朝日新聞第三者委員会で特にひどいのが林香里東京大学大学院情報学環教授だ。

朝日新聞「慰安婦問題」に対する独立検証委員会(中西輝政委員長、西岡力副委員長以下4人)の報告書が発表された。

昨年12月22日に発表された朝日新聞社第三者委員会(中込秀樹委員長以下岡本行夫、田原総一朗、北岡伸一氏ら6人)の報告書があまりに杜撰、おざなりだったから、急遽、独立委員会を立ち上げて検証したものだが、それにしても短期間でよくこれだけの報告書が作成できたものだ。独立委各委員の努力を多としたい。

A4で122ページという大部なものだが、じっくり読めばまるでミステリーを読むようなおもしろさだ。

第三者委でとくにいい加減だったのは海外への影響を検証した部分で、担当したのは東京大学大学院情報学環の林香里教授。

林氏はまず定量分析。

〈調査した欧米の新聞記事のうち、吉田清治氏が言及されていた記事は全期間にわたって5本、そのうち朝日新聞が本年8月5日に取消しを発表する以前のものは3本であった〉

そしてこう書いている。

〈吉田証言は、日本のイメージに悪影響を与えていない、という意見がほとんどであった。他方で、慰安婦問題は、日本のイメージに一定の悪影響を及ぼしているとする意見もほとんどの識者が述べるところであった〉

「吉田証言が悪影響を与えていない」というのも問題だが、もっとひどいのは次の部分。

〈日本の保守政治家や右翼活動家たちがこの「強制性」の中身にこだわり続け、河野談話に疑義を呈したり、形骸化しようとしたりする行動をとることの方が、日本のイメージ低下につながっているという認識ではほぼ一致していた〉

要するに産経新聞や『正論』『WiLL』が「強制性はない」と書いているのが悪いと言っているのだ。

とんでもない暴論ではないか。

これについて独立検証委は島田洋一福井大学教授が、ニューヨークタイムズなどアメリカの新聞記事を1500枚もチェックした上で、反論。

〈しかし、容易に想像できる通り、「吉田清治」という名前に言及しなくても、明らかにその証言に依拠ないし参照したと思われる記事は数多く存在する〉

例えば、加藤紘一官房長官談話直後の1992年7月10日付ワシントン・ポストの記事。

〈歴史家たちは20万人に及ぶ慰安婦が動員され、その多くが病死するか殺害されたと信じている〉

〈ある元日本帝国陸軍の兵士は、朝鮮の村々での夜明けの襲撃に参加し、泣き叫ぶ子どもたちから若い女性をひきはがしてトラックに積み込んだと述べている〉

明らかに吉田証言に依ったものだろう。

92年1月27日付ニューヨークタイムズも。

〈10万から20万人の女性が結局、誘引されるか連行された。ほとんどが朝鮮からの子供かティーンエイジャーだった〉

林氏、もちろんこんな記事はお読みになっていないのだろう。

ちなみに林氏はあの吉見義明中央大学教授の裁判闘争を支援する会のメンバーだというからお里が知れる。

秦郁彦氏や西岡力氏など、この問題の専門家をメンバーに入れなかった時点で、朝日第三者委員会の結論は見えていた。要は「御用委員会」だったのだ。