝える。趣味は舞台鑑賞。

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