大下容子アナ、司会者としての心得、「SmaSTATION!!」への思いを初告白

いつもにこやかな大下容子アナウンサー

 アナウンサー生活25年を迎えた、テレビ朝日の大下容子アナウンサー。昨年12月発表のORICON NEWS「第14回好きな女性アナウンサーランキング」で3位(前回9位)にランクインするなど、広く愛されるアナウンサーとして活躍中です。今回は、20年間、番組でご一緒しているご縁から、「ワイド!スクランブル」という長寿番組を担当し続けるうえでの心がけ、終了してしまった「SmaSTATION!!」や共演していた香取慎吾さんへの思い、そして“女性としての幸せ”など、私生活についても聞いてみました。

――93年4月入社の大下さん、アナウンサー生活も25年ですね。

 四半世紀…どうしましょう!?(笑)。私、テレビ朝日以外の採用試験は一次で落ちて、それどころか(書類選考の)写真で落とされて、一次面接にすら進めないところもあったんです。本当にテレビ朝日だけ、なぜか最後まで進んで受かって。母も「よくあなたみたいなのが、採ってもらえたわねぇ」って言うくらい。確かにこんな自分を採用してもらって感謝ですし、迷惑をかけちゃいけないなっていうのがあります。だから、自分に与えられた役割には最善を尽くさなくちゃいけないなと思っています。

――アナウンス部では、女性年長者とか?

 そうなんです、女性で最年長です。テレビ朝日のアナウンス部は役職は特になくて、今は課長待遇というか。

 後輩たちにとっては、年が離れていて怖いだろうなと…。実際は怖くないと思うんですけど(笑)、年齢からくる変な重さがあるだろうと戒(いまし)めて、なるべく軽やかにはしていたいです。

画像

――私もご一緒させていただいている「ワイド!スクランブル」のMCは、20年になりましたね。

 「ワイド!スクランブル」の誕生は1996年4月で、私は俳優の大和田獏さんとご一緒に1998年10月から司会を担当しました。それから20年、赤ちゃんが成人する年月ですよね。会社が“番組を続けよう”という判断をし続けてくれなければ、ここまではこなかったし、社内でいろんな方が尽力くださった賜物(たまもの)なので、皆々様に感謝です。運がよかったんだと思います。

 長く担当している番組だけに、私は“アウェイ”な感じでいたいと心がけています。スタッフルームの“主(ぬし)”にならないように。もちろん、スタッフや共演者と協力して番組作りに邁進(まいしん)するのだけれども、慣れてしまわないように毎日新鮮な気持ちでオンエアに臨めたらなって思っています。

――MCのパートナーは変わりつつ、大下さんはずっと続いています。ご自身ではどう受け止めていますか?

 とてもありがたいと同時に、なぜかしらと…(笑)。いくらでも、若くて優秀な後輩たちもたくさんいますし、“こんなおばちゃんがずっといて”って思っている方もたくさんいらっしゃるだろうに(苦笑)、申し訳ないなという思いもあります。

 

 ただ、ここまで続けてこられたのは、「パートナーに恵まれた」ということが一番だと思います。

 獏さんとは11年間ご一緒し、とても大きな影響を受けました。芸能ニュースの対象になる方と本格的に仕事をしたのは初めてで、報道される側の気持ち、その方が芸能ニュースを扱う時の心情を学びました。あと、「映画や舞台をいっぱい観たほうがいい」って連れて行ってくださったり。私の狭い世界を、獏さんがいろいろ広げてくださったっていう点でも感謝しています。

 次にタッグを組んだ寺崎さん(同局の先輩、寺崎貴司アナウンサー)もチームを大切にする方なので、スタッフとの向き合い方をはじめニュースの仕切り方など、隣で見ていて勉強になりました。

 現在ご一緒している橋本大二郎さんは、政治家としての経験がおありで、キャスターでありながらコメンテーターもできる方。準備の仕方、議論の深め方など教わることが多いです。

 

 そんな三者三様のキャスターとご一緒しながらでしたので、まったくマンネリがなく、あっという間に過ぎて、必死に働いていたらこの年齢になっていた…というのが正直なところです。まぁ言い訳も半分ですね(笑)。

 ただ、水のような人に少しでもなれたら…と思っています。水はどんな器にもピタッと入りますよね。不平不満で自分が硬直化してきたら、器にはまらない。とても難しいことですが、いつも心の中に持っておきたい目標です。

画像

――長寿の帯番組を担当していると、1日のタイムスケジュールは長年同じ感じになってきますか?

