林真理子さんには『週刊文春』編集長時代からお世話になってきたから、こんなことは書きたくないのだが、今回ばかりは書かずにはいられない。

『週刊文春』12月11日号の連載コラム「夜ふけのなわとび」についてだ。

余談だが、この連載1389回、もう30年も続いている。週刊誌でコラムを毎週書き続けるのは大変で、それを30年も続け、しかも、こう言っては何だが、一定のレベルを保って書き続けるのは大変なことだ。

で、今週号。

林さんは、百田尚樹さんのベストセラー『殉愛』(幻冬舎)について書いている。

やしきたかじんさんを献身的に看病した夫人と二人三脚の闘病2年間を描いたノンフィクションで、林さんも感動し、途中でやめられなくなって半徹夜したという。

そこまではいい。

ところが、発売2日後、夫人が実はイタリア人と結婚していた。ウェディングドレス姿が彼女のフェイスブックに載っているという情報がネット上に流れた。

なんだ百田尚樹はそんなことも取材してなかったのかと非難囂々。しかも、たかじんさんの実の娘が作品の上で名誉を傷つけられたと出版差止めを要求して提訴した。

実は、たかじんさんが亡くなった直後、葬儀にも呼ばれなかったと実の娘たちがクレームをつけ、女性週刊誌などで騒がれてもいた。

林さんは、それなのに、実の娘が今回、出版差止めの提訴をしたことを週刊誌もワイドショーもどこも取り上げないことがいたく御不満らしい。

〈私はこのこともものすごい不気味さを感じるものである。この言論統制は何なんだ!〉

しかし、だ。林さんがこのコラムでも書いているように『週刊文春』では近く百田さんの連載が始まるし、『週刊新潮』は連載が終わって新潮社から本が出たばかりだ。『週刊現代』は発行元の講談社から大ベストセラー『海賊とよばれた男』を出している。

プラス、マイナスを総合的に判断した上で、書かないのは当然ではないか。わかり切った話だ。

たとえば林さんが何かスキャンダルを起したからって『週刊文春』が書きますか。

てなことは、ま、どうでもいいのだが、今回のコラムにぼくが怒っているのは、林さんが〈たかが芸能人のスキャンダルではないか〉と書いていることだ。

〈たかが芸能人のスキャンダル〉

林さん、あなたはいつからそんなに偉くなったのか。

〈私は全週刊誌に言いたい。もうジャーナリズムなんて名乗らない方がいい。自分のところにとって都合の悪いことは徹底的に知らんぷりを決め込むなんて、誰が朝日新聞のことを叩けるであろうか〉

朝日のことは全くの別問題だ。