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カメラが進化すると写真は楽しくなるのか?

塙真一フリーフォトグラファー

次々と発売されるデジタルカメラの新型モデル。

モデルチェンジをするたびに、カメラ専門誌などには、こことここが進化したと書かれます。

では、カメラが進化するというのは一体どんなことなのでしょうか。

カメラが進化して高性能化、多機能化すれば写真はもっと楽しくなるのでしょうか。

●画素数が増えれば写真はよくなるのか

モデルチェンジで一番多く見受けられるのがセンサーの画素数アップです。

画素数が増えれば、写真の解像度が上がりより緻密な描写が得られると言われています。

つまり、細かな部分までがキッチリと写真に写ることになります。

そのため、画素数が多いほど、画質がよくなり、結果的によい写真が撮れると思っている人も多いようです。

ですが、単純に画素数が増えれば画質が向上するというものではありません。

センサーや画像処理エンジンの性能、そしてセンサーに光を導く、レンズの性能が伴わなければ画質は良くならないのです。

つまり、画素数が増えるほど、より高性能なレンズを使うことが必要になります。

ブレやボケにもシビアになります。

そのため、新型のカメラに買い換えたことで、今まで使っていたレンズの性能に物足りなさを感じてしまうこともあるのです。

今までは満足できていたものに満足できなくなり、出費がかさむというのは頭の痛い話ですね。

●アート風写真が一番なのか

また、最近のデジタルカメラではアートフィルターなどといった写真をエフェクトしてアート風に仕上げるモードを搭載しているカメラも増えてきました。

スマートフォンで撮った写真を簡単にレタッチしてアート風写真に見せることが当たり前になり、デジタルカメラでもこういったモードが人気のようです。

確かに、ちょっとしたスナップ写真でもアートっぽく見えるのは楽しいことです。

誰でもアーティスト気分を味わえるようになったという意味では、これもカメラの進化といってもよいでしょう。

ですが、自分が本当に撮りたいと思う被写体を探して、背景や光と影、構図などを考えながら会心の一枚を撮るという楽しさを忘れてしまうのはちょっと寂しい気がします。何でもかんでも闇雲にアート風写真にしてしまうのはかえって面白みがないようにも思えます。

カメラが自動的にアート風の写真を作り出してくれるのではなく、自分だけオリジナルのアートを探してみるのもいいかもしれません。

日常のスナップはフィルターによるエフェクトを楽しみながらも、やっぱり素の写真で自分が納得できる写真を撮ることも大切なのではないでしょうか。

●見たままに撮れることがいいのか

HDR(ハイダイナミックレンジ)機能というのも多くのカメラの搭載され始めました。

もともと写真は、肉眼で見るのとは違い、明るいところは白く飛んでしまい、暗いところは黒くつぶれてしまうというものでした。

ただ、自分が見ているのと同じように撮れないのはイヤだという声に応えるために、HDR機能というものも登場したのです。

見たままに撮れなかったものが、見たままに撮れるようになる。確かに進化です。

見たままに撮れることがメリットになるシーンもあるでしょう。

その一方で、見たままとは違うからこそ印象的になる風景や被写体があることも事実です。

やはりこれも使い分けが一番ではないでしょうか。

連写機能もまた同じで、いかに連写性能に優れようと、本当に撮りたい場面はほんの一瞬だったりします。

その一瞬を狙いすまして撮るのも楽しいですし、カメラと運に任せて連写するのもいいでしょう。

どちらが良いか悪いかではないと思うのです。

●どんな機能も結局は使う人次第

結局、カメラがどこまで進化しても、それを使うのは人間です。

新しいカメラの機能を活かして撮れれば写真は楽しくなるでしょうし、機能に振り回されてしまえば、どこまで行っても満足のいく写真は撮れないでしょう。

日々進化を続けるデジタルカメラですが、よくその内容を見極めて、自分に合ったカメラを見つけたいものです。

自分に合ったカメラを探す旅を楽しみましょう。

画像

夕暮れ時の光と影が美しい季節になってきました。

肉眼で見るともっと暗い部分も見えていますが、あえてシャドーがグッと落ちている方がより印象的になるように思えます。

見たままとは違う仕上がりになることもまた写真の良さ、楽しさだと思うのです。

フリーフォトグラファー

東京都出身。人物をメインの被写体とするフリーランスのフォトグラファー。カメラ誌に写真や記事を寄稿するほか、役者、タレント、政治家などの撮影も行う。また、海外での肖像写真撮影、街風景のスナップ、夜の街を撮る「夜スナ!」をライフワークとする。写真展の開催も多数。

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