 実は微妙な変遷があって。「ワイド!スクランブル」のキャスターが(2014年4月から)大二郎さんになった時、放送時間が1時間早くなったんです。朝の1時間って大きくて、それまでの11時25分スタートの時は、朝40~50分スポーツクラブに行って、ガンガン走ってシャワーを浴びて「よしっ!」みたいな感じで気合を入れて、それからオンエアに臨んでいたんです。

 今も朝はスポーツクラブに行っていますが、打ち合わせ開始が早くなったので以前のようには時間が取れないのと、体力が落ちてきているので、体幹トレーニングやストレッチなどゆっくりしたエクサイズを15分くらい、やや汗ばむくらいやって、深呼吸したら終わり(笑)。それでも私にとっては大事なルーティンで、心身を整えて仕事に入りたいなと思っています。

 

 起床は4時半くらいです。だんだん年とともに早寝早起きになりました(笑)。冬なんて真っ暗で、それはそれは寒いんですけど、早朝に歩いたりしています。朝に時間を取らないと、午後っていろいろ予定が入ったりするじゃないですか。朝だと確実に自分の時間が取れるので。

 で、早めに出社したら、一般紙やスポーツ紙など10紙くらいをチェックして、アナウンス部のテレビを全部つけて“きょうはこれがニュースだな”っていうラインナップを、だいたい自分なりに把握して。その後、メイクをして、打ち合わせをして…という感じですね。

画像

――朝から超活動的ですよね!?

 この“朝活”っていうんでしょうか、朝の過ごし方が今の自分にすごく合っているみたいで。アナウンス部で準備する1時間~1時間半が、これがなかなか集中できるんです。深夜に出社している早朝担当のアナウンサーたちはもうオンエアに出ているので、みんなの頑張りに励まされつつ、アナウンス部には私1人のことが多くて。まっさらな新聞をしっかり読めるのも得した気分ですし、同じニュースでも新聞によって論調が違うので読み比べるのも楽しくて。

 最初は20分くらい早めに出社していたのが、もうちょっと時間がほしいな、もうちょっと早く出社しよう、もうちょっと準備したいな…で、“朝活”の時間が伸びてきました。

 準備をすることによって、緊張もほんの少し和らぐ気がします。これだけ準備をやっても分からないことは、「分からない」って言おうっていう覚悟ができるというか。ある意味、オンエアで「分からない」って言うために準備しているところもありますね。スタジオでちょっと時間が余ったらこれを聞いてみたいなっていうのを、常に自分の中に持っておくと仕事に能動的に取り組めるような気がします。

――それだけ準備をしているのに、出すぎないところが“まさに大下さん”ですよね。

 そんなことないです。きょうも残り時間がすこ~ししかないのに、ゲストの方にどうしても聞きたくて質問してしまって、確定時間で(オンエアが)切れてしまって、視聴者にもゲストの方にも申し訳なかったです。オンエアが終了してからも、次に活かせればと、いろいろお話はうかがいました。機会があればご紹介したいです。

 そんなこともありますが、何より、ゲストやコメンテーターの皆さんにお話ししていただくのが自分の役割です。皆さん、そのために準備をしてきてくださっていますから。

 誰のために放送しているのかといえば、視聴者のためです。いろんな大人の事情が絡む場合があるかもしれませんが、我々スタッフはみんなそうあるべきだと。私は、生放送中も視聴者の1人として見ている部分があります。スタッフは、取材していくうちにどんどんその情報に詳しくなっていくので、それは尊重しつつも、そもそもの説明が抜け落ちてしまったりすることがあるので、「これは見ている方は分かりにくいだろうな」と思えばフォローできればと。自分自身、家でテレビを見ている時もそういう番組が好きだし、そういう視点を忘れていない番組が、見ていていいなって。

――毎日、生放送で緊張の連続だと思いますが、癒やしは何ですか?

 旅行が好きです。サッカー観戦でヨーロッパを回ったり、アジアもいろんな国に行きましたが、なんといってもハワイが好きですね。海はボーッと何時間でも見ていられます。風に吹かれてハワイアンなんか聞いていると、それだけで幸せ。あまりアクティブではないですが、たまにサーフィンもしますよ。

 

 普段の私ですか? 家族にあきれられるくらい“THE ナマケモノ”です。「寝てていい」と言われればいつまででも寝ていられます。仕事で「あと5秒、確定で次に振ってください」「ここはスタジオ1分半で」など秒数に追われている反動なのかもしれないと、今、気がつきました(笑)。とにかくゴロゴロ、ダラダラしてる…まぁお恥ずかしい限りです(笑)。

画像

――家ではナマケモノでも、「第14回好きな女性アナウンサーランキング」では、前回9位から3位にジャンプアップですよ。

 それはもう、「SMAP」の力であり、香取(慎吾)さんの力で(注※同ランキングに寄せられた声では、「SMAP」解散や「SmaSTATION!!」最終回などで見せた、大下アナの姿勢を支持する声が目立った)。

 私がやっていることは変わらないので、これは番組の力やスタッフや共演の皆さんの力に他なりません。

 でも、ありがたいことですし、後輩たちに「年齢を重ねても働く場があるんだ」って思ってもらえたらうれしいですね。

――「SMAP」解散発表の時には、めったに“私”を出さない大下さんが、番組で香取さんについて少し涙声になりながら思いを語りましたね。

 (注※2016年8月に「SMAP」解散が発表された際、大下アナは「ワイド!スクランブル」で思いを語った)

