釈然としない。

 どう考えても抗議の相手、批判のホコ先を向ける相手が違っているのではないか。

 2月29日、記者会見を開き「私たちは怒っている」と題する声明を発表した6人。

 田原総一朗御大を初めとするフリージャーナリストの青木理、大谷昭宏、鳥越俊太郎、「報道特集」キャスターの金平茂紀、「NEWS23」アンカーの岸井成格氏らの「声明」のことだ。

 要約するとこうなる。

〈高市総務相の「電波停止」発言は憲法及び放送法の精神に反している。私たちは一連の発言に驚き、そして怒っている。そもそも公共放送にあずかる放送局の電波は、国民のものであって、所管する省庁のものではない。所管大臣の「判断」で電波停止などという行政処分が可能であるなどという認識は放送法の精神に著しく反する――〉

 そもそも高市早苗総務大臣の答弁は放送法を虚心坦懐に読めば、そうなりますよと、法律の解釈を述べたもので、何も間違ってはいない。

 それが証拠に民主党政権時代の平成22年に時の平岡秀夫総務副大臣もほとんど同じ答弁をしているではないか。

 平岡副大臣がそう答弁した時に6人のうち誰かひとりでも抗議の声明を出したのか。あるいは批判の文章を書いたのか。

 寡聞にして知らないが、もしその時に何の発信もしていないとしたら、御都合主義と言わざるを得ない。

 自分たちの支持する民主政権なら許されるが、気に入らない安倍政権のやることには「怒っている」。

 釈然としないのはここだ。

 岸井成格氏は会見でこう言っていた。

「高市発言にはあきれ果てた。憲法、放送法を知らないでの発言であれば大臣失格」。

 昨年11月、すぎやまこういち氏ら「放送法遵守を求める会」が岸井氏らに送った公開質問状に自らは回答しなかった。それについて聞かれると、

「低俗なあれにコメントするのは時間のムダ。品性どころか知性のかけらもない。恥ずかしくないのか」

 まさに岸井氏が「NEWS23」で繰り返してきた「レッテル貼り」で、「品性どころか知性のかけらもない」のは夫子自身ではないか。

 関連の記事を読んでいて、もっと「釈然としない」のはテレビ関係者のコメントだ。

「今までどおり、自由に企画を提案しても通らないことが多くなったり、作ったものに対しても直しを求められることが多くなり、気づけば自由な発想がなくなっている」

「国民に対して必要な情報を届けられない。このままではテレビジャーナリズムは死んでいたとなりかねない」

「問題なのは、それらの圧力が番組の企画、取材、編集の場に立ち会ったこともない部署や人物から突然、降りてくることがある」

 これ、すべて、局内の問題。局内で解決すべき問題ではないか。

 圧力なるものがもしあったとして、それに易々と組み敷かれるテレビ局幹部たちの問題ではないか。

 6人のジャーナリストやテレビマンが「怒る」べきはそういうテレビ局の幹部たちだろう。

 文句があるなら局幹部に言え。