 私は16年間、香取さんと(「SmaSTATION!!」で)ご一緒してきたから、直接見て感じたことをお話したい、と考えました。「SMAP」の解散をめぐってはいろんな報道がありましたが、「私は香取さんのこういう面を見てきました」と…。なんかちょっと泣けてきちゃう。自分が見たことは自信を持って言えるから言いたい、伝えたいなって思いました。それ以上でも以下でもありません。

 

 それに、あの時は「ワイド!スクランブル」のチーフプロデューサーが、「秒数は気にしなくていいから、あなたはずっと香取さんと仕事をしてきたんだから、思うところは言いなさい」と言ってくれて、それも後押しとなりました。

 香取さんとの「SmaSTATION!!」は、仕事なんですけど仕事じゃないみたいに感じるほど、すごく楽しかったんです。月曜から金曜までの「ワイド!スクランブル」は番組の性格上、明るいニュースよりも、つらかったり怒ったり悲しんだりというニュースが多く、1回も笑顔になれないオンエアもいっぱいあって。

 だから週の最後、土曜日に楽しい気持ちになって、香取さんやゲストの方と一緒にワクワクする情報を見て、にぎやかに華やいで終わりたい…っていう願いが心のどこかにあったんでしょうね。香取さんやスタッフ、本当に素晴らしい方々に恵まれて、そんな週末をずっと続けたかったなって。

 番組は残念ながら終わってしまいましたが、世界はすごいスピードで動いていますし、メディアも激動の時代ですし、先のことは全然分からないので、きっといつかまた、ご一緒できると思っています。

――ところで、長くご一緒しているんですが、恋愛の噂を一度も聞いたことがない気が…(笑)。

 そうでしたっけ(笑)。まさ子さんと私、仲間と女子会をしても、結局は仕事の話になっていますよね!?まさ子さんの現場取材のお話は知らないことばかりで勉強になるし、どうすればよりよい番組になるか真剣に話して。よく言えばマジメだし、悪く言えば色気がなさすぎる(笑)。

画像

――“女性としての幸せ”は、どう考えていますか?

 私、生放送を長くやっているわりには、オンエア上はそんなに大失敗というのはないのですが、人生は失敗ばっかりっていうか(笑)。なんだか必死で働いていて、気がついたらこうなっていたっていう感じなんです。

 そこまで結婚願望が強くなかったのかもしれませんね。本当にそう(結婚したいと)思ったらそこに向かって行動したと思います。

 これまでに“いいな”って思う方はもちろんいたし、今となれば“あの時にあの一言が言えていればその後、違っていたかもしれない”ということもありました。

 でも今も、決してあきらめたわけではないのですよ(笑)。人生どんな出会いがあるか分からないし、明るく生きていかねば(笑)。

 年上の先輩に「今は元気だからいいけれども、病気になった時は、本当に1人だと寂しいしつらいよ」って言われるんです。私も心からそう思うし、老いを感じる年齢になってきたので、そういう助言は真剣に受け止めていかなきゃいけないなと思うけど、こればっかりはご縁なので(笑)。

 一方で、ある女性には「結婚している人は、していない人の自由さは経験できない。結婚していない人は、している人の喜びを経験していない。経験値は同じ。比べられないのよ」と言われて。そうか、そうだなって思っています。

――それでは最後に、“大下容子”個人として人生で大切にしている言葉を教えてください。

 インタビューの最初に言った「最善を尽くす」という言葉です。小学6年生の時に、習ったことがないのですがすごく好きな先生がいて。廊下で話しかけてくださったり、すごく温かい先生で。

 卒業する時に、その先生にサイン帳を渡して「何か書いてください」ってお願いしたら、【最善を尽くす】【いつも笑顔でね】と書いてくださったんです。その時は、「あぁ、うれしいな、ありがとうございます」というだけだったんですが、仕事を始めてからじわじわその言葉が効いてきたんです。柔らかい心の時の、人との出会いによる影響って大きいですね。

 

 これからも人との出会いを大切に、そして、水のようにさらさらとした人になることが人生の目標です。

 (撮影:KOZOクリエイターズ)

【インタビュー後記】

 大下さんと知り合って20年。いつも現場のグチを聞いてもらってばかりなので、たまには大下さんにグチってもらって楽になってもらおうと開く女子会でも、結果は、また自分たちのグチを聞いてもらってお開きに…。そんな大下さんと、忖度(そんたく)社会の昨今について話していた時、大下さんが放った一言は、「誰のためのOAなのか、私は視聴者の方に向けて放送しています」。この人について行こうと思った瞬間でした。

■大下容子(おおした・ようこ)

広島市出身。慶應義塾大学卒業後、1993年4月にテレビ朝日入社。98年から、「ワイド!スクランブル」(月~金曜、1部:午前10時25分、2部:12時30分)の司会を務める。